3話 美紗にメールを無視された麗奈は、イラつきました。
美紗の人生が
再スタートした日、
彼女は、10年ぶりに
自分のアパートへ帰って来ました。
美紗の部屋の開錠番号は
友也の誕生日だったので、
すぐに番号を変えました。
部屋の中に入ると、
友也とのツーショット、
麗奈とのツーショットと
ぬいぐるみが飾られていました。
そのぬいぐるみは、
美紗が可愛いと思って
買ったものでしたが、
麗奈が、
美紗が好きなものは自分も好き。
自分たちの友情の証にしようと
言って、
同じものを買っていました。
美紗は、
まさかそれが、
自分の好きな男まで
好きだと言う意味だとは
思ってもいませんでした。
よく考えてみたら、
美紗の片思いの相手は皆、
麗奈に告白していたなんて
おかしいと思いました。
美紗は写真とぬいぐるみを
ゴミ箱へ捨てました。
今さら、証拠を
暴く気はありませんでした。
美紗は引き出しから、
手を付ける気になれなかった
父親の香典100万円が
入金されている通帳と、
定期預金100万が入っている
通帳を取り出しました。
そして、彼女には
銀行ローンの返済残額が
200万円あるので
まずは借金を返して、
お金を集めようと決めました。
しかし、どうやって
それをするか考えていた時、
友也が株にはまっていたことを
思い出しました。
そして、彼の買った株が
次から次へと高騰していた時期が
まさに今でした。
少なくとも、今回の人生では
友也に役に立って欲しいと
思いました。
その後の友也は、
株で利益を上げられず、
退職金と借入金をつぎ込んだ挙句
美紗の給料で
暮らす羽目になりました。
友也から
一体何があったのか。
会社帰りに差し入れを持って行く。
話をしようと
メールがありました。
普段、手ぶらで来る彼が
どういう風の吹き回しなのか。
美紗は、
まずは引っ越しをする必要がある。
その前に、
ケリをつけなければと思いました。
美紗は、友也に
差し入れはいいので、
自分の家の近所の店で会おうと
返信しました。
美紗が、
そんなことを言い出すなんて、
友也は変だと思いました。
その友也に部長は、
先ほどから
携帯ばかり見ているけれど
今日、提出すると言っていた
サンプルの報告書はまだかと
催促しました。
友也は、
まただと思いながら、
今、ちょうど提出しようと
思っていたところだと
言いました。
一次検討が完了した
サンプルのリストを
部長に差し出し
報告書はメールで送ったと
告げる友也。
これで全部かと尋ねる部長。
はい、と答える友也。
本当にきちんと確認したのか。
10個あるはずなのに、
9個しかないと言う部長。
最後の1つが抜けていたので
しまったと思う友也。
そして、部長に謝ると
もう一度やり直して
提出すると言いました。
部長は、ため息をつき、
ここは会社で
仕事は宿題ではないので、
今すぐ、もう一度確認して
提出するように指示しました。
部長にムカついた友也は
サンプルを放り出し、
たいして歳が変わらず、
コネで部長になったくせに、
新人に任せるべき仕事を
自分にやらせることに、
腹を立てました。
そこへ麗奈が
元気を出してください。
仕事が終わったら、
一緒に美味しい物を食べましょうと
書かれた付箋を、
ウィンクをしながら見せました。
友也は、
麗奈は癒しだ。
このような気遣いができるのも
可愛いと思いながら、
美紗が、メールで
差し入れはいいから、
近所の店で会おうと
言ってきたことを
付箋に書いて麗奈に見せました。
自分のメールは無視したくせに
友也には返信した美紗に
麗奈はいい気分はしませんでした。
友也は、
美紗は少しくらい
散らかった車でも構わないけれど
麗奈は
そういうわけにはいかないので
先に駐車場に降りて、
車の中を片付けようと思いました。
その上、美紗は、
友也が仕事でミスをしても、
気にかけてくれないので、
美紗はイケていないと思いました。
美紗は10年前の服を見ながら、
全てダサい。
自分は一体
何を着て暮らしていたのかと
疑問に思いました。
鏡を見ながら、
化粧くらいしていただろうか。
さすがに肌はきれいだ。
たまに美容院に行っていたと
考えながら、
友也との最後の晩餐に
なるかもしれないのに、
このような格好ではいけないと
思いました。
美紗はドレッサーの上の
ヘアアイロンのプラグを
コンセントに挿しました。
その時、
同じくドレッサーの上に
置いていた携帯が
メールが来た時の振動で
床に落ちてしまいました。
美紗は、
携帯を拾おうとしましたが、
以前、同じことが起こった時に、
携帯にヘアアイロンのコードが
絡んでいたため
携帯を拾った時に、
ヘアアイロンが落ちて来て、
美紗は手首に火傷をしました。
今回、美紗は
注意しながら携帯を拾うと
火傷をせずに済みました。
美紗は、運命は変えられると
思いました。
そこへ、友也から
今、出発した。
プレゼントもあると
メールが届きました。
美紗は、
友也と一緒にやって来た麗奈が
自分をサプライズプレゼントだと
言っていたのを思い出しました。
当時、美紗は
あの2人が、
あれだけ親しいことを
知りませんでした。
美紗は、自分にできる
最高の復讐として、
自分を殺してまで守ろうとした
友也と麗奈の大切な愛を
10年前の自分が守るため、
自分の代わりに麗奈を
友也と結婚させると
決意しました。
夫が浮気した。
しかも、
その相手は自分の親友だった。
妻は10年間、
それを知らなかったけれど、
偶然、夫と親友の浮気現場を
見てしまった。
そして、夫と言い争いになり、
彼になじられ
暴力を振るわれた結果
妻は死んでしまった。
最後に夫に殺されたとしても
夫を愛していれば、
妻の恨みは
夫の浮気相手にのみ向けられ、
妻は死んだ後も
自分の夫を奪った
憎い浮気相手を祟り、
彼女と夫を
絶対に結婚させまいと
するのではないかと思いますが、
このお話は、
夫と結婚させることが
麗奈への最高の復讐なので、
友也との結婚生活が
どれほどひどかったかが
分かります。
マンガの1話の最後から2話までの
友也の好青年ぶりが
どのように変貌していくのかが
楽しみです。