115話 ルーのそばにいたいと言うカルロイに、彼女は分かったと返事をしました。
その言葉に、カルロイは驚き
信じられないというような顔を
しましたが、
ルーはカルロイの顔に両手を添えると
もう一度、
「わかったから、この馬鹿。」と
言いました。
そして、カルロイの顔に
自分の顔を近づけると、
カルロイのことを考えるのも疲れた。
むしろ、ずっとカルロイを見ていれば
彼のことを考える回数も
少なくなるだろうと言いました。
カルロイは、
リリアンに残って欲しくて、
彼女にすがりついた理由と、
リリアンが自分の元へ
残ることに決めた理由が
同じではないということと、
感情も同じではないことを
わかっていましたが、
それでも、リリアンが
自分から離れないということが
嬉しくて、カルロイは
ルーを抱き締めました。
そして、
仕方がない。
自分はルー以外には
何も知らないからと言って
ルーの肩に頭をもたれると、
彼女はため息をつきました。
ルーは、
世の中は広い。
自分も知らなかったけれど、
カルロイもそれを知れば・・・
と言うと、彼はルーの頬に触れ、
何も知らないからではない。
一番華やかな所も、美しい所も、
何を見ても、どこへ行っても
自分には本当に意味がない。
自分にとってルーが全てだからと
頬を染めながら言いました。
ルーは、
自分がカルロイを救ったのは、
そこまで大したことではない。
誰もがそうしたはずだと
言いましたが、カルロイは、
おそらくリリアンは、
永遠に理解できないだろうと思い
微笑みました。
ルーはカルロイの額に触れ、
彼の顔がまだ熱いので、
熱が出ているようだと指摘しました。
しかし、カルロイは
病気でもないのに、
なぜ熱が出るのか。
あまりにも嬉し過ぎて、
そうなったのだろうと返事をしました。
その言葉に呆れたルーは、
とんでもないことを言っていないで
早く寝るようにと言いました。
しかし、カルロイは嫌だと言って
ルーをベッドに倒しました。
驚くルー。
カルロイはルーの額にキスをして
寝なくてもいいと言いましたが、
ルーは、カルロイが寝ている間に
逃げたりしない。
ちなみに、自分は
カルロイとした約束は全て守ったと
言いました。
カルロイは、しばらく考え込んだ後、
笑顔で、わかったと言いました。
カルロイと
ベッドで向かい合って
横になりながら、ルーは、
自分がカルロイを裏切ったと思った時
彼は何を考えていたのかと尋ねました。
彼は、騙されてあげたいと思ったと
答えました。
その言葉に、ルーは驚きました。
そして、カルロイは、
ルーに騙されるために、
小さな口実の一つでも
できることを願ったと答えました。
エイモスはルーに、
カルロイの包帯をしっかり巻いたので、
あまり心配しないようにと言いました。
ルーは、遅い時間に来てくれたことに
お礼を言いました。
エイモスは、
当然すべきことだ。
安らかな夜を過ごすようにと
ルーに告げました。
ルーはベッドに座ると、
うつ伏せで寝ているカルロイに
布団を掛けながら、
自分は頭がおかしい。
カルロイの元を去る
決心をしたけれど、
このまま、去ったら、
カルロイの後ろ姿が、
一生、自分に付きまとうだろうと
思いました。
そして、カルロイも自分も、
もう大丈夫になる時だ。
自分が生きなければならない理由は、
思ったより特別なことではない。
ただ、過去にとらわれない
未来を持ちたい。
人生の苦痛は、このくらいでいい。
記憶は記憶で覆えばいい。
だから、もう、
回り道するのも、すれ違うのも、
心を騙すのも、苦しむのも、
このくらいにすると、
カルロイの髪を撫でながら
囁いたり、考えたりしていると
彼が「ル・・・」と呟いたので、
ルーは手を止めました。
しかし、その後、何も言わないので
ルーはカルロイの頭を
拳で軽く叩きました。
痛そうな顔をし、
唸るカルロイの顔を見て、
ルーは笑いました。
そして、辛くなったら逃げるからと
言いました。
朝になり、
カルロイは目を覚ますと、
自分の隣にルーがいないので、
慌てて飛び起きると、
「リリアン!」と何度も叫びながら
彼女を探しました。
そして、階段の下で
ミレニンと腕を組んでいるルーを見つけ
その前で立ち止まりました。
ミレニンは
上半身裸のカルロイを見て、
服を着て歩くことはできないのかと
文句を言うと、
カルロイはミレニンを無視して
ルーを抱き締めました。
ミレニンは呆れました。
カルロイは、
リリアンの気が変って
行ってしまったと思った。
正直なところ、自分も
その方が正しいと思う。
ルーの頭がおかしくならない限り、
自分のそばに残るわけがないからと
言うと、ルーは、
勝手に自分を頭のおかしい人に
しないでと抗議しました。
ミレニンも、
誰が見ても頭がおかしくなったのは
カルロイの方だと言いました。
ルーは、
自分に抱き着いて離れないカルロイに
放して欲しいと頼みながら、
ミレニンと
少し散歩をして来ただけだと言うと
カルロイは、
マハは何もなくて退屈だと
言っていたのに、
散歩に行ったのかと尋ねました。
ルーは、
楽しかった。
ミレニンは不思議な魔法を
本当にたくさん知っているようだと
話しました。
ミレニンも、
カルロイの皇后は喜んでいたと
得意そうに言うと、
カルロイはミレニン如きがと、
彼女に腹を立てました。
ミレニンは、
顔が熱くなってきたので
席を外さないといけない。
ルーに休んでねと言うと、
その場を離れました。
ルーはミレニンが送ってくれたことに
お礼を言いました。
ルーはカルロイを睨むと
部屋に戻って、
服を着るようにと指示して
歩いて行きました。
ルーの後を追いかけながらカルロイは
彼女を呼び、
ルーを抱き締めてもいいのかと
尋ねました。
ルーは、今さら、それを聞くのは
少し遅いのではないかと
言い返しました。
カルロイは、
考えてみたら、
ルーが嫌がるのではないかと
思ったけれど、自制できないと
言い訳をしました。
そして、嫌なら顔を叩いてもいいと
言いましたら、ルーは顔を真っ赤にし
静かにするように。
そうでないと、
生きていけないと言って
カルロイの背中を押して
部屋の中へ入れました。
ルーはため息をつくと、
服を着ているカルロイを見ながら
何だか手綱が緩んだようなことを
言う彼は、以前とは違う意味で
頭がおかしくなったようだと
思いました。
ルーはカルロイに
いつ帰るのかと尋ねました。
カルロイが「え?」と聞き返すと、
ルーは、いつクロイセンに帰るのか。
早くここを離れたいと言いました。
カルロイは、
明日、すぐに出発できるようにすると
返事をしました。
ルーは、今すぐ船に乗るには
カルロイの状態が良くないと
心配しましたが、カルロイは
明日には治ると返事をしました。
本当にいい加減だと思ったルーは、
できれば自分は
ラ・ソルティオへ行きたい。
あそこがいいと頼みました。
カルロイは、ルーが望むなら
何でもすると言いました。
ルーは、カルロイに、
来たい時は来てもいいと言うと
彼は頬を染めて、
「え?」と聞き返しました。
ミレニンの前では常に不愛想なのに
ルーへの激しい愛の告白の後、
彼女のそばにいることを
許してもらったカルロイの
ルーへのデレデレぶりに、
ミレニンはもちろん、
ルーも呆れるのは当然だと思います。
ずっと、ルーを探していて、
その彼女が、すぐそばにいると
わかったのに、
彼女に近づくことができなかった。
けれども、ルーがカルロイのそばに
いると言ってくれたことで、
その苦しみから解放されたけれども、
本当に彼女がそばにいてくれるのか、
確信しきれていないので、
彼女の姿が見えないだけで心配になり
恥も外聞も捨てて
ルーを探し回ったのだと思います。
皇帝の威厳など、どこかへ
飛んで行ってしまったようです。
本当にルーが
どこにも行かないとわかったら
カルロイも
落ち着いて来るのでしょう。
一方、ルーは、穏やかな愛で
カルロイを見守っていくのだと
思います。
こちらの記事は、
韓国版を参考にしていますので
日本版と表現が違う箇所がありますが
ご容赦ください。