140話 ハインリが誕生日に欲しい物は何なのでしょう。
◇水に濡れたあなた◇
ハインリは、
誕生日のプレゼントとして
ナビエと一緒に
お風呂に入りたいと言いました。
それが無理なら
侍従や侍女たちを除いて
1日、2人だけで遊びたいと
言いました。
ハインリは
幽霊騒動の時も恐がる振りをして
一緒にお風呂に入りたいと
言っていたので
なぜ、お風呂に執着をするのか
ハインリに尋ねると
水に濡れたクイーンも
良いと思うと答えました。
ナビエは、噴水台で
鳥から人に変わったハインリを
見た姿を思い出し、
水に濡れたハインリは
美しかったと素直に認めました。
ハインリは笑いましたが
すぐに、ナビエを
食い入るような目で見つめました。
ちょうど雨も上がったので
ナビエは傘を抜け出し
早足で、先に帰りました。
素直に自分の気持ちを言った後で、ナビエは恥ずかしくなったのでしょうか。
◇ナビエへのプレゼント◇
エベリーはソビエシュに呼ばれて
緊張していました。
彼は、エベリーに色々と
良くしてくれるれども
それまで、ソビエシュは
エベリーを自分の所へ
呼ぶことはなかったので
彼女も、彼のことを気にせず
過ごしていました。
もしかして、自分が皇帝の寵愛を
受けている振りをして
嘘をついたことを
咎められるのかと思っていましたが
ソビエシュは、
ナビエへのプレゼントを
代わりに届けて欲しい、
けれども、ソビエシュからではなく
エベリー自身が
贈ったことにして欲しいと
エベリーに頼みました。
エベリーは、なぜ、ソビエシュが
自分の名前で贈らないのか
不思議に思いましたが
彼女はナビエに
会えることが嬉しいので
ソビエシュの頼みを
受け入れることにしました。
ハインリの誕生日に、
西大帝国に使節団を送るので
その時に、またエベリーを呼ぶと
ソビエシュは言いました。
エベリーは、
なぜソビエシュは
離婚したナビエを気遣うのか
立派な奥さんを捨てるほど
ラスタに恋しているはずなのに。
と考えました。
けれども、噂によれば
ソビエシュはラスタを
大事にしていないようだし
ラスタはブルーボヘアンの王族と
不倫をしているようだし
それなら、なぜ離婚をしたのか。
そんなことを考えながら
歩いていると、
卑しい者が、なぜここにいるのかと
ひそひそ話す声が聞こえました。
イスクア子爵夫妻でした。
ラスタの偽親です。
彼らの顔には不快感が表れていたので
エベリーも同様にしました。
彼らと顔を合わすのも嫌でした。
親も子も同じだと言われた
エベリーは
挨拶もせず、身を翻して
反対方向へ歩いて行きました。
イスクア子爵夫妻、性格が悪いです。
◇私も命が惜しい◇
皇帝夫妻と謁見までしたにも
かかわらず
依然として
妹のデリス行方はわからず、
連絡も来ないので
ジョエンソンは、
とても心配していました。
妹に何かあったかと思うだけで
心が苦しくなったので
彼は、妹が面倒を
見てもらっていると話していた
下女仲間のアリアンに
話を聞くことにしました。
ジョエンソンは、
何日もアリアンを待ち伏せして
ようやく、
彼女を捕まえることができました。
ジョエンソンは、
自分がデリスの兄だと
自己紹介した後に
話がしたいとアリアンに頼みましたが
彼女は、首を横に振り
慌てて別の場所へ歩いていきました。
彼女が何か恐れているような
気がしたので
ジョエンソンはアリアンを追いかけて
泣きながら、
妹が突然消えた理由を教えて欲しい。
妹を見つけるのを手伝ってほしい。
知っていることがあれば
1つでもいいから教えて欲しいと
アリアンに訴えました。
ジョエンソンの切実な訴えに
アリアンは足を止め
躊躇いがちに、
自分も命が惜しいので
話すことはできないと言いました。
ただならぬアリアンの言葉に
ジョエンソンは
すでに妹が
死んでしまったように感じ
彼は絶望し、すすり泣きました。
アリアンは
他の人が聞こえないくらい小さな声で
人は、見えるものが、
すべてではないと言いました。
ジョエンソンが
その言葉の意味を尋ねると、
アリアンは、
自分の話をよく考えてみれば
答えが出るだろう。
ジョエンソンが一番信じている人を
疑うように。
自分が言えるのはここまでと言って、
アリアンは
急いで姿を消しました。
3日後、休暇を終えて
宮殿に戻ったアリアンは
休暇前に借りた本を返すため
図書館へ行き、
書架へ本を戻そうとすると
そこに、ソビエシュがいました。
アリアンは、
ソビエシュに挨拶をした後、
命じられた通りにしたと
報告しました。
アリアンがジョエンソンに
話したことは
事前にソビエシュが
許可をしていたことでした。
アリアンは、
1度のミスで厳しい罰を下すラスタを
信用できないので
皇帝に忠誠を誓っていました。
ソビエシュは、
自分の言う通りにすれば
アリアンはどんな処罰も受けないと
彼女に伝えました。
◇ イケメンは弱い◇
コシャールは目を覚ますと
粗末な旅館にいました。
マスタスは、
自分が彼をそこへ連れてきたと
言いました。
彼女は、
コシャールが
こんなに弱いとは知らなった
弱い者いじめをしてはいけない。
と習ったのに。
手加減すればよかったと言って
謝りました。
コシャールは自分が油断していたと
あえて言うのはやめました。
マスタスも、
自分にケガをさせたことで
ナビエに変なことを言わないだろうと
思い、笑いました。
皇后の兄をケガをさせたことで
小さくなっていたマスタスでしたが
コシャールの笑顔を見て
しばらくぼんやりとしました。
彼の微笑みは、水面でキラキラ輝く
光のようでした。
イケメンだから、弱かったんだと
マスタスは思いました。
そして、喉が渇いたので
横に置いてあった大きな水差しの水を
一気飲みしました。
コシャールは、
驚いて目を丸くしました。
マスタスは、
あちこちから音楽が聞こえて来て
お祭りムードだけれど、
何かあるのかと尋ねました。
◇マレイニの告白◇
幽霊騒動が終り
ナビエは、リバティ公爵が
カトロン侯爵の幽霊騒動を
見て見ぬふりをしていたことを
思いだしました。
マレイニのライバルのウィヤンは
リバティ公爵の息子なので、
ウィヤンは、
リバティ公爵の思想に
影響を受けるのではないかと
思いました。
アマレス侯爵(マレイニの父)は
今のところ、中立のようだけれど
ウィヤンが後継者になれば
変わるかもしれませんでした。
おさらい、リバティ侯爵の息子を、マレイにの父親のアマレス侯爵が養子にしています。
悩んだ末、ナビエは
マレイニを呼びました。
ナビエは、マレイニに、
以前出した宿題は
彼女の能力を
知るためのものだったと言うと、
マレイニは、
あの報告書は自分が真似したと
告白しました。
ジョエンソンの
一番信じている人って
ラスタのことでしょうか?
ソビエシュは
どうしてそんなことを
アリアンに言わせたのか
わかりませんが
子供が生まれた後
ラスタに皇后をやめさせるための
理由の一つにするのかなと
思いました。
ハインリの前では
素直になれるナビエ様。
可愛いです。
コシャールとマスタスも
この先、どうなるのか
気になります。