自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

問題な王子様 ネタバレ 原作 79話 あらすじ マンガ 69、70話 初めての夫婦喧嘩

 

79話 外出先から戻ったエルナは、ビョルンが待っていると聞かされました。

 

黙々と食事だけをするエルナを

見守っていたビョルンは、

どうして、こんなに静かなのかと

尋ねました。

目の前に置かれた皿だけに

集中していたエルナは、

少し疲れたからと

ぎこちなく答えました。

自分はとても怒っていると

抗議しているような態度でした。

ビョルンは軽く笑いました。

 

彼は、皿が半分空になった時に

どこで、何をして来たのかと

二度目の質問をしました。

拗ねた子供のように振る舞う女は

大嫌いでしたが、

これ以上、疲れる状況を

作りたくありませんでした。

 

エルナは、

自分にも私生活というものがあるので

話したくないと答えると、

目に見えて慌てて視線を避けました。

聞かれてもいないのに、

些細な一日の出来事を

延々と話していた彼女らしくない

言い訳でした。

 

ビョルンは、

皿を片付けるように指示し、

再び満たされたワイングラスを握ると

椅子の背もたれに、

ゆっくり、もたれかかりました。

 

自分の視線を

感じていないはずがないのに、

エルナは黙々と食事にだけ

没頭していました。

 

ビョルンは、

やがて顔を上げたエルナを

見つめながら、

無駄なことに

時間と気力を費やすことなく、

エルナが当然すべきことを頑張れと、

落ち着いた言葉をかけました。

口元に浮かんでいる笑みと

柔らかな口調のせいで、

優しい言葉のようにさえ

感じられる毒舌でした。

 

エルナは、

我慢しなければいけないと

思っていましたが、

ビョルンが考える自分の仕事は

一体何なのか。

夫が望む時に、好きな姿で、

好きなことを

何でもしてくれるような人形でも

持っていると思うのかと、

自分の意志とは違う言葉を

ついに吐き出しました。

 

エルナは、ますますこの男が

分からなくなりました。

むしろ、

とても遠い所にいる人のように

感じていた時の方が

もっと楽だったような気がしました。

たとえ本気ではなくても、

大体優しい男だったからでした。

 

しかし、彼に一歩ずつ近づくほど

ビョルンは難しくなっていきました。

愛を感じて胸を躍らせることもあれば

このように残忍に

心を引き裂くこともある。

こんな時は、かえって最初の距離感を

懐かしく感じるほどでした。

 

ビョルンは、

言われてみると悪くない。

これを機に、一度、そういう妻に

なってみたらどうかと提案しました。

ひねくれた笑顔が、

ひどく憎たらしいと思いました。

 

自分は嫌だとエルナは拒否すると、

握りしめていたナプキンを下ろして

席を立ちました。

 

エルナは、

幸い彼も、気まずかった関係を

解消したいように見えたので、

少しは甘えて、心を開いても

大丈夫だと思っていましたが、

彼女の勘違いであったことを

悟りました。

ビョルンが、

こんなに冷酷な男であることを

すっかり忘れてしまっていました。

 

エルナは、

自分があまりにも

至らないということは

よく知っている。しかし・・・

と言ったところで、

喉に熱いものがこみ上げて来て、

しばらく言葉を止めました。

結婚してから、

もう半年が過ぎようとしていましたが

依然として、この見慣れない世の中で

空回りしている自分の姿が

浮び上がりました。

 

それでも、ゆっくり、

少しずつ良くなっていると

信じていましたが、彼の目には

まだ至らないのだろうか。

もしかしたら、この男は

最初からそんな期待さえ

持ったことが

なかったのかもしれないと

思いました。

 

エルナは、

自分なりに努力をしている。

これからもそうだと思うと、

落ち着いた声で

力を込めて言いました。

このような夫のために

あくせく苦労している自分に

幻滅していましたが、

それでも、飽きたら

いつでも捨てられる

人形のようなものに

なりたくありませんでした。

 

ビョルンはエルナに

座るように言いました。

濡れた目を力を入れて開いている

エルナを見るビョルンの唇の間から

長いため息が漏れました。

 

昨夜もエルナは

人を傷つけるような言葉を

投げかけておきながら

傷ついた顔をしていましたが、

ビョルンは、

この女性の心をつかんでいるのは、

まさに自分だという事実を

確認しているような気がして

微かに喜びを覚えました。

しかし、その密かな喜びは、

自分の最悪な部分を見ているような

自己嫌悪を伴っているので

滑稽でありながら甘美でした。

 

エルナは、

赤くなった目を擦りながら、

「嫌です」と大胆に答えました。

それから、エルナは、

申し訳ないけれど、自分は

余計なことをしなければならないので

忙しいと挑発的な言葉を残して

ビョルンに頭を下げると、

一歩一歩、大きな音を立てながら

去って行きました。

その後ろ姿が視界から消えると、

ビョルンは失笑しました。

 

デザートを持って

たじたじとなっていた侍従は、

ようやく注意深く食卓に近づき、

 皿を一枚だけ置きましたが、

ビョルンは、片付けるようにと

命令しました。

書類に署名を終えたビョルンは、

何か言いたいことでもあるのかと

フィツ夫人に尋ねました。

報告を終えても

机の前を離れずにいたフィツ夫人は、

いつもより温厚な目つきで

彼に向き合うと、

王子様も夫婦喧嘩をするというのが

不思議だと思ったと答えました。

「喧嘩だなんて」と返事をした

ビョルンは無邪気に笑いながら

席から立ち上がりました。

 

これまでになく、

荒々しくて小賢しい反抗では

ありましたが、

それを「喧嘩」と命名するのは

少し滑稽だと思いました。

エルナはエルナ。

一言の冗談と笑顔、

そして優しいキスくらいで、

また花のように笑ってくれる女だと

考えていると、

寝室に続く廊下まで付いて来た

フィツ夫人は、

エルナは良い人だと

低い声で話しました。

 

ビョルンは、

厳しいフィツ夫人らしくない、

手厚い評価だと皮肉を言いました。

フィツ夫人は、

ありのままを話しているだけだと

返事をすると、ビョルンは

分かっていると、

嬉しそうに頷きました。

フィツ夫人は、心配そうな目で

その様子をじっと見つめました。

 

王太子夫妻の新婚生活は、

まるで絵に描いたように完璧で

上品で優雅で平穏な日々でした。

とても、その年頃には

似合わないような姿でしたが、

レチェンとラルスの

自負心そのものである

王子と王女という理由で、

皆がそれを当然のように

受け入れていました。

フィツ夫人もそうでした。

 

しかし、果たして、

あの結婚は完璧だったのだろうか。

最近のビョルンを見ると

時々そのような疑問を感じました。

 

彼女が知っている今までの王子は

以前の結婚で見せていた姿と

似ていましたが、

とても見慣れない

最近のビョルンの方が、

なぜか、本物のように感じられました。

 

妻にやきもきし、

無駄にプライドをかけて

言い争いをするビョルン王子を

誰が想像できただろうか。

もしこれが、

本当のビョルンだったら、

あの結婚は何だったのだろうか。

フィツ夫人は、

老婆心と疑問に満ちた目で

妻の寝室に向かう

王子の後ろ姿を眺めました。

 

数十年は一緒に暮らした

老夫婦のように、

お互いに接していた王子と姫を

ただ称賛するのに忙しかった過去が、

今になって不思議に感じられました。

どうして、

そんなことができたのだろうか。

あの時代の2人は、

わずか20歳ぐらいの

若い夫婦に過ぎませんでした。

 

フィツ夫人が、

衝動的に王子を呼んだのは、

信じ難い不倫と破局

真実であったのかという疑問が

思い浮かんだ瞬間でした。

 

しかし、

これまでずっとそうしてきたように、

フィツ夫人は、その疑問を

自分の胸に収めました。

むやみに推測できるようなことでは

なかったし、

たとえ他の真実が存在したとしても、

それを突き止める方法は

ありませんでした。

それに隠そうと決めたなら、

ビョルンは、

どんなことがあってもそうする。

フィツ夫人が育てた王子は

そんな人で、その王子を

彼女は愛していました。

 

にっこり微笑んだビョルンは

妻の寝室の前で立ち止まり

扉を叩きました。

しかし、

固く閉ざされた部屋の向こうから

「お帰りください」と

冷たい答えが返って来ました。

 

その言葉が信じられず

眉をひそめていたビョルンは、

さらに力を入れて

扉を叩き始めました。

鍵のかかっている扉が

ガタガタ音を立てました。

 

扉を開けてと言うビョルンに、

エルナは「嫌です」と返事をすると、

自分のベッドは高い。

勝手に出て行って、

勝手に戻って来られるような

場所ではないという意味だと

言い放ちました。

 

この鹿は頭がおかしくなったのか。

ドアの隙間から溢れ出て来る

叫び声は、猛獣の咆哮のようでした。

 

呆れて苦笑していたビョルンは

扉を開けろ。

開けた方がいいと警告すると、

再び扉を叩き始めました。

叩く音が騒がしくなっただけ、

反抗するエルナの声も大きくなり

薄暗い大公邸の廊下は、

あっという間に、

新婚夫婦の騒々しい戦いの場に

変わりました。

その騒ぎに驚いて

走ってきた使用人たちが

一人二人と集まって来ました。

 

「開けなければ、

入れないと思っているのか?」

扉を叩くのを止めた

ビョルンの顔には、

すでに余裕のある笑いは

残っていませんでした。

鍵を持って来いと命令されたら

どうしようと

ハラハラしていた見物人たちは、

それよりもさらに

衝撃的な光景を見て

ため息をつきました。

息を整えた王子が

ゆっくりと後ろに下がり、

閉ざされた妻の部屋の戸口を

じっと見つめていました。

獲物に向かって突進する直前の

猛獣にでもなったような姿でした。

尋常でない気配を察した侍従たちが

急いで近づいて引き止めなければ、

王子が妻の寝室の扉を

足で蹴って壊すという珍しい光景を

目撃したかもしれませんでした。

 

自分の腕を握った侍従の手を

振り払ったビョルンは、

何か勘違いしているようだけれど、

こんなことをして、

一体、誰が損をすると思うかと、

ニッコリ笑って尋ねました。

 

外の状況を知らないエルナは

とりあえず、

自分が損するのではないというのは

確かだと答えると、

使用人たちの視線は揺れ動きました。

 

しばらく呆然としていたビョルンは、

唾を飲み込んで目を閉じました。

怒りを抑えようとするような

姿でしたが、

激しく震える首元を

隠すことはできませんでした。

額を押さえている手の甲も

同様でした。

 

エルナは、

会いたくないから帰るように。

あらかじめ言っておくけれど

夫婦の寝室の通路にも

鍵をかけてあるので、

そこから入ることなど

絶対に考えないようにと言いました。

 

この鹿は狂った鹿に違いない。

ビョルンは失笑しました。

そして、今すぐこの扉を開けて

出て来なければ、

二度と自分の顔を見ることが

できないと思えと、

無茶苦茶な脅迫をするビョルンの態度は

非常に厳しいものでした。

しかし、エルナは

そんな配慮をしてくれるなんて、

本当にありがとうと

お礼を言いました。

 

彼らが、かなり真剣に

喧嘩をしているという事実は、

見物人を、さらに苛立たせました。

 

人形が必要なら、

王子様が好きな、きれいな人形を

乳母にお願いするようにと

エルナが最後のとどめを刺すと、

扉の前から、彼女が遠ざかっていく

気配が感じられました。

 

ビョルンは、

誰が損をするか見ものだと言って

苦笑いを浮かべながら

振り向きました。

驚いた見物人たちは

急いで目を伏せて後ずさりしました。

この呆れた混乱の中で、

唯一、平常心を維持していたのは

フィツ夫人でした。

王子の最初の泣き声など、

幾多の王子の初めてを

見守って来たフィツ夫人は、

初めての夫婦喧嘩をしたビョルンに

お祝いの言葉を述べました。

そして、きれいな人形が必要かと

尋ねると、

ビョルンは眉を顰めました。

「喧嘩だなんて」と

傲慢な余裕を見せていた時とは

違う顔でした。

 

しばらく、虚空を

見つめていた王子は、

何事もなかったように落ち着いて

振り返りました。

自分の部屋に戻る足取りは

いつものようにゆったりと

優雅でしたが、

扉をバタンと強く閉めたことで、

まだ頭のてっぺんまで

溜まっている怒りを

露わにしていました。

 

大騒ぎが過ぎ去った後の

静寂の中で、誰かが

到底、信じられないという風に

「うちの王子様・・・ですよね。」

と呟きました。

まさか王太子殿下で

あるはずがないので

驚いた人々は口々に、

王子様はどうしたのかと呟きました。

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初めてのエルナの反乱に

どうすることもできないビョルン。

冗談を言って、笑顔を見せて

キスをすれば

機嫌が直ると思ったら大間違い。

エルナだって、

どうにも我慢ができないこともある。

おそらく、

今回のエルナの言動を見たら

バーデン家のおばあ様は

呆然とするかもしれませんが

嫌なことは嫌だと

はっきり言うことも大事だと

思います。

今までは王子に遠慮して

言えなかったことを

エルナが言えるようになったのは

おそらく言っても大丈夫だという

自信がでて来たのではないかと

思います。

ビョルンも、エルナが

綺麗で可愛くて、

自分の思い通りになるけの

女性ではなく、

確固とした自我を

持っている女性であることを

認めて欲しいです。

 

そして、エルナが良い人だと

認めたフィツ夫人も

良い人だと思います。

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