66話 麗奈は今の人生に正直になると決心しました。
智彦は、前日の麗奈との会話と、
キスをしたことを思い浮かべて、
微笑んでいましたが、
そこへ勇斗がやって来て、
何かいいことが
あったようだけれど、
朝から悪い知らせを
伝えなければならないと言いました。
智彦は、
話さなくていいと言いましたが
勇斗は、
麗奈に関係することだと言って
スマホの画面を見せました。
そこには、
Sグループの妻✕✕の
乱れた私生活を暴露というタイトルで
記事がアップされていました。
智彦は、誰の仕業だと言って
怒りを露わにしました。
春香は麗奈に
大丈夫かと心配そうに尋ねました。
麗奈は、何が大丈夫なのかと
聞き返すと、
春奈はもじもじしながら、
「掲示板に・・」と
言いかけたところで、
電話がかかってきました。
麗奈が電話に出ると、
いきなり、優里が
何があったのかと尋ねました。
訳の分からない麗奈に優里は、
とりあえずURLを送るので
見たら、
すぐに連絡をするようにと
念を押しました。
麗奈は、URLをクリックすると、
国内有名グループの養子であるAさんは
長年交際していた
婚約者Bさんがいるにもかかわらず
彼を捨てて婚約破棄後まもなく、
Sグループの次男Cさんと結婚。
それは、お金目当ての
計画的な結婚だという話もある。
さらに、Aさんは、婚約者以外にも
交際している男性がいた。
Sグループの名に泥を塗っている。
普段の性格も悪く、
暴力事件も起こしている。
Aさんの美人局がいつまで続くのか
注目されると書かれていました。
麗奈はトイレに座り、
誰がこのような書き込みをしたのか。
自分のことをよく知っている人に
違いないと思いながら、
優里に電話をかけました。
彼女は、麗奈に
とりあえず記事を
何とかしようとしたけれど、
ネットで急速に拡散されていると
伝えました。
一体誰の仕業なのかと
ため息をつく麗奈。
どんな奴がデタラメを書いたのか
調べてみないと分からないと
答える優里。
麗奈は智彦も知っているに違いないと
心配しましたが、
優里は、
彼が知っていたとしても
何も変わらないから大丈夫だと
麗奈を安心させました。
そして、麗奈も知っているように
自分は悪質なデマが一番嫌いだし、
事実でないのは確かなので、
念のために、できることは
何でもすると伝えました。
麗奈はお礼を言って
電話を切りました。
そして、自分のせいで
こんなことに巻き込まれた智彦に
すまないと思っていると、
財閥の娘のふりをしていたけれど
実は可哀そうな養子だった。
それなのに、
少し顔がきれいだからといって
男を弄んでいたと、
同僚2人と一緒に、
トイレに入って来た橋本樹奈が、
麗奈の悪口を言っているのが
聞こえてきました。
1人の同僚は、樹奈と麗奈が
高校の同級生だったのかと
確認すると、樹奈は、
とても酷かった。
この男、あの男と
甘い汁だけ吸うと、
別の男に乗り換えることで
有名だったと話しました。
麗奈は歯ぎしりをしました。
高校生の時に、
養子のくせに生意気だ。
使いものにならない人間だと、
彼女に言われた時と同じだと
思いました。
同僚は、
なぜ、中田チーム長と
破談になったのかと尋ねました。
樹奈は、
条件の良い方に、
乗り換えたに決まっていると
答えました。
それを聞いた他の2人は、
代表は、騙されたようだ。
麗奈の正体が発覚したら、
すぐに追い出されるのではないかと
笑っていました。
麗奈は、絶対にそうはさせないと
誓いました。
会社の人たちは、
代表は大丈夫なのか。
これは完全に結婚詐欺だ。
どうして、あんなに図々しいのかと
麗奈を見て、口々に噂しました。
麗奈は、こういう時こそ、
気を引き締めなければならないと思い
智彦の部屋へ行くと、
優里と麻里子と宮本が揃っていたので
驚きました。
智彦は、麗奈に
椅子に座るように勧めました。
優里は、
麻里子まで来るのは
大袈裟ではないかと言うと、
麻里子は、
西江グループ云々言われたので、
法務チームのメンバーである自分が
来る必要があると返事をしました。
智彦は、麗奈に、
今回記事を投稿した人に
心当たりはあるかと尋ねました。
自分が智彦を奪ったと
勘違いしている璃香。
麗奈と碧人が破談したので、
金づるを失った由香。
智彦に片思いしていた樹奈。
麗奈は、
この3人のうちの誰かだろうと
思いました。
宮本は、
ポータルサイトには連絡して、
書き込みは全て削除してもらった。
拡散したものも、
今日中に収まると言いました。
麗奈はお礼を言いました。
当然のことだと言う宮本。
麻里子は、麗奈の肩に手を置くと、
こういう時ほど、
強気でないといけない。
そんな奴らは踏み潰して、
地獄に落とさないと
反省しないと叫びました。
麗奈は、同じ考えだ。
すぐに告訴しようと言いました。
優里は、
反論記事を出す準備をすると
言いました。
智彦は、宮本に
告訴する準備を手伝うように告げ、
麻里子には、
記事は事実ではないと
両親に話すように言いました。
優里は、
とりあえず自分たちは帰ると言い、
麻里子は、智彦に
絶対に犯人を捕まえろと命令し、
宮本は、麻里子に対して
冷や汗をかきながら
これで失礼すると告げました。
麗奈は、こうしていないで、
自分も何かしなければと思い、
立ち上がると、
智彦が麗奈を後ろから抱き締め、
大丈夫、大したことない。
自分が全て解決するので
麗奈は気にしないで。
不安に思うことはないと慰めました。
智彦と出会う前の麗奈には
味方が1人もいなかったのに、
今は、麗奈を助けようとしてくれる
家族がいる。
そして、麗奈への誹謗中傷記事に
惑わされることなく、
麗奈を思いやる智彦。
新しい人生を生きる麗奈に
いいことが、次々と起きています。
これは、麗奈が
前の人生の時とは違った選択をした
結果です。
現実の世界では、過去に戻って、
人生をやり直すことはできないけれど
これからの人生をどうするかは
決めることができます。
日々、生活している中で
些細なことへの選択でも、
その結果を
自分が引き受けることになることを
考えていれば、慎重に行動し、
後悔することも
少なくなるのではないかと
感じました。