自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

ハーレムの男たち 660話 ネタバレ 先読み 原作 あらすじ アリタルの行動は繰り返さない

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660話 アトラクシー公爵は孫を抱き締めて逃げ出しました。

◇頼れるのは大神官◇

人々は、アトラクシー公爵が

赤ちゃんを抱いて走る姿を

ぼんやりと見つめました。

公爵は回廊を通って

炎天下の庭の遊歩道へ駆け込みました。

 

父上!

 

その後を、ラナムンが

叫びながら追いかけました。

真夏なのに、

一人だけ氷のように冷たく、

いつも余裕を持って

行動するラナムンが、

今日は幽霊のように

公爵を追いかけていました。 

ラナムンは

子供を抱いて走るなと

怒り心頭で父親に叫びました。

ただでさえ、赤ちゃんを連れて

遠くまで

行かなければならないことを

考えると心が落ち着かなくて

死にそうなのに、

父親は走るスピードも考えず

赤ちゃんを連れて逃げているので、

腹が立ち、歯ぎしりしました。

 

うちの子を、

どこへ連れて行くんですか!

 

公爵が、カッとなって叫びました。

公爵は貴公子だった頃から

文武に秀でていました。

一時は騎士として

剣を持ったこともありました。

今は国の仕事の方に

没頭していましたが、

相変わらず足は速いままでした。

 

ラナムンは、

イタチのように逃げる父親の

後頭部を睨みながら、

その子の父親は自分だと

叫びました。


公爵は足が速いとはいえ、

対抗者としての訓練を繰り返していた

ラナムンほどではありませんでした。

息子に捕まりそうになると、

アトラクシー公爵は演舞場へ行き、

 

大神官!大神官!

 

と叫びながら、

炎天下で上着を脱いで走っている

ザイシンに駆け寄りました。

 

公爵様?

 

ザイシンが我に返る間もなく、

公爵は彼に赤ちゃんを抱かせました。

 

皇女?

 

ザイシンは、

ラナムンに似た赤ちゃんを見るや否や

すぐに誰なのか分かりました。

彼は戸惑いながら公爵を見つめました。

それから、公爵の後ろから

走ってきたラナムンを見つめました。

公爵より数秒遅れて到着したラナムンは

息を切らしたまま、

ザイシンに謝罪しました。

ザイシンは、公爵とラナムンを

交互に見つめながら、

 

どうしたのですか?

なぜ赤ちゃんを?

 

と尋ねながら、

布に包まれて欠伸をする

赤ちゃんを見下ろしました。

この騒ぎの中でも、

赤ちゃんは平穏に見えました。

人々は、

赤ちゃんがラナムンに似ていると

言っているけれど、大神官は

赤ちゃんがラティルに

似ているようだと思いました。

 

公爵は、

孫を守って欲しいと

大神官に訴えました。

 

えっ?

 

驚いた大神官は、

赤ちゃんの顰めた眉の間に現れた

黒い目をのぞき込んだ後

公爵を見つめました。

皇女を守って欲しいのかと

尋ねる大神官に、

公爵は急いで頷くと、

怪物を見るように

ラナムンを見つめました。

そして、自分の息子が孫を連れて

変な所へ行こうとしていると

主張しました。


ザイシンは、素早く瞬きしました。

彼も、ラナムンが

大きな馬車を手に入れて来たという話を

百花から聞いていましたが、

ラナムンが皇女を連れて

どこかへ行こうとしたという話は

聞いていませんでした。


ザイシンは、

ラナムンと皇女が

どこかへ行くのかと尋ねると、

公爵は、

同じ側室である大神官さえ

息子が療養に行くことを知らないなんて

やはり、尋常ではないことが

起こっていると思いました。

 

公爵は大神官に

皇女を守ってくれと、

すがりつきました。

公爵は側室の中で

大神官であるザイシンの人柄が

一番良いと確信していました。

だからラナムンと皇帝が

赤ちゃんのことで

何かをしようとしていて、

それが赤ちゃんに良くないことであれば

これを防げるのは

大神官だけだというのが

公爵の考えでした。

 

ザイシンに付いて

一緒に演舞場を回っていた聖騎士たちが

互いに視線を交わしながら

首を横に振りました。

クーベルは、

冷水で濡らしたタオルを持って来て

ザイシンの首にかけながら、

公爵に落ち着くようにと言いました。


ザイシンも侯爵に

落ち着くように。

ラナムンが、実の娘である皇女に

害を及ぼすわけがないと言って、

赤ちゃんを

アトラクシー公爵に渡しました。

そして、

自分がラナムンと話してみる。

何か誤解があるはずだと言いました。


よろしくお願いします。

 

公爵は、宝物のように

赤ちゃんを受け取り、隠しました。

聖騎士たちは、

公爵が抱いた赤ちゃんの顔を見るために

つま先で立ち、首を突き出しました。

大神官はラナムンに、

向こうで話そうと促すと、

抵抗するラナムンの背中を

押しました。

 

人通りの少ない場所に着くと、

ザイシンは、

濡れたタオルで首と腕を拭きながら

なぜ、朝から赤ちゃんを抱いて

走り回っているのかと尋ねました。


ラナムンは

気が重そうな表情をしている

ザイシンの上着を見つめながら、

1年ほど赤ちゃんを連れて

ここを出ることにした。

すでに皇帝とは合意済みだと

答えました。

驚いたザイシンは体を拭くのを止めて

目を大きく見開き、

 

1年?

 

と聞き返すと、

それは本当なのかと尋ねました。

ラナムンが

 

はい。

 

と返事をすると、ザイシンは

それならば、

公爵が飛び跳ねても当然だと

思いました。

たった生後100日の赤ちゃんを連れて

一体、どこへ行くのかと思いました。

 

ザイシンは、

皇女という立場上、

狙う敵が多いと思う。

皇女を連れて出て行くのは

危険ではないかと指摘しました。

 

ラナムンは、

当然、そのような点も考えて、

出発の計画を立てたと

淡々と話しました。

 

ラティルが赤ちゃんと

近づくために努力していた100日間、

ラナムンは、

赤ちゃんを安全に保護する方法を

考えていました。

ラナムンが赤ちゃんとここを離れるのは

安全に生きるためであり、

死にに行くのでは

なかったからでした。

 

ザイシンは、

生まれたばかりの皇女を

連れて行くなんて、いかがなものか。

後継者問題が急務だと

言っていなかったかと尋ねました。

ラナムンは、

赤ちゃんがラティルの命を奪う

運命にあるかもしれないという話を

思い浮かべながら、

後継者問題も急務だけれど、

それも皇帝の命が安全な時に

限った話だと答えました。

 

ザイシンは、

表情を変えることなく、

他人事のように話すラナムンを

じろじろ見つめました。

彼は吸血鬼でないのに、この熱い最中、

汗一滴も流していませんでした。

 

簡単に説得できるような

雰囲気ではないと思ったザイシンは

とりあえず、

皇帝と話してみると言って

半歩、後ろに下がりましたが。

その言葉を言い終えるや否や、

遠くない所から

悲鳴が聞こえて来ました。

ザイシンとラナムンは、

同時に、そちらへ顔を向けました。

白い石を敷き詰めた道を、

アトラクシー公爵が

ぎこちない姿勢で走っているのが

見えました

 

公爵様!

 

聖騎士たちが叫んでいましたが、

むやみに追いかけることは

できませんでした。

 

父親に対して

悪態をついたラナムンは、

ザイシンを置いて、

公爵を再び追いかけ始めました。

彼が赤ちゃんを抱いて、

また走っていることに

気づいたからでした。

ザイシンも、その後を追いました。

 

大神官、服! 服!

 

クーベルは、

急いで持って来た服を手にして

ザイシンの後を付いて走りました。

◇祖父の愛◇

ラティルは執務室で、

わざと頭を空っぽにして、

仕事にだけ没頭していました。

今日はラナムンが

宮殿を出る日でしたが,

それについて、

考えたくなかったからでした。

すると、

 

陛下、陛下!

 

廊下から、

アトラクシー公爵の大きな声が

聞こえて来ました。

すぐに扉が開き、

中へ入って来た侍従は

アトラクシー公爵が、至急、

ラティルに会いたがっていることを

伝えました。

ラティルが許可すると、

公爵が入って来ました。

 

ラティルは眉を顰めました。

公爵の胸に、

小さな人形のようなものが

抱かれていましたが、

彼が人形を持ち歩くはずはないので、

あの小さなものは

赤ちゃんに違いないからでした。

 

ラナムンが連れて行くはずだった

赤ちゃんを、

なぜ公爵が連れて来たのか。

ラティルは怪訝そうに、

どうしたのかと尋ねました。

公爵が目配せすると、

侍従は扉を閉めて出て行きました。

 

ラティルと2人だけになると、

アトラクシー公爵は、

皇女の額の模様のせいかと

躊躇うことなく尋ねました。

ラティルはビクッとして、

それは、どういう意味かと尋ねました。

 

アトラクシー公爵は、

生後100日にしか経っていない

赤ちゃんを連れて

ラナムンが療養へ行くなんて

あり得るのかと尋ねました。

ラティルはアトラクシー公爵が

ラナムンの所へ行ってきたようだと

指摘しました。


アトラクシー公爵は、

皇女が生まれた時、宮医が

皇女の額の話をした。

その時、側室たち全員の表情が

良くなかった。

もしかして、

この模様が不吉なのかと尋ねました。

 

ラティルはアトラクシー公爵の

洞察力の鋭さに感嘆しました。

しかし、それとは別に、公爵が、

この状況を複雑にすることを

快く思いませんでした。

 

アトラクシー公爵は、

ラティルが子供を

そばに置きたくなければ、

自分が公爵邸で子供を育てる。

子供を遠くに行かせてはならない。

先皇帝も暗殺されたし、

ラティルにも、

まだ政敵が残っている。

彼らは頻繁に、

レアン皇子を復帰させる方法を

講じているのに、

赤ちゃんを遠くにやるなんて

とんでもないと訴えましたが、

ラティルは、複雑な事情がある。

それについては、

後で説明すると嘘をつき、

とりあえず、ラナムンに

連れて行ってもらうと

返事をしました。

しかし、アトラクシー公爵は

顔を真っ赤にして、

自分の孫を危険にさらすのを

見過ごすわけにはいかないと

叫びました。

 

ラティルは心臓がズキズキしました。

ラナムンが子供を連れて

出て行こうとする時、

本当は、子供の母親である自分が

あのように止めなければ

ならないのではないかと

考えました。 

 

結局、ラナムンは

赤ちゃんを連れて出発し、

アトラクシー公爵は傷心のあまり

体調が良くないと言って、

すぐに自宅に戻りました。

侍従長は、

実際に公爵の家に医者が入ったと

耳打ちしてくれました。

 

夕食の時間、

ラティルは食欲もなく、

部屋で、ぼんやりと

腰を下ろしていました。

すると、ラナムンが出て行ったことを

聞きつけた先皇后がラティルを訪ね、

宮医は、赤ちゃんが

とても元気だと言っているし、

ラナムンも具合が悪くないのに、

2人が療養に行くなんて、

一体これはどういうことなのかと

尋ねました。

 

しかし、先皇后は、

娘の表情が尋常ではないことを

発見し、ラティルの腕に

自分の手を乗せ、眉を顰めました。

乳母は、後から

この知らせを聞いたと

言っていたけれど、

ラティルが心を痛めているという話は

しませんでした。

 

先皇后は、

何かあったのかと慎重に尋ねました。

彼女は、娘が

自分に話してくれないことが

多いことを知っていました。

しかし、

自分と娘の間にできた壁があるので、

率直に話してほしいと

言うことができず、

先皇后は沈黙するだけでした。 

 

ラティルは自分の腕の上に乗っている

母親の手の甲の上に

自分の手を乗せました。

その温かい手は、

幼い頃から、ラティルが愛した

体温のままでした。

 

ラティルは母親に、

どのような気持ちで自分を捨てたのかと

辛うじて尋ねました。

その辛そうな言葉に、

皇后の手がビクッとしました。

ラティルは苦しそうに

母親を見つめました。

彼女の瞳が、

力なく 震えていました。

彼女は返事ができませんでした。

 

ラティルは、

あの子は、まだ赤ちゃんなので

自分があの子を捨てたことを

知らないだろう。

でも、知らずに済むのだろうか?

母が皇帝であることを知らなくても

そばに父親しかいなければ、

捨てられたと思うかもしれない。

しかし、あの子は

アニャドミスの転生だけれど、

自分は、両親の仇の

生まれ変わりではないと考えました。


ラティルは母親の手を必死に握り、

返事を待ちました。

母親は、依然として

答えられませんでした。

 

ラティルは、

後悔と混乱、罪悪感、

そして、その他の、

ラティルが見つけられない

あらゆる感情で入り混じった

母親の横顔を見ながら

立ち上がりました。

彼女はラティルを呼びながら、

一緒に立ち上がりました。

 

ラティルは、

 

連れ戻さなければ。

 

と呟くと、

ハンガーからジャケットを外し

外に飛び出しました。

母親は後ろから

彼女の名前を叫びましたが、

ラティルは立ち止まることなく

走り去りました。

 

ギルゴールはセルと暮らし、

アリタルはシピサと暮らしていた。

彼らは離れて暮らしていたけれど、

結局、平和を

守ることができませんでした。

 

ラティルは、神の言葉が書かれた

神殿の地下の大きな柱を

思い浮かべました。

ギルゴールと並んで立って、

その言葉を眺めていた記憶が

現実のように、

ラティルの中を通り過ぎました。

 

柱には、

ラティルに2度目の機会が

与えられると書かれていました。

彼女は、もしかしたら、

あの子を違うように

育てることができるかもしれないと

考えました。

 

自分は

アリタルの行動を繰り返さない。

そう決意したラティルは

馬小屋へ行くと、

最も足の速い馬を引いて来て

乗りました。

 

ラナムンは、

赤ちゃんを連れて出て行くのが

最善だと信じていたので

部下だけ送っても、

戻って来ないと思いました。

 

いつの間に追いついたのか、

サーナット卿が

すぐ後ろに近づいて来て

一緒に行くと言いました。

ラティルはサーナット卿に

ラナムンのことを聞きました。

 

ラティルが馬に乗って

大通りを走ると、

皆が慌てて彼女を呼びました。

サーナット卿は、

兵士たちが見えない所で

護衛している。

馬車の速度を上げられないので、

まだ山を越えていないはずだと、

落ち着いて答えました。

ラティルは手綱を掴みました。

 

サーナット卿は、

気が変ったのかと尋ねました。

ラティルは頷くと、

さらにスピードを上げました。

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赤ちゃんを抱いて逃げる

アトラクシー公爵。

その彼を追いかけるラナムン。

当の本人たちは

必死なのでしょうけれど、

家族を愛しているからこその

行動だと思うと、

微笑ましく思えました。

 

ようやく、アリタルの行動を

繰り返してはいけないことに

気づいたラティル。

娘を敵にしたくなければ、

彼女がラティルの命を奪おうと

考えることができないくらい

愛してあげればいいと思います。

赤ちゃんがアニャドミスの

生まれ変わりであることが

ネックになっているけれど、

その試練を乗り越えなければ

神の呪いを解くことが

できないのかもしれません。

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