152話 巨大な鷲が赤ちゃん鷲になる、奇妙な夢を見たナビエでしたが・・・
◇ハインリの夢◇
ナビエは生々しい夢を見た後
侍女たちの勧めもあり
ベッドでひと眠りしましたが
今度は夢を見ませんでした。
その日の夕方
ハインリと一緒に食事をしていると
彼も昼間、居眠りをした時に
不思議な夢を見たことを
話してくれました。
その夢とは
ハインリの宝石コレクションの中に
宝石よりもきれいな
緑の混じった黄金色の卵があり
それを拭いていたら
ヒナがかえった。
可愛いので抱いてやると
そのヒナは宝石を
食べたいと言ってむずかった。
だから、宝石を食べさせると
鳥はあっという間に巨大化して
ハインリの玉座をくれとせがんだ。
妙に叱ることもできなかったので
ナビエを助けに呼び
彼女のおかげで
巨大な鳥を玉座から離すのに
成功した。
というものでした。
誰かが私に逆心を抱いているという
予知夢かも・・・
とハインリが心配していたので
ナビエは、
自分も同様の夢を見たことを
話しました。
2人で似たような夢を見るなんて
本当に心の通った夫婦に
なれた気がする。
とナビエが言うと、ハインリは
遠くの別の大陸では
夫婦が同じ夢を見ると
赤ちゃんが下りてきたという
迷信がある。
と話してくれました。
ナビエは、
そんなはずはない、
月経もしっかり来ていた。
と反論すると
ハインリは、
そろそろ、次の月経の
次期ではないかと
ナビエに尋ねました。
ナビエは
たとえお腹に
赤ちゃんがいたとしても
2週や3週では
正確にはわからない。
とハインリに言いました。
しかし、ハインリは
ナビエの妊娠に肯定的だったので
彼女に宮医の診察を受けることを
勧めました。
けれども、ナビエは
期待した後に失望して
余計に苦しむことになるのは
嫌なので
本当に妊娠しているのなら
時間が経ち
確実になってから
知りたいと思いました。
しかし、ハインリは
このことに関しては
頑として自分の考えを
譲りませんでした。
ハインリは
ナビエが妊娠していなくても
休息が必要だと主張しました。
そして、甘美な声で
クイーン
と呼びながら
ナビエに手を伸ばした時
彼女は、夢で見た
怒られると小さくなった
赤ちゃん鷲のことを
思い出しました。
ナビエは渋々
宮医の診察を受けることを
承知しました。
翌日の朝食後、ナビエは
宮医の診察を受けました。
ナビエの腕に触れていた
宮医の手が落ちると
彼は、ゆっくりと口を開きました。
◇カルル侯爵の失望◇
優れた皇后を捨ててまで
得たかった皇帝の子供、
やっと生まれた赤ちゃんが
女の子だったので
カルル侯爵は
失望を隠すことができませんでした。
生まれた赤ちゃんは
ラスタにそっくりで
カルル侯爵が今まで見た中で
最も愛らしい顔立ちを
していると思いましたが
ソビエシュに必要なのは
可愛い赤ちゃんではなく
健康で賢い後継者でした。
赤ちゃんには申し訳ないと
思いながらも
カルル侯爵は
不満でしかありませんでした。
カルル侯爵は2番目の子供を
ラスタに産んでもらうのか
ストレートに尋ねました。
ソビエシュは首を振りました。
カルル侯爵は
早くラスタと離婚をして
立派な家門の令嬢を迎えて
皇子を迎えなければならないと
言いました。
ソビエシュは、またもや
首を振りました。
そして、ソビエシュは
新しい皇后が来ると
この子の立場が苦しくなる。
と言ったので、カルル侯爵は
ラスタをこのまま
皇后にしておくのかと尋ねると
ソビエシュは
ラスタとは離婚する。
すぐに離婚できなければ
手荒な方法を使う。
と答えました。
それでは、皇子様は
誰が産むのか
まだ、ナビエ様の帰りを
待っているのですか?
とカルル侯爵が尋ねると
ソビエシュは
ナビエが戻ってくれば
良いけれど
彼女が戻って来なくても
次の皇后は置かない。
と言いました。
そして、ソビエシュは
大事なのは、この子が
自分の血を継いだ者であり
息子か娘であるかは問題ない。
と言って、生まれた子を
自分の後継者として育てると
言いました。
カルル侯爵は驚愕して
開いた口が塞がりませんでしたが
ソビエシュは
この子が最初の女性皇帝になる、
姫の名前はグローリーエム
全ての栄光が、この子に
捧げられるように。
と言いました。
ソビエシュは、
早くから子供に
政務と実務を教えて
全ての準備をさせるなど
すでに、色々考えていました。
カルル侯爵は
ため息をつきながらも
他の国には女帝も女王もいるし
子供がナビエくらい賢ければ
女帝になるのも
可能だと思いました。
カルル侯爵は
姫を後継者にすることを
ラスタに話すのかと
ソビエシュに尋ねると
絶対に知らせるな。
とカルル侯爵に命じました。
◇壁◇
ラスタの身体が回復すると
ソビエシュの初めての子の
誕生を祝うパーティが
開かれ
貴族や貴賓たちが
たくさんのお祝いを持って
集まりました。
ラスタそっくりの赤ちゃんは
小さな妖精のように可愛らしく
客たちは、ソビエシュを
称えました。
ソビエシュは、
赤ちゃんを懐に抱いたまま
離しませんでした。
ラスタはその様子を見ながら
今、苦しいのは自分だけだと
考えました。
出産後、赤ちゃんと会えたのは
たったの3回でした。
後ろから、手形のことを
ひそひそ話す声が聞こえました。
ソビエシュが赤ちゃんだけを
可愛がるのがわかると
ラスタの顔色をうかがっていた
宮廷人たちの態度が変わりました。
人々は手形事件で怒った
ソビエシュが
わざとラスタと赤ちゃんを
引き離したと思っていました。
ラスタもそうだと
思っていました。
ラスタの身体を治すために
ソビエシュは色々と
送ってくれるけれども
ソビエシュと
奪われた赤ちゃんとの間に
ラスタは壁を感じていました。
ようやく、ナビエが
宮医の診察を受けましたが
その結果は次回となります。
ラスタに対する
ソビエシュの態度が
どんどん冷たくなっていきます。
マンガの第1回目を読んだ時
ここまでソビエシュの
態度が変わるとは
思ってもいませんでした。
ナビエと別れて
不幸になりつつある
ソビエシュと
ナビエを得て
幸せになっていくハインリ。
1人の女性を巡り
2人の男性の人生が
変わっていくのが面白いと思います。