252話 檻の中の騎士の運命は・・・
◇拷問◇
ランドレ子爵は誰よりも
当惑した顔をしていました。
ナビエは、聖者の言葉を
ランドレ子爵の裏切りと
解釈しましたが、彼の意思とは
関係のないことだったのかと
思いました。
他の貴賓たちも当惑して
ひそひそ話をしていました。
檻はホールの中央で止まりました。
エインジェルは壇上に移動しました。
ナビエたちは人をかき分け
檻の近くまで行きました。
数日前に泥棒が入り
運よく一人は捕まえたけれど
何の目的で、誰に頼まれたか
何も言わないので
仕方なく、余興に使うと言って、
檻についているハンドルを
示しました。
そして、そのハンドルを回すと
泥棒の身長が小さくなると言って
第4騎士団の数名の騎士たちに
ハンドルを回させると
檻の天井が低くなり始めました。
ランドレ子爵は小さな声で
あれは超国籍軍団が使っている
拷問の道具で
非常に悪質な場合の時に使うと
教えてくれました。
ナビエは、超国籍軍団の
悪名高い理由がわかりました。
ハインリは拳を握りしめ
エインジェルはナビエを見て
笑いました。
ナビエは、エインジェルが
騎士を
殺そうとしているのではなく
鳥に変身させようとしていると
思いました。
ナビエは心臓がはち切れそうな思いで
ハインリを見ると
彼は、檻の1か所を見つめていました。
注意深く見ると
その部分が赤みを帯びていました。
もしかして、魔法を使っているのかと
ナビエは思いました。
ホールにいた誰かが、
新年が始まる時に
そんな物を見せるなと
不満を言いました。
エインジェルは、これから
もっと面白い物を見せると言いました。
ナビエは、ハインリに
小さな声で時間が必要かと尋ねました。
ハインリは頷きました。
ナビエは、自分たちが交わした話を
覚えているかと尋ねました。
ハインリは頷きました。
ナビエはエインジェルの名前を
呼びました。
待ってましたとばかりに
ナビエの方を向き笑いました。
彼が手を上げたので
騎士たちがハンドルを回すのを
止めました。
檻の中の騎士の身体は
狭い箱に無理やり入れられたように
なっていました。
秘密を隠すには
もっと大きな秘密を暴くのが
効果的・・・
ナビエは、エインジェルに
言いたいことがあるなら
はっきり言うように。
あえて新年祭に
不快な演出をするなんて。
魔力減少現象が自分たちと
関係があるのか
知りたいのではないかと尋ねました。
◇東大帝国からの手紙◇
西大帝国の宰相は
新年祭に出かけたナビエから
便りがないので
気を揉んでいました。
仕事も手に付きませんでした。
そんな宰相のところへ
東大帝国から手紙が届きました。
彼は、それを開くと
その姿勢のまま固まってしまいました。
◇ナビエの反撃◇
ナビエは、ハインリが
鉄格子に何かをしているのを
見られないように
人々の視線が自分に集まるように
冷たく傲慢に見えるように
前へ進みました。
エインジェルの意図は
閉じ込められた泥棒のために
ハインリとナビエが
何か行動を起こすか
あるいは、目の前で
彼自身が鳥に変わることだったので
ナビエが、魔力減少現象について
言及したことに戸惑っていました。
泥棒と魔力減少現象と
何か関係があるのかと尋ねました。
関係はないけれども
その場にいる人たちに
泥棒を懲らしめることよりも
魔力減少現象に
関心を向けさせるためだと
ナビエは思いました。
彼女の思惑通り
各国の王や姫から
西大帝国が魔力減少現象に
関連していないと
言い切れるのか
詳しく説明してほしいと
声が上がりました。
数日前にランドレ子爵に
半分秘密を打ち明けた後で
ナビエは、
エインジェルが魔力減少現象を利用して
人々を扇動すると思ったので
逆に、その秘密を利用して
エインジェルの主張を打ち砕こうと
ハインリに話をしました。
その時に、出たらいいと思っていた
質問が出たので
ナビエは話題を広げることに
成功しました。
ナビエは副作用が起きたからと
説明しました。
そして
そのため東大帝国と
トラブルが起きたのは認める。
しかし、それについては
東大帝国と調整をし始めたと
嘘をつきました。
ナビエは、ソビエシュが
その場にいなくて
良かったと思いました。
ナビエは、自分が
東大帝国出身であることを
強調しながら
東大帝国は魔法について
研究をしているので
西大帝国に副作用の事例を
送ってくれるなら、研究を通じて
魔力減少現象を防ぐ方法を
見つけることができると
話を続けました。
西大帝国は魔法帝国ではないのに
なぜ、
魔力減少現象の研究をしたのかと
誰かが質問しました。
答える代わりに、ナビエは
エインジェルに近づき
歩きながら魔力を足に流しました。
ナビエの足が触れる度に
床に氷が張りました。
そして、ナビエは
エインジェルの目の前に近づき
彼のリボンを握り魔力を流すと
そのリボンが凍り付きました。
エインジェルの瞳が揺れました。
ナビエは、
自分たちは、自分のように
人為的に魔法使いを作る方法を
研究していました。
魔力の減少を防ごうとしたのは
せっかく作った魔法使いを
魔力消失減少で失っては
いけないからと説明しました。
エインジェルの目はナビエに
釘付けになったままで
瞬きもしませんでした。
ナビエは笑いながら
エインジェルのリボンを
片手で外しながら、
ゲームが好きだろうけれど、
エインジェルの手を離れたゲームも
好きかと尋ねました。
ナビエ様、カッコいい。
今回のお話は
この一言に尽きます。