自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

ハーレムの男たち 645話 ネタバレ 先読み 原作 あらすじ 結界が変った村

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645話 ラティルは苦痛に喘ぐ中で、誰かの声を聞きました。

 

◇新たな怪物◇

顔に冷たい水が

当たるような感じがして、

目の前がすっきりしました。

 

何だったんだろう?

 

ラティルは無意識のうちに

呼吸をしようと努力しました。

破片が散らばったような視界の中で

聞こえた言葉が気になりました。


陛下は、まだ

お目覚めになられていませんか?

 

ラナムンの声のようでしたが、

その「まだ」という単語が

気になりました。

 

それから、ラティルは、

ここは一体どこなのかと思いました。

まだ体は動かすことができず、

おそらくアリタルであろう人は

前へ向かって走っていました。

彼女が速く走る度に、

足元で木の葉が砕け散り、

時々、細長い木の枝が

頬と目元を鋭くかすめました。

アリタルは、

それでも止まりませんでした。

 

どこへ行くのだろうかと

ラティルが考えていた時、

速く走っていたアリタルが

何かを見つけました。

森の向こうで

誰かがうずくまっていました。

 

シピサ!

 

アリタルは叫びながら、

そちらへ速く走りました。

すごい早さでした。

元々、大神官だったアリタルは

ラティルよりも体力が劣っていたのに

アリタルの速度が以前と全く違うので

ラティルは驚きました。

 

うずくまっていた人が顔を上げました。

 

お母さん。


ラティルが覚えているシピサよりも

大きくなったシピサでした。

もうそんなに時間が経ったのかと

不思議に思っていると、

シピサはアリタルに向かって

両手を伸ばし、

 

お母さん。

 

と呼びました。

アリタルは

ポケットからハンカチを取り出し

シピサの口の周りの血を拭いました。

シピサが首をくわえていた人が

ドスンと倒れました。シピサは

 

お母さん。

 

と呼んで、明るく笑いました。

アリタルは、

こんなことをしてはいけないと

言ったはずだと

半分すすり泣きながら叱り、

彼の手についた血まで拭き取りました。

シピサは、

お腹が空いていたと消入りそうな声で

言い訳をすると、

アリタルの膝をつかんで

涙をぽたぽたと流しました。

そして、自分が母親を

悲しませてしまったのかと

尋ねました。

そのシピサの話し方は

子供のようでした。

発音は明瞭だけれど、

どこかそんな感じがしました。

 

ラティルが出会ったシピサは、

無邪気過ぎるところがありましたが、

こんな風な話し方では

ありませんでした。

なぜだろうかと、

ラティルは不思議に思いました。

 

アリタルはシピサを抱きしめ、

泣きながら横を見ました。

倒れた人の首から

血が流れ続けていました。

アリタルはシピサを離すと、

瞬きをしているその人に、

申し訳ないけれど、

自分は以前のように

人を治療することができない。

しかし、望むなら、

人ではない姿で命を与えられると

囁きました。

 

その人は、

そうしてでも助けてくれと言うように

かすかに頷きました。

アリタルはシピサに

目を閉じるよう指示しました。

シピサが両手で自分の目を覆うと、

アリタルは、その人の首を噛みました。

 

うわっ!

 

ラティルは喉を通る血を感じて

驚き、一人で叫びました。

血を飲んでいたアリタルが

その人の傷に何かを吹き込みました。

それから口を離すと、

しばらくしてその人が

ゆっくりと上半身を起こしました。

首筋の傷をいじっていた人が

アリタルを見つめながら、


あなたは、どなたですか?

 

と尋ねました。

ラティルは、その人の瞳が

少しおかしくなったと思いました。

アリタルは、彼に、

あなたも、この子のように、

血に飢えるようになるだろう。

しかし、人を殺めなくても

お腹を満たすことができるよう

適切な方法を見つけるように。

そして、直接噛んで

吸血しないようにと、

簡単に説明した後、

一度や二度ではないかのように

立ち上がりました。

 

彼女はシピサの手を握って

来た道を、また歩いて行きました。

シピサはアリタルに

怒っているのかと、

消え入りそうな声で尋ねました。

アリタルはシピサに、

もう人の首を噛まないようにしようと

約束したのにと責めると、

シピサは、再び涙を流しました。

 

アリタルは、

以前、議長が案内してくれた

小屋に入りました。

以前と違って、小屋の中に

ぎっしり詰まっていた数多くの本は

全て消えていました。

その代わりに、

中からおいしそうなスープの匂いが

漂って来ました。

 

また問題を起こしたんだね。

 

議長は舌打ちしながら

近づいて来ると、

シピサの頬をつねりました。

彼が、

 

シピサは悪い子です。

 

と、拗ねているような声を出すと、

ラティルは驚きましたが、

議長は、その姿が可愛いというように

笑いました。

そしてシピサの前で

スープを装いました。

 

その日の夕方、

アリタルは眠っている

シピサを見下ろしながら、

乱れた髪の毛を一本一本撫でました。

議長はアリタルに近づくと、

 

心配ですね。

 

と言って、彼女に

コーヒーカップを差し出しました。

アリタルは、それを受け取ると、

普段は普通の子供なのに

お腹が空くと

確かに怪物のように見えると答え、

シピサの髪を撫で続けました。

 

議長はベッドサイドに腰を下ろすと

どうするつもりなのか。

子供は死体を食べる

屍鬼にはならなかったけれど、

血を食べる

別の怪物になってしまった。

しかも、食餌鬼と違って

ゾンビのような伝染性まで

出てしまった。

アリタルが、新しい怪物を

作ってしまったと責めました。

アリタルは何も言いませんでした。

議長は一人で

コーヒーをすすりました。

そして、あれから半月しか

経っていないのに、

急にこんなに大きくなってしまった。

人間の子供が半月で

こんなに育つわけがないので、

村へ連れて行けば、

みんな変に思うだろうと言いました。

 

その言葉を聞いてラティルは、

シピサが子供のように話していたのは

実際、彼が、

まだ子供だからということに

気がつきました。

アリタルは議長からもらったコーヒーを

テーブルに置きました。


アリタルは

分かっている。

それにシピサから漂う気があるので

神官たちは、

子供が人間ではないということを

知るだろうと返事をしました。

しかし、議長は、

シピサだけではない。

アリタルも

以前のような気が出ていない。

それに、聖騎士と、もう1人の子を

村に置いてきたけれど、

どうするつもりなのかと尋ねました。

 

ふと、ラティルは、

シピサは吸血鬼なのに

寝るのだろうか。

アリタルが作り出した

吸血鬼だからなのかと考えました。

 

アリタルが冷めたコーヒーを

飲んでいる間、

議長はあくびをしながらも

そばにいました。

しばらくして、アリタルは

村へ行って来る。

セルとギルゴールの様子を

見なければならないし、

村人たちのことも心配だからと

答えました。

議長は、

シピサは自分が面倒を見るので、

心配しないようにと言いました。

 

アリタルは夜が明けると、小屋の前で

エルフの言うことを

よく聞かなければならない。 

問題を起こさないように。

お腹が空いたら

エルフに助けを求めるよう

シピサに言い聞かせました。

 

シピサは、

一緒に行ったらダメかと

駄々をこねながら

アリタルの手を握りました。

そして、父親に会いたい。

父親は、いつ来るのかと

尋ねました。

 

アリタルは躊躇いながら

 

お父さんは、今セルといます。

 

と答えました。

 

その言葉が出てくるや否や、

無邪気だったシピサの目が

一気に暗くなりました。

シピサは、

セルは悪い子なのに、

父親はセルに怒らないのかと

尋ねました。


アリタルは議長に目配せすると、

彼は明る過ぎるくらいの声で、

白い砂がこれだけあるので、

一緒に砂の城を作らないかと

誘いました。

白い砂を見て、

シピサは興味を示しました。

アリタルは、

シピサをよく見ていて欲しいと

議長に頼むと、小屋を出ました。

◇村での異変◇

森を走り続けたアリタルは、

空が赤く変わった頃、

ようやく村の近くに到着しました。

 

えっ!?

これって・・・?

 

アリタルとラティルは

同時に嘆きました。

童話の中に出てくる家々のように

美しかった屋根や壁が壊れていて、

灰色の濃い煙が

立ち上るところもありました。

道路には人々が倒れており、

途中で怪物の残骸が転がっていました。

巨大な幼虫のような形をした

怪物が蠢きながら

這っているのが見えました。

翼の生えた怪物が村の上を飛び回り、

壊れたコウモリのような声を

出していました。

 

何が起こったの?

 

アリタルは当惑して

辺りを見回しました。

するとアリタルは

以前、ラティルに感謝すると言って

近づいて来た老人を見つけて駆け寄り

彼を支えながら、

 

大丈夫?

 

と尋ねました。

老人は、

一握りの血を吐きながら、

 

無事だったんですね!

良かったです、大神官様。

 

と答えました。

 

アリタルは老人に、

一体、何が起こったのかと

尋ねました。

老人は、

大神官が去った後、半月ほど前に、

突然、村に怪物たちがやって来た。 

神官たちは、

村の結界に異常が生じたと

話していたと答えると、

またもや血を吐きました。

 

アリタルは老人の傷に

手をかざしましたが、

神聖力は出ませんでした。

老人はアリタルの手を

かろうじて握ると、

村を隠していた結界が

怪物を引き入れる結界に変わったと

神官たちが話していたと伝えました。

ラティルは、

 

何、それ?

 

と思いました。老人は、

 

村全体に暗い気が流れているそうだ。

聖騎士様は・・・

 

と言いかけているところで、

再び血を吐きました。

老人は泣きながら、アリタルの手を

ずっと握り続けようとしました。

そして、

自分はそんな言葉を一つも信じない。

大神官は、この世の宝物だから、

悪いことを言う人たちの話を

一つも聞かないで欲しいと

頼みました。

アリタルは泣きそうになりながら

老人の手を

握り続けようとしましたが、

しきりに手が

抜け出そうになりました。

 

しっかりして、しっかりして。

 

老人の手が力なく地面に落ちると、

アリタルは

老人を抱きしめながら、

周囲を見回しました。

怪物たちは、

アリタルの周りに来ませんでした。

村人たちは、皆逃げたり、倒れたり、

死んでいるようでした。

 

この人を怪物にしてまでも

生き返らせる方が正しいのか?

それとも、安息の地へ送るのが

正しいのかと、

アリタルは悩みました。

彼女は信心深い老人を

間違ったやり方で生かすべきか

それともこのまま送るべきか

決定を下せませんでしたが、

結局、アリタルは

老人の首を噛みました。

 

老人の血を代価に

生命を吹き込んだアリタルは

頭に痛みを感じて頭を上げました。

首を回すと、村人の一人が

崩れた家の残骸の後ろに身を隠し、

アリタルを睨んでいました。

 

怪物!

トウルおじいちゃんの

命を奪った。怪物!

 

その人は叫ぶと、

足元にある拳ほどの石を

再び投げました。

しかし、石がアリタルに届く前に

老人は腕を上げて

石を捕らえました。

目を覚ました老人が体を起こすと、

その人は悲鳴を上げて逃げました。

逃げる人を毛がいっぱいの羽をつけた

怪物が捕まえようとしました。

 

あっ!

 

アリタルが手を振ると、

怪物は粉々に砕けました。

その人は、

自分の体と同じくらいの高さに

浮き上がっていましたが、

地面に転がりました。

アリタルは服をはたいて

身を起こしました。

老人は、自分の手足を

あちこち見下ろした後、

アリタルをぼんやりと見つめました。

そして、

 

大神官様、これは一体?

 

と尋ねましたが、

アリタルは手を上げて

しばらく静かにしろという

合図を送りました。

そして、アリタルは、

先ほどの人が完全に逃げ出すまで

後ろ姿をじっと見守りました。

 

その人がいなくなると、

アリタルは、

ようやく老人を振り返りました。

老人は、

体に力がみなぎっているけれど、

感覚がおかしい。

五感がとても敏感になった。

一体これはどういうことなのかと、

怯えた目で尋ねました。

◇ギルゴールは?◇

アリタルは、自分が神を

裏切ってしまったという話を

老人に打ち明けました。

純朴な老人は、

アリタルを非難することなく受け入れ

自分は大神官を信じる。

大神官は世の中で一番良い人だと

言いました。

 

アリタルは老人に、

自分がここを離れた後に

起きたことについて

一つ一つ尋ねました。

 

老人はアリタルが去った数時間後に

突然、空が夜より暗くなった。

神官たちはランタンを持って走り回り

結界に異常が生じたと叫んでいた。

彼らは村人たちに、

もしもの時に備えて

一カ所に集まるよう指示した。

再び空が元に戻った時、

空一面、怪物たちに覆われていた。

神官たちと兵士たちは、

皆、武器を持っていたと話しました。

 

アリタルは

ギルゴールのことを尋ねました。

老人は、

聖騎士は調子がよくない。

彼は高熱と原因不明の苦痛に

悩まされていて、 戦うどころか、

まともに立ち上がることが

できなかったと答えました。

その言葉に、アリタルは

ショックを受けました。

 

続けて老人は、

日が昇って怪物の数が減ると、

神官たちは、

村を出ようとする人々を連れて

移動した。

結界を復旧することはできなかった。

全員が付いて行ったのではなく、

大神官が、すぐに戻ってくると

信じていた人たちは

皆残った。 自分もその1人だと

話しました。

 

アリタルは苦痛のあまり、

拳を固く握り締めました。

老人は、

神官たちは聖騎士を担架に乗せて

連れて行ったと話しました。

アリタルは、どの方向へ行ったのかと

尋ねました。

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人を襲って血を吸い、

その人を吸血鬼にするくらいなら

死体を食べる食餌鬼の方が

まだ、マシなのではないかと・・

夜中に墓を荒らして

死体を食べる姿を想像するだけで

気持ち悪いですが・・・

 

議長は、アリタルが

新しい怪物を作り出したと言って

彼女を責めていますが、

そもそも議長が、

変な好奇心を抱いたり、

死んだ人を黒魔術で

生き返らせることができると

教えたりしなければ、

アリタルは

シピサを生き返らせることを

諦め、どんなに辛くても、

どれだけ時間がかかっても、

シピサの死を乗り越えることが

できたかもしれません。

もしかしたら、議長は

そのことを、少し後悔していて

ずっとシピサの面倒を

見て来たのかもしれません。

 

ギルゴールはシピサが

6-7歳で亡くなったと

信じ込んでいたから、

初めて神殿でシピサに会った時に

彼のことをセルだと思ったのですね。

シピサはギルゴールのことを

恨んでいますが、

子供の頃は彼のことが

大好きだったので、

自分だと分かってもらえなかった時は

少し寂しかったのではないかと

思います。

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