80話 智彦は麗奈に、今日、用意したプレゼントを、受け取る準備はできたかと尋ねました。
麗奈は、智彦を押して
自分から遠ざけたので、
彼は、拒絶されたと思いました。
しかし、麗奈は
以前、海に行った時に言った言葉を
覚えているかと尋ねました。
それは、
「境界線を越えたら
あなたのものだ。」という
言葉でした。
麗奈は、
今日、その境界線を越えたいと
言いました。
驚いて麗奈の名を呼ぶ智彦。
彼女は、
自分を受け入れてくれた智彦に
お礼を言った後、
緊張しながらも、思い切って、
智彦のバスローブの紐を
ほどきました。
智彦は、
自分の方こそ、ありがとうと
麗奈にお礼を言って、
麗奈のバスローブの紐を
ほどきました。
そして、彼女に
愛していると囁きました。
麗奈も、愛していると囁きました。
ベッドの中で、麗奈は
生き返って
本当に良かったと思ったと
告げました。
それを聞いた智彦は、
少し悲しそうな表情をしました。
麗奈は、
璃香の誕生日はいつも
豪華な誕生パーティが開かれたけれど
自分は家族と一緒に
食事をしたことがなかった。
自分の席がなかった。
智彦と一緒にした色々な事全てが
初めての事だったと打ち明け
お礼を言うと、
彼のことを愛していると告げました。
智彦も麗奈に
愛していると告げました。
そして、とうとう麗奈は、
自分はWJリテールの堤代表の
実の娘であることを打ち明けました。
驚く智彦。
続けて麗奈は、
調べた限りでは、
実の母親は亡くなっている。
なぜ、自分を捨てたのか、
誰かの意図なのか、偶然なのか、
堤家に養子縁組された経緯は
分からないと話しました。
智彦は、それなら璃香は
麗奈の実の妹なのかと
言おうとしましたが
麗奈は、璃香は
恵美が他の男との間に産んだ子だ。
父親は、それを知らずに
璃香をとても可愛がっていたと
皮肉を言いました。
智彦は、
麗奈が実の娘であることを
父親も知らなかったのかと尋ねました。
麗奈は、自分の存在すら、
父親は知らなかったと答えました。
智彦は、
いつ、それを知ったのかと尋ねました。
麗奈は、
生き返ったばかりの頃と答えました。
智彦は、麗奈が辛かっただろうと
慰めました。
麗奈は、
過去の人生は、何も知らずに
全て奪われるばかりだったけれど
今度は、家も会社も家族も、
全て自分が手に入れると
宣言しました。
智彦は、麗奈の手を握ると、
そうするように。
必要なら、自分も自分の地位も
全て利用するようにと
言いました。
会社での会議で、
麗奈が担当している
1月販売予定の新作ゲームの
キャラクターデザインは
現在、仕上げの段階で、
12月にゲームの体験者を募集し
詳細を検討して、
改善点を反映させればいいという
意見が出されました。
自分を見つめている
智彦に気づいた麗奈は
頬を染めて、
智彦に微笑みかけました。
ショッピングモールを訪れている
麗奈と咲恵と麻里子。
麗奈が来てくれてとても嬉しい。
麻里子は
役に立たないと言う咲恵に、
怒った麻里子は、
以前、自分が麗奈へのプレゼントを
選んだのを忘れたのかと
抗議しました。
麗奈は、
自分こそ、連れて来てもらって
本当に嬉しい。
こうやって、母親と一緒に
デパートで買い物をしてみたかったと
感謝しました。
咲恵は涙ぐみ、
麗奈の手を握ると、
これからは、たくさん自分と
買い物に来ようと言いました。
麗奈は「はい」と返事をすると
麻里子は、
九条家の女子会を企画しようと
提案しました。
会社で、麗奈は勇斗に
キャラクターデザインの最終完成版は
いつ頃できるかと聞かれました。
麗奈は、
今、体験者の意見を反映して
カラーを調整中。
今週中に完成する予定だと
答えました。
春香も進捗状況を聞かれ、
現在、細かい所を調整中で、
今週末には仕上がると
答えました。
勇斗は、
才能のある人が集まっているので
仕事が着々と進んでいる。
もうすぐ、公開されるので
大ヒットゲームにしよう、
頑張ろうと、
気合を入れました。
そして、時間はあっという間に過ぎ
麗奈がデザインを担当した
新作ゲームの発売日が近づき、
麗奈の契約期間は満了しました。
車の中で麗奈は、
プロジェクトに参加したのが
昨日のことのようなのに、
もう終わりだなんて、
時間が経つのは本当に早いと
言いました。
智彦は、残念なのかと
尋ねました。
麗奈は、少し残念だ。
仲の良い同僚ができたのも
初めてだったと答えました。
春香のことかと、智彦は尋ね、
彼女が、泣きながら、
必ず連絡をして欲しい。
自分のことを忘れないでと
麗奈に頼んでいたのを見て、
自分も切なくなり、
涙が出そうになったと言って
笑いました。
麗奈は、そうだったのかと
言いました。
智彦は、まっすぐ家に帰るのかと
尋ねました。
麗奈は、父親の誕生日なので、
実家に行こうと思うと
答えました。
智彦は、
一緒に行くことを提案しましたが
麗奈は断り、
今回の誕生日プレゼントは、
時間をかけて準備をしたので
智彦は、
家で大人しく待っていてと
頼みました。
マンガでの
麗奈と智彦の初めての夜のシーン。
人によっては
もの足りないかもしれませんが、
私は、しっかりロマンを
掻き立てられたので十分です。
麗奈と咲恵と麻里子。
この3人が揃ったら、
男性陣はタジタジとなりそうです。
咲恵と麻里子は、
敵にすると怖いけれど
味方にしたら、
最強の味方になりそうです。