173話 はたしてハインリはナビエに真実を話すのでしょうか?
◇ハインリの告白◇
ハインリに
箱のことを聞かれたナビエは、
大したものではないと
返事をしました。
ナビエは、
ソビエシュからのプレゼントと
東大帝国の魔力減少現象の
どちらを先に
ハインリに話すべきか
迷いましたが
ナビエは、迷った挙句、先に、
ハインリが魔法使いの魔力の減少に
関わっているのか尋ねました。
あっという間に
ハインリの顔が冷ややかになり
彼は冷たい声で
ナビエの名前を呼びました。
ハインリは
猫かぶりをすることなく
凍り付きました。
その姿は冷たく見えました。
ナビエに対して
怒ってはいないけれども
ハインリの優しい仮面が
消えていました。
弁解もせずに固まっている姿に
ナビエは心が痛みました。
ナビエはハインリの名前を
3回呼んだ後
彼の上唇にキスをしました。
沈黙の後、ハインリは、
今はやっていない、
魔法使いたちは、
東大帝国を最強にした
国家の柱なので
東大帝国を抑えるために
魔法使いの魔力を奪ったのは
事実である。
けれども、東大帝国から
やって来たナビエと結婚したので
こちらから先に
戦争をしかけることはないと
答えました。
ナビエを見るハインリの目は
怖がっているように見えました。
そして、ハインリは
エベリーの魔力を奪ったのは
自分だけれども
ナビエがエベリーを見て
悲しんでいたので
自分が彼女の魔力を返したと
言いました。
ナビエは、自分のために
ハインリが先に
東大帝国に攻撃をしないと
言ってくれたことに
感謝すると共に、自分のせいで、
ハインリが計画していた
仕事を諦めさせることに対して
申し訳ないと思いました。
けれども、心配せずに
自分の国と家族を攻撃しろとは
言えないと思いました。
ナビエは、ハインリに
お礼の言葉を伝えました。
そして、ハインリが
自分に対して失望していないかの
質問に対して
ナビエは、失望していないと
答えました。
ハインリは、自分の野心を
諦めるほど
自分のことを愛しているのだと
ナビエは思いました。
テーブルの上の箱を見て
ソビエシュだったら
この状況で
どうするだろうと考えました。
次にナビエは、
ソビエシュが個人的に
プレゼントを贈って来たけれど
こんなものをもらうのは
負担なので
代わりに返して欲しいと
ハインリにお願いしました。
ハインリは嫉妬心を
露わにしたいようでしたが
それができずに
ナビエの肩に額を
もたれかけました。
わざと、話の順番を
このようにしたのかという
ハインリの質問に対し
ナビエは
「失望しましたか?」
と尋ねました。
ハインリは笑い、
ナビエが顔を上げると目が合い
2人はキスをしました。
◇実父の始末◇
最初、ラスタは
父親に相当な額のお金を渡して
自分の前から消えてくれるように
頼むつもりでした。
しかし、 彼は自分が死ぬまで、
お金をせびるだろうし
その後は
グローリエムに
お金を無心するかも
しれませんでした。
ラスタは、
父親に危害を加えることだけは
やってはいけないと
思っていましたが
彼女のあらゆる不幸の原因は
彼だと気付き、
腐った根は取り除くべきだと
思いました。
ラスタは使いの下女に
父親にプレゼントを
贈りたい。
それは重いので
父親自身に取りに来てほしい。
これが最後のプレゼントに
なるかもしれない。
人に見られないように
裏道から来るようにと
言付けました。
ラスタはドレスの内側に
短剣を隠して
黒いマントを羽織って
散歩に行くと言って
西宮を出た後
裏道の入り口へ行きました。
そこで、しばらく待っていると
父親がやって来ました。
ラスタは茂みの陰に隠れ
父親が近づくのを待っていると
彼の後を付いてくる
騎士がいました。
騎士は父親を呼び止め
丁寧な態度で何かを言うと
父親は何度か頷いた後
貪欲に笑いながら
騎士の後を付いて行きました。
ラスタは、ソビエシュが
父親を連れて行ったのかと
思いました。
ラスタは、
自分とナビエが
同じドレスを着た時、
ソビエシュは皇后である
ナビエをかばった。
ソビエシュとの関係が
悪化していても
今は、自分が皇后なので
自分と皇女のために
動いてくれたに違いないと
ラスタは思いました。
ラスタの考えは
半分当たっていました。
ラスタの父親は顔を潰され、
地下の監獄の奥深くに
入れられました。
顔を潰すって、怖いです・・
親子検査で、
グローリエムが
ソビエシュの子供だと実証されても
ラスタがイスクア子爵夫妻の
娘でないとわかり
ラスタの実の父親が
生きているとわかれば
皇女の未来が大変なことになります。
ソビエシュは
人々の関心が遠のいてから
父親を処理するように
命令を出していたけれども
状況があまりにも緊迫していました。
ラスタが父親を呼び出した時に
彼を処理すれば、後日、
それも利用できるかもしれない。
もしかして、ラスタのせいにするとか・・・
そう思って、ソビエシュは
騎士に父親を処理させました。
イスクア子爵夫妻については
親子検査ができるなら
宮殿に残るように
できないのであれば
宮殿を離れるように伝えろと
騎士に命じました。
真実を離せば
ナビエ様に
嫌われるかもしれないのに
本当のことを告白した
ハインリは立派だと思いました。
そして、
ハインリに感謝の気持ちを
伝えられるナビエ様も
ステキだと思います。
娘の未来のために
やりたい放題の
ソビエシュとは大違いです。