自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

ハーレムの男たち 577話 ネタバレ 先読み 原作 あらすじ ギルゴールのために泣くラティル

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577話 ギルゴールは対抗者の剣に貫かれましたが、ラティルは、針を刺した所にギルゴールの親指が貫通しているのを見ました。

◇死なないで◇

ラティルは

ギルゴールに駆け寄り、

彼の肩をつかんで立ち止まりました。

彼女は何度もギルゴールの名前を

叫びました。

彼女はアニャドミスを押し退けて

対抗者の剣を抜こうとしました。

しかし、いざ抜こうとすると、 

このような状態で剣を抜けば、

血が流れ過ぎて

危険になるのではないかと

躊躇いました。

けれども、ギルゴールは、

自ら傷を治すことができる

吸血鬼なので、

出血多量で死ぬとは思えないし、

むしろ、今、

ギルゴールに刺さっているのは

対抗者の剣なので、

やはり剣を抜いた方が

良いのではないかと思いました。

しかし、これらは、

すべて推測に過ぎず、

確かなことではありませんでした。

 

ラティルは手を震わせながら、

剣を握っているアニャドミスの手の上に

重ねるように自分の手を乗せました。

そして、

 

ギルゴール、 剣を抜くよ。

抜かないといけないよね?

 

と、震える声で尋ね、

ギルゴールを見つめると、

鼻の奥が痛くなりました。

自分は狂いそうになるほど

心配しているのに、

ギルゴールは、

すべてが終わったかのように

穏やかな表情で目を閉じていました。

 

そうするうちにラティルは、

彼がアニャドミスと戦った時、

少しも防御しようと

しなかったことを思い出し、

恐怖を感じました。

ラティルは唇を震わせながら、

もしかして、

わざと剣に刺されたのかと

尋ねました。

 

ギルゴールは目を閉じたまま、

静かにしていましたが、

ゆっくりと目を開け、

ラティルと目が合うと、

 

幸せな夢を見たよ、お嬢さん。

 

と笑って呟きました。

 

ラティルが、

ギルゴールの名を叫ぶと、彼は、

 

お嬢さんが私のために泣いていた。

 

と呟きました。

 

ラティルは、

ギルゴールの名を叫びましたが

彼の肩をつかんで、

口をつぐみました。

 

彼は狂ってしまったのか。  

怪我をしなくても

アニャドミスを制圧できたのに、 

なぜあえて、こうしたのかと

聞きたかったけれども、

声が出ませんでした。

 

先ほどからアニャドミスが

何の動きもないということは、

弱点を作ったことが

成功したということでしたが、

それは頭でわかっていても

感じられませんでした。

ラティルの目には、

ギルゴールが見えるだけでした。

すべての人が死んでも

一人で悠々と

生き残っていくような

ギルゴールがアニャドミスを制圧し、

自ら死のうとしたことが

信じられませんでした。

 

ギルゴール、話をして!

剣、抜いた方がいいよね?

 

とラティルは尋ねましたが、

ギルゴールは死にかけながらも

相変らず、自己中心的で、

ラティルの質問に答える代わりに

手を上げると、

ラティルが流したことにも

気づかなかった彼女の涙を

手で拭ってくれました。

 

ラティルは

ギルゴールの名前を叫びました。

剣さえなければ、ラティルは

ギルゴールを揺さぶってでも

起こすのに、 

この忌まわしい剣のせいで、 

ギルゴールを

揺さぶることもできませんでした。

 

ラティルは引き続き

彼の名前を呼ぶと、

一旦剣を抜いてみることにしました。

このままにしておいたら、

ギルゴールが死んでしまいそうなので

剣を抜いた方がよさそうでした。

ロードは太陽を見ることができる

吸血鬼を上手に作るそうだけれど、

ラティルは

ゆっくり覚醒しているせいなのか、

剣を抜いた方がいいかどうかさえ

分かりませんでした。


結局、ラティルは震えながら

アニャドミスの手を取り、

剣を持っている彼女の手を

ゆっくり引きました。

封印が完全に作動したのか

彼女は微動だにしませんでした。

 

ゆっくり、ゆっくり引かれた剣は、

ついにギルゴールから

完全に抜けると、

剣先が下にポトンと落ちました。  

アニャドミスは

依然として剣を握っていましたが、

それを持ち上げるほどの意志は

なさそうでした。

 

ラティルは

剣に寄りかかって立っていた

ギルゴールが

倒れそうになったので

急いで彼を捕まえました。

ギルゴールの重さが、

そのままラティルに伝わりました。

彼女はギルゴールを呼びました。

 

ラティルは

ギルゴールを抱きしめ、

彼の傷口に手を当てました。

ギルゴールの傷からは、

血が流れ続けていました。

 

やはり剣を抜いては

いけなかったのではないかと

思ったラティルは、ギルゴールに

どうすればいいのか教えて欲しいと

何度も頼みました。

しかし、ギルゴールは

何も言いませんでした。

 

ラティルの手は、彼の肩甲骨近くを

彷徨っていました。

ギルゴールの傷は、

片方の翼をもがれたように見え、

ラティルは、

さらに苦しくなりました。 

 

誰よりも清らかで高潔な聖騎士が

邪悪で恐ろしい者となって

一人で過ごしていたのに、

突然、自分を捨てるように

死んでいくというのが

信じられませんでした。

側室になってもいいから、

自分を捨てるなと言っていた彼が

かえって、

自分を捨てようとしているのが

全く理解できませんでした。

 

ラティルは、

 

ギルゴール、しっかりしなさい。

あなたは強いでしょう?

世界で一番強いのに。

 

と言って、

彼を抱きしめて泣きました。

ギルゴールに抱いていた感情は、

恐怖と好奇心、そして、

たまに湧き起こる、

理由の分からない

ドキドキ程度だったと思いましたが

なぜか今は、心臓がはち切れそうな

痛みを感じていました。

たった一度だけ見た、

人間の頃のギルゴールの姿が、

不思議と目の前に、

チラチラしていました。

 

ラティルはギルゴールを呼び、

彼を抱き締めると、

 

あなたを守るために去ったのに

なぜ、あなたが死んでしまうの?

 

と、ラティル自身も意味不明の言葉を

耳元で囁きました。

 

そうするうちにラティルは、

ギルゴールの息子が、

彼に死んで欲しいと言っていたという

ランブリーの話と、

自分の子供たちは

死んだと囁いたギルゴールの声が、

思い浮かびました。

そして、幻想の中で

誰よりも幸せそうに見えた彼の姿が

次々と浮かび上がりました。

◇異変◇

その時、遠くない所から

心配しないように。

彼と一緒に逝く者たちは

たくさんいるはずだからと

誰かの皮肉な声が聞こえてきました。


ラティルは

ギルゴールを抱きしめながら

ゆっくりと、

そちらへ顔を向けました。

そこには、

クロウが立っていました。

頭から流れる血のせいで、

まともに片目を

開けることができないまま、

クロウはラティルを見つめながら

笑っていました。

 

ラティルは無数の何かの気配を感じ、

下を見下ろしました。

塔の下に、数多くの怪物が見えました。

怪物たちは、

塔の下に何があるか分からないほど、

ぎっしり、

地を埋め尽くしていました。

山道を抜けて、ここへ来る、

集団をラティルは見ましたが、

いつの間にか、

ここまで数が増えていました。

普通に来ただけでは、

絶対にこの数にはならないので、

前にクロウが、

空からダークリーチャーを

召喚したように、

今回も同じような手を使ったに

違いありませんでした。

 

その怪物たちは、

蟻の群れのように集まって来て、

まるで、誰かの命令を待つかのように

塔の下に止まり、上を見上げました。


ラティルはチラッとクロウを見ました。

彼の表情から、

あの怪物たちは彼が呼び寄せたか、

彼が作り出した

ダークリーチャーであることが

読み取れました。

 

クロウは、

アニャドミスを見つめると同時に

ラティルを見つめました。

その視線は、悲しみに満ちていました。

 

ラティルと目が合うとクロウは、

ロードが二人になっても、

自分たちのためになる者は

一人もいないと、独り言なのか

非難なのか分からない言葉を

呟きました。

 

クロウは慎重に

アニャドミスの方へ歩いて行き、

彼女の腕を2回軽く握ってみました。

しかし、アニャドミスは

剣を持ったまま動きませんでした。

500年前に準備した封印が

彼女の意識を捕らえていました。

今のアニャドミスは、

アニャとドミスが合わさった

最強の存在ではなく、

戦隊の対抗者の魂が、ドミスの肉体に

閉じ込められたようなものでした。

クロウがアニャドミスの腕を振っても

彼女は反応しませんでした。


クロウは彼女を呼ぶのを止め、

ラティルを見つめながら、

今すぐロードを元通りにしろ。

カリセンの皇帝を

無事に取り戻したいなら、

すぐに、そうすると言え。

自分はここからでも、

彼の命を奪うことができる。

カリセンの皇帝を生かしておいたのは

役に立つと思ったからだ。

しかし、すべてが無駄になれば、

自分たちと一緒に彼も死ぬ。

自分は

ラティルの息の根を止められなくても

その皇帝と他の人々は

一緒に始末することができる。

あの怪物たちを

世に放ったらどうなるだろうかと

脅迫しましたが、

ラティルが口を開く前に、

 

そうはなりませんよ。

 

と、ゆっくりとした声が

聞こえて来ました。

ラティルとクロウは

そちらを見ました。

壊れた階段を上って来たばかりの

狐の仮面が、片手に杖を、

もう片手にレッサーパンダを抱きしめて

笑っていました。

 

アウエル・キクレン、

そうだろう?

 

クロウは狐の仮面を見ると

低い声で呟きました。

そして、

伝説の黒魔術師の創始者について、

聞いたことがあるけれどと

言いかけたところで、彼は、

狐の仮面が投げた杖に当たって

後ろに飛ばされ、

柱にぶつかりました。

強くぶつかったのか、

クロウは咳をしながら

立ち上がりました。

しかし、クロウは逃げる代わりに、

壊れて床が丸見えの壁ギリギリに立ち

手を上げ、

ラティルには聞き取りにくい呪文を

素早く叫びました。

その瞬間、ラティルは

ギルゴールを下ろして

素早くクロウの方へ駆け寄り、

彼を引っ張り、

後ろに放り投げました。

クロウは床を

ゴロゴロ転がって行きました。

ラティルは、そこで止まることなく、

続けて攻撃するために

剣を握ったところ、

何かを感じて後ろを振り向きました。

その直後、塔の下で、

奇怪な悲鳴が響き渡りました。

 

ラティルは目を見開きました。

別の勢力が群れを成して現れ、

クロウが呼び出した怪物たちを囲んで

攻撃していました。

ラティルは、

その勢力の一部が聖騎士たちであり、

一部はカリセンの兵士たちであることに

気づきました。

そして、その間を蛇のように動き回る

特に目立つ者たちが

何人か見えました。

 

タッシールは、

敵が数で押されているので、

今回、ダークリーチャーたちを

総動員するのではないかと

心配していました。

ラティルが一人でアニャドミスに

会いに行くことになったので、

タッシールも、

味方の数を増やしたようでした。

静かになった塔の上とは違い、

その下では、

乱戦が繰り広げられてました。

 

ラティルはその様子を見て、

再びクロウを見つめました。

窮余の策を邪魔された彼は、

先程と違って

歯を食いしばっていました。

 

ラティルは寝かせておいた

ギルゴールに近づき、

彼の頭を抱えながら、

怪物たちを止めろ。

どうせ皆死ぬことは

分かっているではないかと

説得しました。

 

いずれにせよ、

ヒュアツィンテを探し、

クロウが作った

ダークリーチャーをなくし、

彼と結託した人たちが誰なのか

突き止めるためには、

アニャドミスの第一線で

部下の役割をしていた彼は

生かしておく必要がありました。

 

しかし、クロウは

ラティルの言葉を聞くと、

むしろ意味深長に笑い、

皆、死ぬのなら、

あえて止める必要はない。

敵を一人でも多く連れて行けるなら

むしろ本望だと言い返しました。

 

ラティルは、

クロウをじっと見つめながら

誰が本当のロードなのか

わからないのか。

自分がロードであることを

わからないようではないのに、

なぜ、アニャドミスに従うのかと

尋ねました。


一方、狐の仮面は

クリーミーを下ろして壁の前へ行き、

何かをし始めました。

 

ラティルは下から

雷のような音を聞きました。

狐の仮面は黒魔術で、

敵のダークリーチャーに

何かをしたようでした。

クロウは同じ黒魔術師だからなのか

狐の仮面が手を出すや否や、

すぐに、やる気を失った

表情になりました。

しかし、ラティルを見る時は

再び目つきが悪くなっていました。

 

クロウは、

どうしてなのかわからないのかと

逆にラティルに質問しました。

ラティルは、

わからないと答えると、クロウは、

黒魔術師たちがロードに従うのは、

ロードが、ロードと共に狩られ、

迫害された自分たちの

復讐をしてくれることを

願っているからだ。

しかし、

ラティルはロードでありながら

対抗者だと詐称して

自分たちを見捨てたのに、

なぜ自分があのロードに従うのか

わからないのかと尋ねました。

 

ラティルは何気なく

わからないと答えると、

ギルゴールを見つめました。

先程、感情を吐き出したせいなのか、

不思議なことに、

すべてが虚しく感じられ、

すべてが空っぽになっていくような

感じがしました。

何も考えられなかったし、

何も気になりませんでした。

下から聞こえてくる悲鳴さえ

気になりませんでした。

さらに恨みさえも虚しく感じられ、

世の中が無味乾燥に思え始めました。

 

世の中を変えるのは悪名と血ではなく

時間と権力、民意だ。

皇帝である自分は、

このすべてのことができる。

そして、

自分のやり方で黒魔術師たちを

日の当たるの場所に

導いてあげるつもりだったと

話しました。

クロウはその言葉に

目を見開きました。

 

しかし、ラティルは、

クロウはその様子を見ることは

できないと、淡々と付け加えると、

ギルゴールの傷を軽く撫でました。

 

クロウはラティルの言葉に

口をポカンと開けたまま、

目の下を震わせていました。

そんなことは、

全く考えてもみなかったという

顔でした。

しかし、ラティルは、

それ以上クロウに

話しかけませんでした。

彼を罵ることも、怒ることも、

いつものように、

からかうこともありませんでした。

 

ラティルの所へ走って来た

クリーミーは、彼女のその様子から

異変を感じ、後ずさりしました。

あっという間に、

ラティルから離れたクリーミーは、

注意深く、

ラティルを見ていましたが、

単なる感じだけではなく、

彼女の雰囲気が、

普段とは全く違っていました。

塔の下の方を解決していた狐の仮面も

突然後ろの方が静かになったので、

やはり異変を感じて、

ゆっくりと、そちらへ

顔を向けました。

狐の仮面は、ギルゴールを撫でる

ラティルの表情を見るや否や、

状況に気づき舌打ちをし、

 

結局、今回も。

 

と呟きました。

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ああ、ギルゴール、ギルゴール。

何千年もの間、一人で

生きて来たギルゴール。

死んだと思った息子が

生きていたのに、

ひどい言葉を浴びせられた

ギルゴール。

何千年もの間、

アリタルを待っていて、

ようやく巡り会えたかもしれないのに

息子の一言で

自ら死を選ぼうとしたギルゴール。

本当に辛くて悲しかったですよね。

自分の愛する人を取り戻したくて

何千年もの間、生きて来た

ギルゴール。

彼には、本当に

幸せになって欲しいです。

 

ラティルが

ギルゴールに対して

今までにない感情が

湧き上がっているのは、

アリタルの感情が

シンクロしているからでしょうか?

覚醒を促すほどの、

ギルゴールを失うかもしれないという

喪失感は、アリタルの感情も

作用しているように思います。

 

「結局、今回も」と言ったのは

アウエル・キクレン?

それとも、ランスター伯爵?

ランスター伯爵は

ドミスの時代の人で、

実際に彼女の覚醒を見ていないから

アウエル・キクレンでしょうか?

彼の肉体は滅んでも、

誰かの身体の中に入り込んで、

ずっと、ロードの覚醒を

見続けて来たのでしょうか。

まだ名前しか出て来ないのに、

アウエル・キクレンのことが

気になります。

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