175話 エベリーの乗った馬車を壊した意外な犯人とは?
◇あなたの役に立ちたい◇
ナビエは
イスクア子爵夫妻が
エベリーを
傷つけることを目的として
馬車の事故を起こすように
依頼したことを
マッケナから聞いて驚きました。
ナビエはエベリーに、その話をすると
彼女はナビエに誤解しないでと
前置きをしてから、
自分はソビエシュに
宮廷魔法使いの
アシスタントとして呼ばれ
南宮に住んでいるけれども
ソビエシュが色々と
便宜を図ってくれたものだから
自分は第2の側室だと誤解され
イスクア子爵夫妻に嫌われていると
話しました。
そして、ラスタも自分が
ソビエシュの側室だと
誤解していたけれども
彼女を怒らすために
わざと誤解を解かなかったと
真っ赤な顔で言いました。
エベリーは可哀そうな状況だけれども
その様子は可愛いと
ナビエは思いました。
そして、エベリーに
感謝の言葉を伝えました。
彼女は、馬車を粉砕するほど
エベリーへのいじめが
ひどくなっているのに
そのままエベリーが
東大帝国へいることが
不安になったナビエは
彼女に西大帝国へ来ることを
提案しました。
しかし、エベリーは
宮廷魔法使いの下で
色々学んで
ナビエの役に立つ人になったら
必ず彼女の所へ来ると約束しました。
そして、南宮にいる時は
イスクア子爵夫妻は
悪口を言う程度だったと
ナビエに伝えました。
◇ハインリへのプレゼント◇
ナビエは
ハインリへの誕生日プレゼントを
何にしようか迷った末
候補に上がった様々なプレゼントを
別々の箱に入れて
ハインリに選ばせることにしました。
もしもハインリが
セクシーな下着を選び
自分に下心があると
思われたらいけないので
予め、プレゼントは
それぞれ違う人が選んだものと
伝えるつもりでした。
そのようにプレゼントを
決めていたら
ナビエは楽しくなってきて
翌日の
ハインリの誕生日が
待ち遠しくなりました。
ところが、ハインリは
誕生日のプレゼントに
欲しい物があると言いました。
ナビエはがっかりしたものの
その気持ちをハインリに
気づかれないように
何が欲しいのかと彼に尋ねました。
ハインリは、
ソビエシュがナビエに贈った
「妖精の涙」が欲しいと
言いました。
前夫から贈られた
大事なプレゼントを
夫に贈っても良いものか
ナビエはとまどいました。
けれども、ソビエシュも
ナビエの指輪を
ラスタに贈ろうとしたことが
あったので、
ナビエはハインリに
衝動的に
指輪をあげることを承知しました。
何やら嫌な予感が・・・
◇赤ちゃんへのプレゼント◇
ハインリの誕生日は
朝から慌ただしく
騒がしい雰囲気は
パーティーが始まる宵の口に
頂点に達しました。
楽しく笑い、騒いで
遊んでいる人たちがいる一方
ホワイトモンドの使節団と
ズメンシア老公爵を除く
ズメンシア公爵一家、
そしてソビエシュの秘書の
ピルヌ伯爵の顔は
緊張していました。
ナビエは、なぜハインリが
あえて、妖精の涙を
付けているのかと思いました。
東大帝国の使節団の誰かに
「妖精の涙」のことを
気付いて欲しかったのなら
ピルヌ伯爵が暗い顔をしていたので
ハインリの願いは叶ったと
ナビエは思いました。
ハインリはナビエと
目が合う度に
いつもより煌びやかに
笑っていましたが
その裏には
暗雲が立ち込めていると
ナビエは思いました。
腹黒ハインリ・・・
ナビエは、ハインリや
緊張した面持ちの人たちを
目で観察していると
ホワイトモンドの大使が
ナビエに近づいてきました。
ホワイトモンドの件は
慎重に扱わないといけないので
ナビエは、ハインリにそばに
いて欲しいと思いましたが
彼は、リルテアン大公に
近づいていました。
リルテアン大公はハインリの叔父です。
ナビエは1人で
皇后らしい笑顔で
ホワイトモンドの大使に
挨拶をしました。
2人は型どおりの会話をした後
ホワイトモンドの大使は
本題に入りました。
ホワイトモンドが初めに、
西大帝国の商団を
拘留したことに対し
ホワイトモンド王自ら
和解案を提案したが
ハインリは、
その返事をしないばかりか
国境付近に軍隊を送って来たので
国民が恐れていると
大使は話しました。
ナビエは、軍隊のことは
何も聞いていませんでした。
そして、大使は
ホワイトモンドは戦争を
望んでいないので、ナビエに
ハインリとホワイトモンドの
仲裁をお願いしたいと言いました。
ナビエの名声はかねがね
聞いていたので、彼女なら、
ハインリを説得できると言いました。
そして、大使は
赤ちゃんへのプレゼントと言って
懐から封筒を取り出しました。
中を開けてみると
軍艦と貿易船を書いた絵と
船の権限を譲渡するという書類が
2枚ありました。
強気のプレゼントに
ナビエは、自分がハインリに
それだけの影響力を発揮できると
思われているのかと思いました。
東大帝国の人たちがいる前で
妖精の涙を付けたり
リルテアン大公に近づいたり
ハインリは、
よからぬことを考えているような
気がしますが
そんなハインリを見ても
ナビエ様が平然としていられるのは
彼のことが本当に
好きだからなのかなと思いました。