119話 ルーはキアナがくれた本をカルロイに貸しましたが・・・
カルロイは本を読んでみましたが
これほどまでに下品で反社会的で、
公序良俗を害する本が存在することに
ショックを受けました。
なぜリリアンが
これを自分にくれたのかと当惑し、
リリアンはこんな本を読むのかと
頭が混乱しました。
そこへティニャがやって来たと
ゴルテンが告げに来たので、
カルロイは
慌てて本を横に投げました。
ゴルテンは、
なぜ、カルロイが
執務室に来ないのかと
ティニャは言っているけれど
カルロイが久しぶりに
ぐっすり眠っていたようなので
自分は
邪魔しないようにしていたと
言い訳をしました。
カルロイは、
執務室?と聞き返し、
執務室へ行くには、まだ時間が・・・
と言いかけましたが、
窓の外を見ると、すでに太陽は昇り
雀がチュンチュン鳴いていました。
カルロイが驚いていると、
彼の寝室に入って来たティニャは
また何かあったのかと叫び、
ここ数日、カルロイの調子がいいと
思っていたけれど、やはり・・と
言いかけましたが、
カルロイの調子が良さそうなので
ティニャは疑問に思いました。
そして、彼女の視線が
キアナの本へ行くと、
本を読んでいたのかと
躊躇いながら尋ねました。
カルロイは
慌てて本を自分の後ろに隠し、
他の人ならともかく、
ティニャにバレたら絶対にダメだ。
バレるくらいなら
いっそのこと死にたいと思いながら
なぜ来たのか、急用かと
顔を真っ赤にして、尋ねました。
ティニャは、
起きているなら執務室へ行って
聞いて欲しいと告げました。
カルロイはベッドから起き上がると
すぐに行くと返事をしました。
ティニャは、
ラ・ソルティオへ送る物を
用意しておいたけれど、
最後に一度、見てみるかと
尋ねました。
カルロイは、
どうするか悩む一方で、
なぜ、リリアンが自分にこの本を
プレゼントしてくれたのか考えました。
そして、
プレゼントで合っているよねと
疑問に思いながら、
追加で送りたい物があると
返事をしました。
ティニャが承知すると、カルロイは
最近流行っている小説が
あるのではないかと聞きました。
ティニャは、
この前、カルロイが直接選んで
送ったけれど、似たようなものを
もっと探してみようかと
提案しました。
カルロイは、
そのような小説ではなく・・と
言うのを渋っていると、
ティニャは、
どのようなものかと尋ねました。
カルロイは顔を真っ赤にして、
官能小説のようなもの・・と
答えました。
ティニャは、
「え?」と聞き返しました。
ルーが絵を描いていると、
後ろでお茶を飲んでいたジェインは
皇帝からルーへの贈り物が
もう少しで到着するのではないか。
昨日、送ってくれた楽団の演奏は
とても素晴らしかったと言うと、
オリビアは、やはり皇帝のセンスは
素晴らしいと褒めました。
皇帝が何を送って来るのか、
自分は毎日気になっていると、
ジェインがワクワクしていると、
ルーは頬を染めて
ニッコリ笑いました。
ルーは
カルロイが送って来る違う毎日を
期待して待ち、
毎日、毎日、
ここにいない彼のことも
待っていました。
そして、心の中で
カラカラに干からびて、
死ぬかもしれないと思った
自分の人生が、もう少しで
花が咲くかもしれないと思うほど
しっとりして、
みずみずしくなって来たと
母親に話しかけました。
そこへ、使用人たちが
カルロイからルーへのプレゼントを
運んで来ました。
プレゼントは、花、靴、手鏡、
バッグ、香水、そして
本もありました。
歓声を上げたジェインは
本に目を留め、
今日は、本が少し多いのではないかと
指摘しました。
ルーは同意し、
彼女とオリビアとジェインは
本をパラパラとめくりましたが、
ルーは顔を真っ赤にして
本を放り投げました。
驚いたメアリーは
どうしたのかと尋ねました。
ジェインは、
こんなに手に入りにくい物をと
キャーキャー騒ぎました。
メアリーは訳が分かりませんでした。
オリビアは本を閉じると、
プルトゥの人たちは・・・と
呟き、扇で顔を扇ぎました。
顔を真っ赤にしているルーに
ジェインは、なぜ、皇帝は
ルーがこんなものを好きだと
思ったのかと尋ねました。
ルーは、その質問に答えず
「バカ…」と呟くと、
カルロイの手紙を開きました。
手紙には、
我慢できない、これ以上待てないと
書かれていました。
ルーは、
やるべきことを
全部終わらせたら来てと
何度も話したのにと
心の中で呟きながら、
まさか、今日、来たりしないよねと
考えました。
ルーは、
自分がおかしくなったみたいだと
心の中で母親に話しかけました。
夜になっても、
ルーは、まだキャンバスに
向っていましたが、
カルロイが今日来るという話は
なかったのに、なぜ自分は、
ここでこうしているのかと
自責しました。
ルーは、
余計なことをしていないで
もう帰らなければと思い
ため息をつき、立ち上がると、
馬の鳴き声がしました。
そちらを見ると、
馬に乗ったカルロイがいました。
ルーはカルロイに駆け寄ると、
彼はルーを抱き締めました。
カルロイは、
もう一日我慢すれば良かったけれど
それができなかった。
好きな人に好きと、
感じるまま言えるのは良いと
言いました。
ルーは「うん」と返事をしました。
続いてカルロイは、
なぜ、ルーが一人で
外に出ているのかと尋ねました。
ルーは絵を描くためだと
答えましたが、カルロイは
キャンバスには、
何も描かれていないようだと
指摘しました。
ルーは、
元々、描くのに長くかかると
言い訳をしましたが、
カルロイは躊躇いながら、
まさか、自分を待っていたのかと
尋ねました。
ルーが顔を赤くして俯くと、
カルロイは嬉しそうに
本当に、自分を待っていたのかと
尋ねました。
返事をしないルーを
カルロイは抱き上げると、
今夜は自分がエスコートすると
言いました。
先週は、
マンガの更新がお休みだったので
2週間ぶりに読みましたが
カルロイが馬で登場し、
ルーが彼に駆け寄るシーンが
とても素敵で感動しました。
まだ、ルーは
カルロイを待っていたと
素直に言えませんでしたが、
今までの
彼に対するルーの態度を考えれば
すごい進歩だと思います。
そして、カルロイも、
前回のお話では、
まだ悪夢を見ていましたが、
キアナの本を読んで
ぐっすり眠れたことで、
ルーに会いに行く勇気が
出たのではないかと思いました。
これからは、
二人の幸せな姿だけを
見られることを期待しています。