35話 麗奈は美紗と部長の告発文をネットで公開しました。
会社の同僚から暴力を振るわれて
流産した。
さらに、自分の婚約者と
浮気をしてくれと頼まれた。
病室で土下座させられ、
大声で脅迫された。
婚約しているのに、
大企業の御曹司と浮気をしたなど、
美紗のモザイクをかけた画像と共に、
麗奈は匿名で、次々と
告発文をネットに投稿しました。
美紗は、
それが麗奈の仕業であることが
分かりました。
友也も、この件をネタに
脅迫メールを送って来たのだと
思いました。
美紗は、麗奈のことを
最低な人間だと思うと共に
部長が
U&Kの会長の孫であることを知って
驚きました。
三田から、
美紗を気遣う電話がかかってきて
そのことを美紗は知っていたよねと
確認してきましたが、
答える前に、誰かが尋ねて来たので
美紗は、またかけ直すと言って
電話を切りました。
やって来たのは部長で、
開口一番、
美紗のことを心配しました。
そして、自分は
確かに会長の孫だけれど、
特別なことは何もなく、
他の社員同様に入社し、
自然に昇進した。
祖父のコネを
使ったわけではないと話し、
自分のせいで
美紗に迷惑をかけたことを
謝りました。
部長の様子から、美紗も、
本当に特別な事ではないことが
分かりました。
美紗は、自分にとっては、
会長の孫でも総理の息子でも、
亘は亘でしかないと
頬を赤らめながら言いました。
部長はドキッとしました。
美紗は、それよりも
部長の方が大変な状況だと
心配しました。
彼は、ネット掲示板の投稿なので
なかなか収拾できずにいると
困っている様子でした。
美紗は、今回のことは
麗奈と友也の仕業で、
部長と別れなければ
潰してやると脅迫されていたと
話しました。
自分は
こういうことに慣れているけれど、
亘の家族をネタに脅迫することを
許せないと美紗は思いました。
彼女は、部長に、
麗奈と友也が収拾しないと
いけないくらい、
問題を大きくすることを提案しました。
一方、友也は
麗奈が自分の携帯を見て、
勝手にネットの掲示板に
投稿したことに激怒し、
麗奈を責めていました。
しかし、麗奈は、
友也の好きな美紗が
悪く言われているせいで、
そんなに怒っているのかと
とぼけたことを言いました。
それを聞いて友也は、
ますます怒りましたが、
その時、美紗から麗奈へ
電話がかかってきました。
美紗は沈鬱な表情で、
自分は本当に困っているので
ネットの投稿を
今すぐ削除して欲しいと
頼みました。
しかし、麗奈は、
美紗のことを
友達だと思っていたのに、
美紗のせいで自分は困っていた。
それなのに、どうして投稿を
削除しなければならないのかと
反論しました。
美紗は、もう一度、
投稿を削除して欲しいと
懇願しました。
削除なんてしたくないと言う麗奈に
美紗は、何が望みなのか。
お金ならいくら必要かと
尋ねました。
その言葉を聞いて麗奈は、
会長の孫なら、
いくらでもお金を引き出せると
思いました。
美紗は、麗奈に
投稿を削除し、あれは誤解だったと
マスコミに話して欲しいと
頼みました。
麗奈は、
友也が苦労して手に入れた
写真の値段も含めると
安くはないと言いました。
美紗は、
写真まで全て削除する条件で
3000万円を提示しましたが
麗奈は5000万円と言いました。
躊躇う美紗に、麗奈は
ご祝儀に50万円包んだ時のように
潔くしろと言いました。
そして、美紗が嫌でも
自分は構わないと言うと、
彼女は、払うと言いました。
麗奈はニヤリとしました。
そして、美紗は玉の輿に乗って
人生を大逆転させたのだから、
このくらいのことで
自分を恨むなと言いました。
麗奈は、自分は幸せだ。
自分に必死にすがりついてくるのが
美紗らしいと思いました。
そして、美紗からお金を受取ったら、
自分がご馳走するので
一緒に美味しいものを
食べに行こうと美紗を誘いました。
美紗は、ため息をつきながら、
金額が多すぎて、
振り込みができないので、
現金で渡す。
指定する場所に、
友也と一緒に来てと告げました。
麗奈は、
美紗が自分の夫に
何の用事があるのかと
イラつきましたが、
美紗は、自分の目の前で
友也が持っている写真を
削除する条件で
5000万円を払うと言いました。
麗奈は渋々承知しました。
美紗が5000万円払うと聞いて
驚く友也。
麗奈は、全部、自分のおかげだ。
頭はこういう風に使うものだと
自慢しました。
一方、美紗は、友也と麗奈と
今度こそ、決着をつけるつもりでした。
美紗が指定したホテルに
麗奈と友也はやって来ました。
麗奈は、ご機嫌な様子で
鼻歌を歌い、
会長の孫にふられた美紗は、
すぐに会社もクビになるだろうと
思っていました。
麗奈の頭を撫でる友也に、
自分の機嫌がいいのは、
友也とは関係ないと言う麗奈。
麗奈は、憎まれ口を叩いている時が
可愛いと言う友也。
そして、あの写真を手に入れたのは
自分だということを忘れるなと
忠告しました。
そして、美紗と部長を見かけると
しらじらしく挨拶をし、
お金は準備したかと尋ねる友也。
中で渡すと答える部長。
麗奈を睨みつける美紗に、
いい気味だ。
自分は本当に良い友達を持った。
さっさと金を払え、バカ女と
笑う麗奈。
ところが、麗奈と友也が
会場に入った途端、
多くの記者たちの
カメラのフラッシュを浴びました。
そして、彼らから、
なぜ、被害者と
記者会見することにしたのか。
後悔謝罪でも
するつもりなのかという声が
上がりました。
戸惑う麗奈と友也。
部長は、
U&Kハラスメント問題に関する
記者会見を始めると宣言しました。
麗奈と友也は驚愕しました。
友也の後輩が、
部長が会長の孫であることを
絶対に口外するな、
マスコミにばらしたら
おしまいだと言ったのは、
何かしら理由があるのだと
思います。
それを、無視して、
友也は麗奈にバラしてしまったし、
彼女は、ネットに
デタラメなことを投稿してしまった。
世の中の人から
一時的に共感を得られて、
快感を得ても
名誉毀損で訴えられたり、
裁判沙汰になる可能性も
あります。
そんなことも考えずに
お金に目がくらみ、
大企業を巻き込む大嘘をついた
麗奈は、美紗のことを
バカ女呼ばわりしていますが、
その言葉をそっくりそのまま、
麗奈に返したいです。