自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

問題な王子様 87話 ネタバレ 原作 あらすじ 双子の王子たちへの誕生日プレゼント

 

87話 博覧会で心身ともに傷ついたエルナの元へ、ビョルンがやって来ました。

 

エルナはぐっすり眠っていました。

ビョルンは、そばに坐って

しばらく彼女を見つめても

微動だにしませんでした。

ビョルンは、その事実に

むしろ安心しました。

話す言葉を見つけられないまま、

ぎこちなく見つめ合うよりは、

この方がいいかもしれないと

思いました。

 

サイドテーブルのランプを

消したビョルンは、

宵闇の中で妻を見つめました。

驚いたことを除けば、

健康に大きな問題はないだろうと

主治医は言いました。

それを、よく分かっていながら

このように焦る自分が

変だと思いました。

 

あれは、ただの厄介な騒ぎに

過ぎませんでした。

正気を失った者が犯した

とんでもない犯罪。

犯人は逮捕されたので、

すぐに適当な処罰を受けるはずだし

幸いエルナも怪我をしなかったので

この辺で忘れてしまえば、

それだけのことでした。

だから、ビョルンは、

全て大丈夫だということを

確かめたかったのかも

しれませんでした。

 

エルナの目頭に垂れ下がった

長いまつげの影を見つめていた

ビョルンは、ふと、

自分の名前を呼んで

笑みを浮かべるエルナを

見たいと思いました。

そうすれば、

このくだらない気持ちを

振り払うことができると思いました。

 

グレディスの影が

エルナを飲み込もうとするのは、

すでに予想していたことでした。

エルナ以外の女性でも、

それは同じでした。

悲運の王太子妃グレディスは

一つの神話になったからでした。

 

見えない敵と戦って勝てる道はない。

だから、この女性は

ビョルン・ドナイスタの

2番目の妻になったという

理由一つで、一生、

負け続けることになるだろうと

思いました。

 

ビョルンはゆっくりと頭を上げ、

天井を見つめました。

 

過酷なことは分かっている。

しかし、結局、この人生が

この女性にとっても

最善ではなかったのだろうかと

ビョルンは考えました。

 

結婚市場の売り物として

あちこちの人の手に渡され、

一番多くの札束を出した者に売られた

エルナ・ハルディの人生が

闇の向こうに浮かび上がりました。

 

運が良ければ、

やがて葬儀を行うことになる

老貴族の後妻。

それより運が悪かったら、

ハインツのような屑の手に落ちて

おもちゃになっていた。

そんな運命だった女性が

王子妃になった。

たとえ悲運の王太子妃のための神殿に

捧げられた生贄になったとしても、

エルナにとって、

これに勝る人生は存在しない。

 

ビョルンは、

その明確な結論に達すると、

再び視線を落として、

眠っている妻に向き合いました。

 

父の手中から逃げようとした

エルナの決断と、

あの赤毛の画家は排除された。

それは考慮に値する

変化要因でした。

 

ビョルンは椅子から立ち上がると

ベッドのヘッドボードの横に

立ちました。

 

自分は、この女性を救い、

最善の人生を与えた。

その事実を思い出すと、

長いため息が出ました。

 

グレディスの神殿は

今後も堅固だろう。

ビョルンは、

それと引き換えに得た

莫大な国益を放棄する気は

全くありませんでした。

それに、そうすることが

できないことでもありました。

したがって、彼の2番目の妻は、

一生その祭壇の上で

生きていくことになるだろう。

しかし、その代価として

与えられる饗応は

数えきれないほど多く、

ビョルンは、いくらでも

それを出すことができました。

これなら、

完璧で、どちらの損害でもない

取引と言えるだろうと

ビョルンは思いました。

 

彼はゆっくりと身を屈め、

眠っている妻の頬にキスをしました。

一日中、自分に向かっていた

そのきらめく瞳を思い出すと、

一層、心が安らかになりました。

明日になれば、

エルナは再びそのような目で

自分だけを見つめてくれることを

ビョルンはよく知っていました。

これが、この美しい女性の

最大の効用でした。

 

カーテンを閉めたビョルンは、

ついに妻の寝室を去りました。

扉を閉める前に

ふいに訪れた奇妙な感情は

きれいに消し去りました。

エルナなら、大丈夫だろうと

思いました。

あの子が元気そうで良かったと

窓の外を見下ろしていた王が、

突然とんでもない話をしました。

王妃は静かな笑みを浮かべながら

夫のそばに近づきました。

 

別宮へと続く海岸の道に沿って

大公妃を乗せた二輪馬車が

走って来ていました。

大公妃は毎朝ここを訪れ、

彼らに朝の挨拶を伝えました。

奇襲を受けた翌日も同じでした。

その毅然とした姿に

皆はようやく安心しました。

 

ビョルンは、

かなりいい花嫁を選んできたようだ。

他のことはともかく、

女を見る目が立派な点だけは

自分に似ていると言っても

過言ではないと、王は真剣な顔で

とぼけた冗談を言いました。

夫を見つめていた王妃の笑い声が

日差しでいっぱいの応接室の中に

響き渡りました。

 

王妃は、

ハルディ家の令嬢に不満を抱いていた

あの王はどこへ行ったのかと

尋ねました。王は、

どこか遠くへ休養にでも

行ったのではないかと答えました。

 

王妃は、

そのようなところは

確かにビョルンだと指摘しました。

 

王は真顔で、

随分ひどいことを言うと

ぼやきましたが、

しばらくすると、

穏やかな笑みを浮かべました。

 

王は、ビョルンとエレナが

仲良くしてくれるといいけれど

王妃の目から見て、ビョルンは

うまくやっているだろうかと

尋ねました。

 

王妃は、

成長した子供の本音を

どうやって知ることが

できるだろうか。

ただ、ビョルンが、

父親によく似た息子であることを

祈るばかりだと答えました。

 

王は、

確かに、自分のように

妻の言うことを

よく聞く夫になれば、

幸せは自然についてくるものだと

かまし自画自賛をしましたが

その瞬間にも、

彼は眉一つ動かしませんでした。

 

このオオカミを手なずけるために

奮闘した昔のことが、

はるかに思い出されましたが、

王妃は、結局笑ってしまいました。

 

再び窓の外を見ていた王は、

目を細めて、あれは一体何かと

王妃に尋ねました。

止まった馬車から、

ちょうどエルナが降りたところでした。

彼女は、自分の体と同じくらい

大きな花束を胸に抱いていました。

それより少し大きい花束は

馬車に残したままでした。

 

互いに、じっと見つめ合っていた

二人は、誰からともなく

笑いを噴き出しました。

双子の王子たちの誕生日が

とても香り高く始まるようでした。

レオニードが真っ先に思ったのは

この花束はとても大きいでした。

 

「お誕生日おめでとうございます」

とお祝いの言葉を口にする大公妃と

目が合うと、彼女は

自分が持ってきた花に似た笑みを

浮かべました。

レオニードは思わず頷いて、

巨大な贈り物を受け取りました。

驚いた目で見守っていた

クリスティアンの笑いをこらえる声が

ぎこちない沈黙の中に

流れ込みました。

 

もしかして自分が

失礼なことをしたのかと

心配するエルナに、レオニードは

自分にまで、こんなに

気遣ってくれるとは思わなかったと

返事をすると、

急いで口の端を上げました。

緊張した顔でレオニードの顔色を

窺っていたエルナは、

ようやく笑みを取り戻しました。

 

エルナは、

まもなく大公邸で開かれる

パーティーについて、

もう少し話をした後、

格別な気迫に満ちた花束を作ってきた

淑女らしくなく、

慎ましやかな挨拶を残して

立ち去りました。

 

このような見物をしたくて

朝から王太子を訪ねたと思われる

クリスティアンは、

大公妃が去った後は、

これ以上我慢する必要がなくなったので

もう一度、レオニードに

「誕生日おめでとう」と告げると、

笑いを吹き出しました。

花とレオニード王太子

これほど、

似合わない組み合わせはないと

思いました。

 

このような瞬間でも、

一様に礼儀正しい

レオニードの表情のおかげで、

色とりどりの花が、

より一層目立って見えました。

謹厳な王太子の胸に抱かれた

巨大な花束を見たクリスティアンは、

これは大公妃自ら作ったようだと

結論を下しました。

花についてよく知らない

少年の目にも、

専門家の手を経たようには

見えない作品でした。

 

クリスティアンは、

「兄上は本当にいいな」と感嘆すると、

レオニードは、

そんな風に相手の本心を

卑下してはいけないと注意しました。

しかし、

笑いを抑えきれず

ずっと口の中で笑っていた

クリスティアン

そういう意味ではないと反論した後、

あっという間に顔色を変えました。

そして、彼は躊躇いながら

エルナのことが可愛いと思うと

告げました。

 

レオニードは、

大公妃はビョルンの妻で

クリスティアンより目上の人だと

諫めました。

しかし、クリスティアンは、

それは知っているけれど、

目上の人だって

可愛くなれるかもしれないと

悔しそうに反論しました。

 

レオニードは

軽くため息をつきましたが、

結局、彼も

くすくす笑ってしまいました。

とにかく、あのことで大公妃が

大きな傷を負わなくて良かったし

クリスティアンの主張が、決して、

間違っているわけではなさそうだと

思いました。

 

しばらく考え込んでいた

クリスティアンは、

ビョルンも花束を受け取るんだよねと

真剣な顔で尋ねました。

レオニードは

当然そうだろうと答えると、

クリスティアン

「何てことだ!」と嘆きました。

彼は、

「レチェンの王太子と花。

これほど似合わない組み合わせはない」

という見解を訂正することにしました。

王太子に比べれば、現王太子は、

花の妖精と言っても

遜色がないように見えるほどでした。

 

見物に行くべきだったと

クリスティアンはため息をつきながら

窓の前に駆け寄りました。

屋根のない二輪馬車は、

端正な姿勢で座っている大公妃と

レオニードの胸に抱かれたものより

もう少し大きな花束を乗せて

別宮を離れて行きました。

「お誕生日おめでとうございます」

ときめきに満ちた声が

甘い風に乗って伝わって来ました。

ビョルンは、

顔を隠していた腕を下げ、

ゆっくりと目を開きました。

風に揺れるカーテンの裾を

通り過ぎた視線は、

ベッドのそばに立っている

巨大な花束の上で止まりました。

お化けでも見たかと思い

ビクッとしていると、

そっとエルナの顔が現れ、

天もビョルンを祝ってくれているのか

本当に天気が良いと言いました。

 

自分の体ほどの花束を抱いて現れた妻を

じっと見つめていたビョルンは

呆れたような笑みを浮かべながら

体を起こして座りました。

恥ずかしそうに笑ったエルナは、

その巨大な花束を

彼の胸に抱かせました。

エルナは、今朝咲いた花で

自分が直接作ったと打ち明けました。

ビョルンは、

無節制に注ぎ込まれた花と

華やかな色合いは

目を半分閉じて見ても

エルナの腕前だと分かりました。

 

彼女は、

気に入らないのか。

王太子は喜んでくれたと言いました。

ビョルンは、

これをレオニードにも

持って行ったのかと尋ねました。

エルナは、

二人の誕生日だからと

かなり満足そうな表情で答えました。

そして、エルナは、

ビョルンの花束の方がもう少し大きいと

それが何かの特権でもあるかのように

話したので、ビョルンは

つい声を出して笑ってしまいました。

 

エルナは真剣な表情で、

気に入ったかと、再び尋ねました。

ビョルンは、この辺で

勝てないふりをすることにして

頷きました。

むしろ裸のエルナの首に

リボンをつけて現れたほうが、

ずっと印象的な贈り物だったとは

言わないことにしました。

エルナの微笑みは美しかったし、

美しいエルナは、いつものように

彼を満足させたからでした。

 

ビョルンは、

巨大な贈り物を下ろした手で

エルナを呼びました。

慎重に近づいて来て、胸に抱かれた妻は

耐え難いほど柔らかくて

温かくて、良い香りがしました。

部屋の中に差し込む陽射しに似た唇が

気怠い笑みを浮かべた彼の唇に

触れました。

優しく唇をぶつけていただけのキスは、

やがて深まりました。

今では、なかなかキスが上手になった

妻の髪を握りしめ、

ビョルンはゆっくりと目を閉じました。

 

彼の考えていた通り、

エルナはすぐに本来の姿に戻り、

彼らの日常は穏やかで平穏でした。

エルナがエルナである限り、

これからもずっと、

このような日々が

いつまでも続くだろうと、

ビョルンは確信することができました。

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いつも、こちらのブログへ

お越しいただきありがとうございます。

また拙い文章にもかかわらず、

喜んでいただき、

コメントまで下さることに

感謝の気持ちでいっぱいです。

それを励みにして、

これからも頑張りますので

今後とも、

よろしくお願いいたします。

 

ビョルンは、

感情を表に出さないだけで、

本当は、とても優しい人なのだと

思います。

そうでなければ、

それ相応の代価をラルスから得ていても

自分の評判を落としてまで、

グレディスの件を隠したりは

しなかったのではないかと思います。

 

本当はビョルンは

エルナのことが心配で心配で

たまらないけれど、

その感情を隠すために、

エルナがそのような目に遭うのは

仕方ない。

エルナだって、それに見合う報酬を

受けているのだからと、

無理矢理、

理由をこじつけているような

気がします。

けれども、エルナは表面上、

何ともないようにしているけれど

心は深く傷ついていると思います。

まだ、エルナは我慢できているけれど

それに耐え切れなくなった時、

エルナの反撃が始まるのでしょう。

 

王と王妃、レオニードと

クリスティアン王子が

エルナの真価を認めてくれているのが

嬉しいです。

ビョルンも、ひねくれていないで

素直にエルナのことが好きだと

認めればいいのにと思います。

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