169話 ナビエの幸せを妬むラスタが、何かしでかさないといいのですが・・・
◇西大帝国へ出発◇
ハインリが
自分に関心を示していた時に
会っているべきだったと、
ラスタは怒りながら
エルギ公爵の元へ
向かいました。
ラスタは、
自分の嫌いな人が
ラスタに不幸を押し付けて
幸せになっているのが嫌だと
エルギ公爵に言いました。
不幸を押し付けてなんていないと思うのですが・・・
エルギ公爵は
誰の話をしているのか
ラスタに尋ねましたが
彼女は、はっきりと答えず
部屋の中にある
大きなスーツケースについて
尋ねました。
ハインリに初めての子が
できたので
お祝いをしに行くと
エルギ公爵が答えると
ラスタは気分が悪くなりました。
エルギ公爵は、
皇后陛下は行かないのか?
他国であれば
国の礼儀として
東大帝国の皇后を
礼を尽くしてもてなすと
ラスタに言いました。
ラスタは、ナビエの
幸せな姿は見たくないけれど
ハインリに会いたいと思いました。
あの頃、自分は
ソビエシュ皇帝に夢中だったから
彼のことを
知らんぷりしていたけれど
今は状況が違うから
他の結果が出る可能性もあるかも。
自惚れが強いというか、何というか・・・
ラスタは、
ハインリの心が変わっても
変わらなくても、
探りを入れてみたいと
思いました。
それに、自分を穴に押し込んで
去った女が
幸せになるのを見たくないし
エルギ公爵も行くとなると
西大帝国に行かない理由は
ありませんでした。
ラスタはソビエシュに
西大帝国に行っても良いか
尋ねると、彼は
ついでにナビエを見て
皇后の態度をよく学んで来いと
言って、
あっさり許してくれました。
数日後、ラスタは
リルテアン大公と西大帝国へ向かい
エルギ公爵は、
他の一行とは別の道を
出発しました。
その翌日は、パルアン侯爵が
コシャールに会うために出発し
ソビエシュは、
ハインリの誕生日に
送るつもりだったエベリーを
出発させました。
その他にも、
個人的に西大帝国へ行った
宮廷人が多かったので
宮廷内は静かになったようでした。
ソビエシュは、
自分の側近の騎士たちを放ち
ラスタの下女たちを
捕まえさせました。
ソビエシュはラスタが留守の間に、何かするつもりなのでしょうか?
◇老公爵の悲しみ◇
その同時刻
ズメンシア老公爵は孫と孫娘に
彼らの伯母は
彼らの将来のために、
家門のために自殺した。
だから、彼らは熱心に勉強をして
家門を強くし
伯母の復讐をしなければならないと
頼みました。
ズメンシア老公爵は
彼らのために娘を捨てたので
彼らにクリスタの犠牲を
崇高に受け止めて
記憶しておいてもらいたいと
望んでいました。
ところが、2人は
叔母は嘘つきだ、と
友達に言われてからかわれている。
男に狂って皇后陛下を辱めたために
連れていかれたのに
どうして自分たちの犠牲になったのか。
叔母の自殺は
自分たちと関係がないと反論したので
怒ったズメンシア老公爵は
孫の頬を叩きました。
泣いている兄を見て
孫娘は
叔母が自殺したのは
自分たちが死ねと
言ったからではないと言って
祖父に反論しました。
クリスタは、2人のために
皇宮で誕生パーティーを
開いてくれたり
プレゼントを贈ってくれたりと
色々尽くしてくれたのに
2人は薄情だと
ズメンシア老公爵は叫びました。
そこへやってきた
ズメンシア公爵夫人は
泣いている息子を抱きしめると、
クリスタのせいで
皇帝の第一子を祝うパーティーに
招待されない。
笑いものにされていると
老公爵に抗議しました。
ズメンシア老公爵は
怒りで目を真っ赤にして
叫びましたが
彼女は2人の子供を連れて
出て行きました。
老公爵は
あの薄情な者たちのために
クリスタを犠牲にしたことを
後悔しました。
老公爵は皇帝と妥協しなければ
家門が崩れても
クリスタ1人を
守ることができたと思いました。
老公爵は大泣きして
両手で顔を覆いました。
けれでも、
彼らを見捨てれば
クリスタの死は無駄になってしまうし
彼らを追い出せば
家族は自分1人になってしまいます。
そして、カトロン侯爵は
老公爵からの連絡を
受け取らないし
リバティ公爵も息子2人を
あちこち送って
皇后との人脈を作っていました。
老公爵はすすり泣き続けました。
◇妊娠祝賀パーティー◇
パーティー当日
予想していたよりも多くの
外国からの貴賓がやって来ました。
その中の一人のパルアン侯爵が
「陛下がいなくなったので
寂しく過ごしていた。」と
ナビエに伝えると
その様子を無表情で見ていた
コシャールが
妹に馴れ馴れしくするなと言って、
2人の冗談まじりの会話が始まり
それを見ていたナビエに
自然に笑みが浮かびました。
コシャールも久しぶりに
パルアン侯爵に会えて
嬉しそうでした。
一方、ハインリは
エルギ公爵と
ひそひそ話をしているのに
しきりに笑いが絶えず
エルギ公爵が
眉間に皺を寄せると
ハインリが両頬を手で押したので
エルギ公爵は微笑みました。
ハインリの口の形から、
彼は「笑って」と
エルギ公爵に言っているようなので
ナビエは、2人で
何の話をしているのか
気になりました。
エルギ公爵はハインリに
最近仕事をしていないと
言いました。
ハインリは
東大帝国と死活をかけて戦っても
勝つのは難しい。
勝ったとしても、
滅ぼすことはできない。
どんな理由で戦争をしても
東大帝国が滅びなければ
記録が残る。
歴史学者は
隣国の皇后となったクイーンが
復讐心のため
自分の母国を戦争に
追い込んだと言うだろう。
自分は、クイーンに
そのような汚名を着せたくないと
エルギ公爵に言いました。
エルギ公爵は
自分はあきらめない、継続すると、
ハインリに伝えました。
そこへ、白いドレスを着た
ラスタが登場しました。
エルギ公爵は、
収穫期は遠くないと言いました。
ナビエは
南王国のソズ姫と
マスタスの会話が面白くて
お腹を抱えて笑っていましたが
突然ソズ姫が
どこかを見つめました。
ラスタがホールの中に入ってきて
ナビエを見つけると
彼女の所へやって来て
ニッコリ笑いながら口を開きました。
ナビエ様の妊娠祝賀パーティーへ
やって来たラスタ。
早速、ナビエのところに
やってきましたが
何かよからぬことを
考えていそうな気がします。
ナビエ様のために
東大帝国との戦争を
諦めたハインリ。
ステキだと思います。