18話 美紗の課長沈没作戦が開始しました。
美紗が作った報告書を見て、
課長は感心しました。
彼女は、外信の記事によれば、
もうすぐ世界的なブームになる
事業のようだ。
自社が市場で優位に立てるように
先手を打つべきだ。
すでに進めることは決まっているので
先にメディアで発表することで
宣伝効果だけでなく、
U＆Kこそが、
イメージを作ることができる。
報道発表資料の草案も、
自分が作っておいたと話しました。
それを聞いた課長は、
これで万年課長から
脱出できると思いました。
課長は、美紗のことを
気が利くと褒めて、
このプロジェクトメンバーに
加わるつもりはないかと
尋ねましたが
美紗は、それを断り、
課長が昇進した時に
お願いすると答えました。
早速、課長は
メディアで発表をし、
U＆Kの株価が上昇し始めました。
常務は課長を褒め、
今回の件がうまく行けば
昇進の方も考えると言われたので、
課長はご機嫌でした。
しかし、とうとう、
美紗の課長沈没作戦のXデーが
やって来ました。
寝坊したから
朝食を食べられなかったと
メールを送って来た麗奈に、
課長は、
自分が何か買っておこうかと、
デレデレしながら
メールを返信しました。
麗奈は、
いちご牛乳が飲みたいと
返事を送ると、
課長は、
飲むものまで可愛いと思いました。
にやけて、ヘラヘラしている課長に
常務が呼んでいるという、
電話がかかってきました。
仕事も恋も順調だ。
昇進したら、
麗奈と正式に付き合うことを
考えながら、
浮かれて常務の所へ行くと、
常務は、
U&Kがパイオニアだと
発表しておきながら、
他の会社がハラール食品を
発売したと言って、
ネットは大炎上している。
株価も暴落していると言って、
課長を激しく怒りました。
課長は謝りながら、
一旦、プロジェクトを
中断すると言いましたが、
常務は、
メディアで発表した後なのに
中断なんてとんでもない。
今すぐ、解決策を持って来いと
怒鳴りつけました。
課長は、元々この企画は
未来が立てたことを思い出し、
自分が、
この企画を立てたのではなく
自分の課の新人に
頼み込まれて通した。
若い社員にチャンスをやった。
だから、その新入社員を
矢面に立たせればいい。
24歳の新入社員の企画を
信じただけだと発表すれば
世論も多少は
大目に見てくれるのではないかと
話しました。
ところが、常務は
24歳の新人と聞いて
ドキッとして、
その社員の名前を聞きました。
課長は、「鈴木未来」と答え、
彼女は「パクリ女子」だという
報道資料を出し、
彼女を犠牲にすることで
会社への非難を逃れることができると
説明しました。
すると、常務の顔が真っ青になり、
その鈴木未来という社員に、
自分がプロジェクトを進めさせたと
話したのかと尋ねました。
課長は、もちろんだと答えると、
常務は激怒し、
自分は関係ないと訂正しろ、
新人の企画をパクった分際で
パクリ女子と言うなんて
ふざけている。
課長を海外に飛ばすと、
激しく叱りつけました。
意気消沈して、
トボトボ歩いている課長は
いちご牛乳を握りしめ、
自分には
可愛い麗奈ちゃんがいる。
彼女と一緒に、
この危機を乗り越えると
決意しました。
しかし、
いちご牛乳を差し出す課長に
麗奈は
自分はいちご牛乳が嫌いだと
冷たく言って、
そっぽを向きました。
がっくりきた課長を見ながら、
ひそひそ話す社員たち。
課長は、すべて美紗のせいだ。
美紗と未来は仲がいいので、
美紗は、未来に後ろ盾がいることも
知っていたに決まっている。
美紗が先に報道発表すべきだと
言わなければ良かったのにと、
彼女を恨みました。
そして、
今日までに提出するように言った
報告書はどうなっているのか、
重要だと言ったのにと、
美紗に八つ当たりをしました。
彼女は、課長の机の上に置いたと
返事をしました。
課長は、
置いたなら、
きちんと置いたと言わなければ
分からないと文句を言うと、
美紗は、すぐにチャットで
報告したと答えました。
しかし、課長は、
美紗が人の言うことに
いちいち口答えをしている。
自分は何様のつもりなのか。
人を陥れたくせに、
その顔は何なんだ。
目つきが生意気だ。
礼儀がなっていない。
どんな育てられ方をしたのか、
死んだ親の顔を見てみたいと
罵倒しました。
美紗は、
自分の親を馬鹿にされたことに
腹を立てましたが、
引き続き、課長は、
親がいない奴はやっぱりダメだ。
少し甘やかしたら、
恩を仇で返されたと美紗を侮辱し、
身の程も知らずに図々しいと
叫ぶと、
美紗を打とうとしました。
しかし、部長が
後ろから課長の襟首をつかみ
美紗に謝れと命じました。
仕方なく、課長は
美紗に謝りましたが
部長が襟首を離した瞬間、
床に尻餅をつき、
お尻の下で
いちご牛乳の容器が潰れて
中身が床に広がりました。
部長は課長宛てに
出席通知書が届くはずだから
覚悟しておくように。
今回の件は、
減給だけでは済まないと告げました。
数日後、届いた通知書には、
美紗の人格を侮辱したことと、
彼女への暴行未遂だけでなく、
住吉への日常的な暴言。
未来の企画の横取りと脅迫に対する
処罰が書かれていました。
美紗が住吉に渡したレコーダーが
証拠として提出されていました。
課長は、
麗奈と結婚間近だったのに、
美紗のせいで、
何もかもおしまいだと思いました。
一方、麗奈は、
課長とは何の関係もないのに、
変な噂が流れているので、
部署の異動願いを
出すことを考えていると
友也に話していました。
彼は、可愛い麗奈が
お腹の出ているハゲおやじを
相手にするわけないと、
彼女の肩を持ちました。
そして、
仕事ができない上に
口うるさい課長を
皆、疎ましく思っていた。
上層部から激しい懲戒を
受けたようなので、
結果的に良かった。
麗奈も、
課長のご機嫌取りをする必要はない。
そうすれば、
課長と付き合っていたとか、
懲戒を受けた途端、
捨てたとかいう噂も収まるから、
異動しなくてもいい。
役職解除に、
停職を言い渡されたようだけれど
それは、辞めろと言っているのと
同じだ。
課長はもう終わりだと話しました。
その話を聞いている麗奈は、
いちご牛乳を持っていました。
その話を聞いて、
怒りが頂点に達した課長は、
友也を殴りつけ、
彼女がいるのに、
自分の女に手を出した。
麗奈は自分と結婚するのに、
友也は、
自分たちの中を引き裂くつもりだと
罵倒しました。
そして、麗奈に向かって、
自分たちが
どれほど愛し合っているか
友也に話してやれと訴えました。
課長が、
いちご牛乳の上に
尻もちをついたために
彼のお尻の下で
こぼれた液体が広がるシーン。
下品で申し訳ありませんが、
まるで、課長が
お〇っ〇を漏らしたように
見えてしまいました。
以前の美紗は、
未来とも住吉とも
疎遠だったので、
彼女たちと仲良く話すことは
なかったでしょうから、
３人が仲良く話している姿を
麗奈が見ることもなく、
未来と住吉を何とかしようとして
課長に近づくことも
なかったのだと思います。
美紗の以前の人生で、
住吉が退職したのは
おそらく課長のせいだと思うので
これで、住吉の人生も
変ることになるのでしょうね。
課長が退職勧告も同然の
扱いを受けて、
スカッとしましたが、
おそらく、
女性とは全く縁のなかった課長が、
麗奈の私利私欲のために
利用されたのは、
少し可愛そうだと思いました。
