162話 ラスタの偽親の実の娘がエベリーかも。衝撃の事実にロテシュ子爵は・・・
◇エベリーの両親◇
ソビエシュが
エベリーを側室にするつもりだと
信じていたロテシュ子爵は
もしもエベリーが
イスクア子爵夫妻の
本当の娘だったら
人々は
彼らの2人の娘が
(ラスタは偽の娘ですが)
皇帝の妻となると考えるだろうし
ラスタは、エベリーに
すべてを奪われることになると
思いました。
ロテシュ子爵は
あらかじめ小さな瓶を用意し
彼がラスタのために
雇った傭兵を呼び出して
その瓶の中に
エベリーの血を取って来るように
命じました。
◇娘に会えない◇
ズメンシア老公爵は
クリスタのいる
王妃たちが余生を送るための
コンプシャの巨大な邸宅へ
到着しました。
彼がクリスタに最後に会ったのは
会議場で
彼女は何度か父親を見て
目で助けを求めていましたが
しかし、ズメンシア老公爵は
そこでクリスタを助けても
彼女は以前の栄光は取り戻せない。
それならば大きな可能性のある
孫のために
家門に得になるようにと思い
クリスタを見捨てました。
それに腹を立てたのか
クリスタは父親の顔を見ないで
コンプシャへ行ってしまい
それ以降、手紙や人を送っても
受け取ってくれませんでした。
ズメンシア老公爵は
馬車を邸宅内へ
入れさせようとしましたが
屋敷の周りを警備していた
騎士たちが
御者に帰るように命じて
中へ入ることができませんでした。
ズメンシア老公爵が
自分はクリスタの父親だと言っても
彼女は誰にも会いたくないと
言っている。
家族が来ても例外ではないと
騎士は主張し
中へ入れてくれませんでした。
◇監禁◇
旅館を丸ごと借りた
ズメンシア老公爵は
最上階の寝室に入る時に
何かおかしいと呟きました。
クリスタは
恥ずかしい思いをして
コンプシャへ退いたとしても
人々と交わるのが好きな彼女が
父親や彼女に従った人々と
会わないのは
クリスタらしくないと
思いました。
ズメンシア老公爵は
身の軽い傭兵に
騎士たちの間を
すり抜けさせて
邸宅の中へ入るように命じました。
夜明け前に戻ってきた傭兵は
邸宅の窓とドアは
全て閉ざされており
高い所にある窓は小さくて
人が出入りできない。
正門の下に小さな穴があり
そこらか、食物と飲み物を
入れていると報告しました。
ズメンシア老公爵は
クリスタが監禁されていることに
気が付きました。
ズメンシア老公爵は
人好きな明るい娘が
孤立したまま
閉じ込められていること、
そして、陰でそんなことをした
ハインリのことを考えると
悔しくてたまりませんでした。
そして、自分が騎士たちを
どうにもできず
娘を助けてやれないことに
腹が立ちました。
彼は、絶対にこのまま
見過ごすことはできないと
思いました。
◇大祈祷◇
コンプシャから戻った
ズメンシア老公爵は
身体に良いけれども
胎児に悪い影響を与える
ジェスレンという食べ物を
買い求めました。
妊婦だったら必ず避けるべき
その食べ物を
皇帝が主催する大祈祷の
供え物にすると言いました。
そこで出された食べ物は
必ず食べることになっていました。
副官から
大祈祷の行事の説明を受けると
行事の途中で
6種類もの食べ物を
食べなくてはいけないことに
ナビエは不安を感じていました。
つわりはなかったものの
ハインリが作ってくれる
いくつかの料理を除いて
口にすることが
できなかったからでした。
副官は
全部食べる必要はないけれど
吐いたり、
ひっくり返したりすると
不運とみなされると
教えてくれました。
ナビエは食べ物を吐いてしまうと
いけないので
妊娠していることを公表し
行事に参加しないのはどうかと
思いました。
しかし、
ハインリとナビエの仕掛けた
ナビエ不妊説の罠が
効果を上げてきているので
それを止めるのは
絶対ダメだと思いました。
胎児に害のある
食べ物が出てくることは
ないだろうから、
自分が少し我慢すれば良いと
思っていたナビエでしたが
大祈祷の際に、
胎児に悪い食べ物が
出てきてしまいました。
ナビエとハインリは目が合うと
お互いに困り切った
笑みを浮かべました。
ナビエの妊娠の発表は
最大限先延ばしにしたかったし
少なくとも
ハインリの誕生パーティーまでは
発表したくありませんでしたが
その食べ物を食べられない以上、
真実を明らかにすることにしました。
ナビエは最大限の笑顔で
ハインリに手を伸ばし
彼はナビエの手の甲にキスをし
ナビエのお腹に
軽く手を乗せながら
あの食べ物は
自分1人で食べなければならない。
神様も、ナビエの子供が
お腹を壊すことを
望んでいないからと言いました。
ナビエは貴族たちに向かって
この上なく幸せでたまらないと
いうように笑って
2か月です、と言いました。
◇ソビエシュの衝撃◇
グローリエムを
膝の上であやしていたソビエシュは
ナビエが公式の場で
自ら、妊娠していることを
明らかにしたと
カルル侯爵から聞き
衝撃を受けました。
カルル侯爵は
ソビエシュが
姫を落とすのではないかと
心配しましたが
落とさずに済みました。
ソビエシュは
カルル侯爵に出て行くように
命じました。
ソビエシュは混乱していました。
ナビエが妊娠した?!
彼女は不妊ではなかったのか?
自分たちの間には
何年も子供が生まれなかったのに。
西大帝国へ行ってから
1年も経たないのに
ナビエが妊娠したって?
ナビエが不妊でなかったら
自分の立てた計画と離婚は
一体、何だったのか。
赤ちゃんのために
ナビエを捨てたのに
不妊ではなかったなんて。
ソビエシュの行動と考えと
呼吸まで止まりました。
ソビエシュは
抱いている赤ちゃんに
視線を落としました。
ラスタそっくりの
きれいな銀髪の
柔らかい髪の毛を
以前も見たことがありました。
もしも、不妊なのが
ナビエではく
自分だったら・・・
ナビエ様の妊娠を
ソビエシュが知ることに
なりました。
2人の間には
何年も子供ができなかったし
子供の頃
堕胎薬の入ったクッキーを
食べたので
その副作用で不妊症だと
信じ込んでいたわけですが
ナビエ様が不妊症でないと
わかった途端
自分が不妊症だったのではと
疑うなんて
短絡的だと思います。
魔力石のベッドのおかげも
あるかもしれませんが
毎晩、色欲に燃えた
欲情ワシと一緒に寝ていれば
すぐにナビエ様が妊娠しても
不思議ではないのではないかと
思います。