114話 智彦は、麗奈が乗せられている車を発見しました。
そこへ、浅井の車も現れました。
彼は雅紀の車の横に、
自分の車をぶつけました。
智彦も、後ろからぶつけました。
麗奈は悲鳴を上げました。
雅紀はアクセルを踏み、
車を発進させましたが
木に衝突しました。
雅紀は車の扉に頭をぶつけ
気を失いました。
麗奈は、お腹の子供たちに、
ママは大丈夫。
子供たちも我慢してと
声をかけました。
そして、車が止まったので
脱出しなければと思った麗奈は
何とか、縛られている手のロープを
外そうとしていると、
智彦がやって来ました。
智彦は、
大丈夫か。
どこか怪我をしていないかと
尋ねながら、
麗奈を縛っているロープを
解きました。
麗奈は大丈夫だと答えると、
なぜ来たのか。
来ないでと言ったのにと
抗議しました。
智彦は、
そんなことできるわけがない。
早く、ここから降りようと
返事をしました。
麗奈は頷き、
車から降りようとしましたが
その腕を雅紀が掴み、
どこへ行くのか、行かせない。
ここで自分と一緒に死ぬんだと
叫びました。
しかし、麗奈は
雅紀の腕を払い退けました。
智彦は麗奈を
車の中から出しました。
外の風景を見た麗奈は、
そこが、
事故が起きたあの場所であることに
気がつき、愕然としました。
雅紀は、今度は智彦の腕を掴み
どこへ行くつもりなのかと叫びました。
智彦は、放せと言って抵抗すると、
雅紀は、
放さない、
ここで人生を終わらせると
叫びました。
しかし、智彦は雅紀の手を振り切り
麗奈を連れて行こうとしました。
雅紀は、
シートベルトを外そうとしましたが
外せませんでした。
雅紀は大笑いしながら、
行け、行ってしまえ、
自分を見捨てろ。
智彦も自分と変わらない、
利己的な奴だ、消えろと叫びました。
智彦は、雅紀を振り返りました。
麗奈は、
どうしたのかと尋ねました。
智彦は、
どうしてもダメだ。
自分が雅紀を連れて来ると答えました。
麗奈は、
もうすぐ爆弾が爆発するからダメだと
反対しました。
智彦は浅井に、
麗奈を安全な所へ連れて行って欲しいと
頼みました。
浅井は頷きましたが、麗奈は
絶対に行ってはいけないと
反対しました。
しかし、智彦は
雅紀の車の方へ走って行きました。
麗奈は、浅井に
放して欲しいと訴えましたが
彼は、ダメだと反対しました。
雅紀は、やって来た智彦に、
なぜ、来たのか。
自分に同情しているのかと
尋ねました。
智彦は、
そんなことを言っている時間はないと
言うと、割れた車のガラスの破片で
シートベルトを切ろうとしました。
しかし、雅紀は
止めろ、消えろと叫び
智彦を押し退けようとしました。
その時、すでに爆弾が爆発する
15秒前になっていました。
智彦は、
このように雅紀が死ぬなんて
自分は許さないと叫びました。
一方、麗奈は
浅井の手を振り切り、
智彦の方へ駆け寄りました。
智彦は手を怪我しながらも
シートベルトを切ることができ
雅紀を車から
引っ張り出そうとしました。
彼は抵抗しましたが
ニヤリと笑うと、
むしろ良かった。
ここで一緒に死のうと誘いました。
智彦は、
勝手なことを言うな。
こちらへ来いと怒鳴り、
雅紀を車から出そうとしました。
彼は、嫌だと抵抗しました。
それでも、何とか智彦は
雅紀を車から引っ張り出すことに
成功しましたが、
その時、智彦と雅紀の背後で
爆弾が破裂しました。
飛散る車の破片と燃え上がる炎。
そして、智彦のポケットの中から
護符が飛び出して燃えました。
麗奈は悲鳴を上げ、
智彦の名前を呼びました。
そして、ありえないと呟くと、
その場に、へたへたと
座り込みました。
浅井は麗奈に駆け寄りました。
麗奈は涙を流しながら、
ダメだと呟き、
智彦の名前を叫びました。
智彦は、
きちんと雅紀に
罪を償って欲しいと言う気持ちも
あったとは思いますが、
元々、雅紀のことが好きだったので、
どれだけ、彼に酷いことをされても
そのまま、彼を見捨てることが
できなかったのだと思います。
智彦と雅紀はどうなったのか
気になるところで、
お話は終わってしまいましたが、
少なくとも智彦は、
護符が彼を守ってくれたので
生きているのではないかと思います。
浅井が好きな私は、
彼が無事で良かったと思いました。
