自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

問題な王子様 172話 外伝 19話 ネタバレ 原作 あらすじ 幸せなひと時

 

172話 外伝19話 エルナが妊娠しました。

 

エルナは、

闇の中で目を覚ましました。 

ゆっくりと、

目を閉じたり開いたりを

繰り返しているうちに、徐々に

視野と意識が明瞭になりました、

 

夢ではないと、

確信できるようになって初めて

エルナは押さえ込んでいた息を

長く吐きました。

目を覚ましたら、

奇跡のようだった今日が

消えてしまうのではないかと思い

恐怖を感じていました。

 

「こんばんは、ママデナイスタ」

と、闇の中から

突然、優しい声が聞こえて来ました。

 

まだ目立っていないお腹を

そっと撫でながら

微笑んでいたエルナは、

その声が聞こえて来た方へ

首を回しました。

ビョルンより先に目に入った

枕の横にあるぬいぐるみが、

エルナをもう一度驚かせました。

 

起き上がったエルナは、

これは何かと尋ねて笑い出しました。

枕の両側に、柔らかい毛並みの

可愛いクマのぬいぐるみが

置かれていました。

 

エルナは、胸に抱いた

2つの熊のぬいぐるみを見ている間、

ビョルンは、サイドテーブルの

ランプを点けました。

「パパデナイスタもこんばんは」

と、エルナのはにかんだ声が

沈黙を破りました。

そして、エルナが、

もう聞いたのかと尋ねると、

ビョルンの顔に、

温かい笑みが広がっていきました。

 

エルナは、

何をどう話せばいいのか、

一日中悩んだけれど、

余計なことだったと言うと、

満面の笑みを浮かべたエルナの目頭が

赤くなりました。

赤ちゃんと約束したのだから

泣かないでと、

急いで自らを慰めました。 

そして、自分の意志とは関係なく

熱くなる目をギュッと閉じて、

エルナは胸の中のぬいぐるみを

抱きしめました。

 

高ぶった感情が静まり、

再び頭を上げて

微笑むことができるまで、

ビョルンは、その場で

黙って待ってくれました。

 

エルナは、

これは、赤ちゃんデナイスタへの

贈り物かと尋ねました。

ビョルンは、

ただ、買いたかったと答えると

少し気が抜けたように笑いました。

 

むやみに、

おもちゃ屋を訪れた自分の衝動と

昨秋、自分の手で燃やしたのと

同じぬいぐるみを

再び手にした瞬間の気持ちを

説明できる道は

それだけのようでした。

 

ぬいぐるみと一緒に家に帰る道。

馬車がもう少し早く

走ってくれることを願った気持ちと

眠っている妻の枕元に

それをそっと置いて、

とめどなく眺めた

その間抜けのような姿も。

 

ビョルンは、その2つが

一番人気があるらしいけれど、

エルナは、どちらが好きなのか

分からなかったので、

両方とも買ったと説明しました。

 

茶色のクマと白いクマ。

ビョルンは温もりのある目で

エルナが抱いている

2つのぬいぐるみを見ました。

 

ビョルンはエルナに

気に入った方を選ぶようにと

言いましたが、彼女は、

選ぶのは難しいと思うので、

両方とも、持っていてはいけないかと

聞くと、2つのぬいぐるみを

大切に抱き締めました。

ビョルンは喜んで、

妻の欲を尊重しました。

望むなら、何でも、いくらでも

与えることができる女性を眺める

ビョルンの目つきが

静かに沈みました。

たかがぬいぐるみ2個で

世界を手に入れたように喜ぶエルナが

愛らしいだけに、

過ぎた時間に対する悔恨が

深まりました。

それでも喜んでしまう、

こんなに厚かましくて恥知らずな心を

どう説明すべきなのか分からないので

彼の沈黙は、

ますます深まって行きました。

 

エルナは、

それさえ理解すると言うように

微笑みながら、

静かに彼の手を握りました。

 

プレゼント

ありがとうございます。

赤ちゃんが、

本当に嬉しいそうです。

 

と優しく慰めるエルナの唇と

涙でいっぱいになった青い瞳が

きれいに輝きました。

 

エルナは、

これからも、もらいたいものが

たくさんあると言っていると

話しました。

 

ビョルンは、

言ってみてと言いました。

エルナは、

聞いてくれるのかと尋ねると

ビョルンは「うん」と答えました。

エルナは「何でも?」と尋ねると

ビョルンは

震える妻の手を握りしめながら

「なんでも」と固く約束しました。

 

赤くなった目を瞬かせながら

悩んでいたエルナは

食べたいものを全部言うので

全部、買って欲しいと頼みました。

最初の願いを聞いたビョルンは笑い

「うん」と爽やかな返事をしました。

エルナは、おいしい果物を、

その中でも桃をたくさん食べると、

かなり真剣に誓いました。

 

エルナは、

赤ちゃんの物を一緒に選んで、

部屋もきれいに飾りたいと

頼みました。

 

2番目の願いの前でもビョルンは笑い、

「うん」と、もう少し優しくなった

返事をした時、ビョルンは

エルナの手を握っている手に

そっと力を込めました。

 

1人で1つずつ、

慎ましく集めていた赤ちゃんの物を

密かに覗き込んでいた悲しい記憶を

エルナはもう手放すことにしました。


それからエルナは

次々とお願いをしました。

こんなにたくさんの欲が

あったという事実に

ビョルンは驚きましたが、

止めたくはありませんでした。

 

そしてエルナは、

今はとりあえず、

少し抱きしめてくれないかと

お願いしました。

涙を拭ったばかりの両目いっぱいに

ビョルンを湛えたまま、

エルナはいつにも増して

明るい笑みを浮かべていました。

 

エルナは、

とても嬉しいけれど、

実は少し怖くもあると、

努めて隠してきた本音を伝える声が

細かく震えました。

 

医師に確認を受ける前は、

もしかしたら

妊娠していないのではないかと

心配していたし、

妊娠が正しいという事実を知ると

前のような痛みが

繰り返されるのではないかと

恐怖を感じていました。

ビョルンは「大丈夫だよ」と

いつもエルナの心を守ってくれる

呪文の言葉を囁きながら微笑みました。

そして、彼は、

エルナを抱きしめながら

「大丈夫だよ」と

何度も何度も言いました。

エルナは、それを信じました。

馬車の窓から

外を見ていたビョルンは、

後悔しているなら言うように。

帰ってもいいからと、エルナに

冷静なアドバイスをしました。

大公夫妻を乗せた馬車は、

いつの間にかシュベリン市内の

中心部に入っていました。

 

「いいえ。 行きます、行けます。」

と、エルナは固い表情で微笑みました。

少し緊張しているのは事実でしたが

耐え難いほどではありませんでした。

 

一緒に、赤ちゃんの物を選ぶのに

ビョルンは、大公邸に

販売業者を呼ぶと言いましたが

エルナは、直接デパートへ行きたいと

ビョルンに頼みました。

つまらない駄々をこねていることは

分かっているけれど、

一度は、平凡な幸せを享受する夫婦に

なってみたいと思いました。

人々に、

そのような姿のシュベリン大公夫妻を

覚えてほしいという気持ちも

大きかったです。

どんなに大げさな修飾語をつけた

賛辞よりも

エルナはその一つを望みました。

 

ビョルンは、

エルナが、それとなく注目を

集めるのが好きな方だと言うと

意地悪そうに笑いました。

エルナは、

実はそういう面もあるような気がすると

自分の虚栄心と欲望を

素直に認めました。

お腹の中の子供の前で

嘘をついてはいけないからでした。

少し恥ずかしかったけれど

ビョルンが楽しそうに笑ってくれたので

いいことだと思うことにしました。

 

通りの向こう側に

デパートが見え始めると

ビョルンの目つきが

一層真剣になりました。

体は大丈夫かとエルナに尋ねると、

彼女はにっこり笑いて頷きました。

やや頼りなかったけれど、ビョルンは

ひとまず見守ることにしました。

しばらく激しかったつわりも

今週に入ってから落ち着き、

そのおかげか

顔色も一段と良くなりました。

この外出が、無理にならないか

何度も主治医に問い合わせ、

大公妃は元気だという同じ確答を

何度も受けたりもしました。

 

切実な願いだったからこそ

いっそう現実味のない

その言葉を繰り返すと

ビョルンは落ち着いて

注意深く妻を見ました。

 

エルナは、妊娠した体に合わせて

新しく作った

黄色のドレスを着ていました。

お腹が膨らむことを想定して

身幅にゆとりをもたせたそうだけれど

腰の線が少し変わったこと以外、

まだ目立った変化はありませんでした。

 

ビョルンは、

辛くなったらいつでも言ってくれと

もう一度頼むことで、

老婆心を封じることにしました。

いつ、また取り出すかは

分からないけれど、

まずはそうしました。

 

エルナが

もう一度頷いている間に、

馬車が止まりました。

デパート前の大通りは、

すでに、シュベリン大公夫妻の

行幸の知らせを聞いて集まった人で

混雑していました。

世界中が赤ちゃんデナイスタを

祝福してくれているような日でした。

 

妊娠の知らせが伝えられた後、

初めてシュベリン宮の外に

姿を現した大公妃を、

人々は温かい好奇心が込められた目で

迎えてくれました。

多くの人が集まり過ぎていて

気が気ではなかったけれど、

あらかじめ待機中だった護衛隊が

秩序を整えてくれていたため、

大きな混乱は起きませんでした。

 

妊娠を祝う人々は、

「息子!娘!」と

それぞれの願いを込めて

力強く叫びました。

あまりにも欲張り過ぎの

「双子!」という叫び声に、

大公夫妻は、

ぎょっとしたりもしました。

やはりデパートに行ってよかった。

楽しくて幸せだった時間を

思い出しながら

喋っていたエルナの顔の上に

満面の笑みが浮かびました。

血色のよい頬と

透き通るような瞳が

夕暮れの光の中で輝きました。

ビョルンは静かな笑みを浮かべながら

浮かれている妻を見守りました。

 

特別な何かがあったわけではなく、

彼らは、ただデパートを

悠々と歩きながら

赤ちゃんの物を見物しました。

これがいい、あれがいいと

何の変哲もない

おもちゃ一つを巡って、

かなり真剣な議論を

繰り広げたりもしました。

買い尽くせばいいことでしたが、

ビョルンは喜んで

妻の意に従いました。

 

王子は妻を愛している。

それを証明するために

全シュベリンの見世物を自任した

昨年の秋のように、

繁華街とデパートを埋め尽くした人々は

その愛の立派な観客であり

証人となってくれました。

彼らが行く先々で

祝福の言葉や贈り物が殺到しました。

タダではもらえないので

全てお金を支払うために、

不要な品物まで

たくさん購入するようになりましたが

問題になることはありませんでした。

 

その幸せの証拠の中で

満面の笑みを浮かべていた

エルナが突然泣き出したのは、

馬車がアヴィト川沿いの道路に

入った頃でした。

 

人々が自分たちを憎んでいないと

呟いたエルナは、

両手に顔を埋めたまま

熱い涙を流し始めました。

 

自分たち。

エルナが言ったその言葉の中に

自分が介入する余地はないことを

よく知っていたビョルンは

夕陽の光の中で小さく震えていて

妊娠していても、

依然として途方もなく

弱そうに見える肩と背中を

静かに叩きながら、

数多くの感情が溶け込んだ

その涙が止むのを淡々と待ちました。

 

馬車が灯りの灯った橋に差し掛かると

ようやく泣き止んだエルナは

頭を上げました。

涙に濡れた顔をしていても、

エルナは、

この世で一番幸せな女性のように

笑いました。

ビョルンは何も聞かずに

顔を見合わせて笑いました。

そして手袋を脱いだ手で

ガラス瓶の中に入った

飴一粒を取り出して

エルナの口に入れてあげました。

涙を流しながらも、

それを受け取る妻に、

彼は再び笑わされました。

 

じっとビョルンを

見つめていたエルナも

一粒の飴を差し出しました。

ビョルンは

あっと思いながら、

素直に口を開いて、

つわりを鎮めるために

妻が持っているレモン味の飴を

もらって舐めました。

2人は飴が溶けるまで

互いの目に映っている自分を

見つめながら微笑みました。 

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今回は

ビョルンの皮肉が

登場することなく(笑)

ひたすらエルナを温かく見守る

ビョルンの優しさが

ひしひしと感じられました。

そして、エルナも臆することなく

ビョルンに我儘が言えるようになったし

それに反論することなく

喜んで妻の意思を尊重できる

ビョルンが本当に素敵だと

思いました。

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いつもたくさんのコメントを

ありがとうございます。

私の体へのお気遣いも

本当にありがたく思っております。

 

次回の記事は、

明日の夕方までには

掲載できると思いますので

よろしくお願いいたします。

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