自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

問題な王子様 124話 ネタバレ 原作 あらすじ 鈴蘭を捨てた理由

 

124話 パーティー会場を抜け出したビョルンは女性の悲鳴を聞き、そちらへ向かいました。

 

また狂犬だ。

ロビン・ハインツは呆れた顔で

自分の前に立っている王子を

見つめました。

首をそっと傾げて

彼を見下ろすビョルンの表情も

大して変わりませんでした。

 

ハインツを

じっと見ていたビョルンは

「こんばんは」と静かに挨拶すると、

またここで会ったねと

甘美な笑みを浮かべながら

囁きました。

 

彼が固まっている間、

ソファーの反対側の端に座って

体を震わせていたメイドが

王子の背中の後ろに逃げました。

ビョルンは、メイドを

応接室の外に出しました。

ひどい恥辱を受けた

去年の夏と重なる状況が

ハインツの心臓の鼓動を速めました。

 

逃げたメイドの足が遠ざかると

ビョルンは、

ハインツが座っているソファの前に

ゆっくり近づきました。

それから、ハインツに、

彼は、応接室に

特別な愛着のようなものがあるのか、

それとも、ここへ来ると、

獣の子のように

八つ当たりをするのかと尋ねました。

 

しかし、ハインツは返事をせず

「退け!」と叫びました。

ビョルンは眉を顰めて、

「失礼だ」と言い返すと

立ち上がろうとする

ハインツの前に立ちはだかりました。

それから、ビョルンは優雅な仕草で

ハインツの足の甲を、自分の靴の踵で

そっと踏み、

自分が質問したのだから

ハインツは答えなければならないと

要求しました。

目の前で苦しい悲鳴が上がっても、

ビョルンの笑みは

少しも崩れませんでした。

 

ハインツは怒りながら、

一体、ビョルンに

何の関係があるのかと尋ねました。

ハインツは、

心から悔しがっているような

顔をしていました。

ビョルンは返事の代わりに

目を伏せて

じっと彼を凝視しました。

 

ハインツは、

そんなことはない。

今回は本当に違う。

あの女が先に・・・と

どもりながら言い訳をすると

体を起こしました。

しかし、ビョルンは、

「そうなの?」と

落ち着いて聞き返すことで

ハインツの、くだらない言い訳を

遮りました。

 

確か、昨年の夏、このバカは、

エルナについても、

彼女が先に自分を誘惑したと

言っていました。

当時は気にしていなかった

エルナに対する汚い言葉も

一つ二つ、意識の表面に

浮び上がって来ました。

それでも、エルナは

いつも笑っていました。

 

王室の放蕩息子と自称している王子と

絡んだせいで、

あらゆる不当なスキャンダルに

巻き込まれて、非難されても

彼女は嫌な顔を一度も見せず、

何でも我慢して耐えてくれました。 

こんなクズ野郎に

襲われそうになっても、

彼のことを心配し、

また申し訳ないと思っていました。

 

それから、ビョルンは

橋の先で自分を待っていた

エルナを思い浮かべました。

約束もしていないのに、

そこに立って

とめどもなく待っていれば

自分に会えると信じていた無策の女。

そう答えながら、

笑っていた顔を見た瞬間

この女性は、いつもその場で

自分を待ってくれるという

無意識の信頼を持つように

なったようでした。

振り返ってみると、エルナは

いつもその場で

自分を待っていてくれて

美しく煌めいている両目いっぱいに

彼をたたえて笑ってくれました。

だから大丈夫だと思いました。

ビョルンは再び失笑し、

ゆっくりと目を閉じました。

 

永遠に大丈夫だと思っていた。

再び目を開いた時、

ビョルンの顔には

もう感情と呼べるものが

残っていませんでした。

 

ネズミの子のように

逃げているハインツに向かって、

ビョルンは、どこへ行くのと

平然と尋ねました。

 

もう愛していない夫。

何度も読み返して、

全て覚えてしまったあの手紙が、

あえて彼のものを欲しがった

ハインツの背中の上に

浮かび上がりました。

 

ビクッとして立ち止まったハインツは

後ろを振り返りもせずに

慌てて逃げ出しました。

ビョルンは彼の後を追いました。

ハインツとの距離が縮まるほど

意識が鮮明になって行きました。

そして、ビョルンは彼に近づくと

彼を足で蹴りました。

ハインツは悲鳴を上げ、

前に倒れて、床に転がりました。

ビョルンは、

無慈悲な足蹴りをした者とは

思えない顔で

彼を見下ろしていました。

 

ハインツは、

ビョルンを狂人呼ばわりして

一体、どうして

こんなことをするのかと

抗議をすると、ビョルンは、

自分の気持ちが汚いから。

ここへ来ると

ハインツが発情するように、

自分は腹が立つのではないかと

返事をすると、にやりと笑いました。

その顔が目に入った瞬間、

ハインツは、

さらに大きな悲鳴を上げました。

今度はビョルンに

顔を蹴られました。

息をする暇も与えずに続く

ビョルンの足蹴りはのんびりしていて

無慈悲でした。

床を転がるハインツの

鼻と唇から流れた血が

ビョルンの靴を汚し始めました。 

 

ビョルンは、

ハインツのせいだと告げると

体を丸めたまま

ブルブル震えている彼のそばに

膝を曲げて座りました。

それから、ビョルンは、

だから自分を

怒らせるべきではなかった。

ハインツの基準通りなら

そういうことではないかと

尋ねました。

 

涙と唾液と血で

ぐちゃぐちゃになったハインリの顔を

じっと見つめるビョルン視線は、

依然として静かで冷ややかでした。

ハインツは思わず頷き、

すすり泣きました。

ビョルンは、

ハインツが欲情を抑えながら

生きてみるなら、

自分も怒りを治めてやると

彼を宥めるような優しい口調で

囁いた後、身を起こしました。

 

あまり穏当な怒りではないことを

知っているけれど、

気にしませんでした。

適度に野蛮な時代を

生きることができず、

あんなクソ野郎の命も

惜しまなければならないという

事実が、少し残念でしたが。

 

あの夜、

血のついた燭台を持ったエルナが

泣いていた暖炉のそばを

じっと見つめていたビョルンは

虚しく笑いながら歩き出しました。

 

考えてみれば、

エルナがそのような目に遭ったのは

カードゲームから始まった

あの賭けが、

大きな役割を果たしました。

エルナ・ハルディの評判に

致命的な打撃を与えたスキャンダルは

すべてビョルンから

始まったからでした。

しかし、何も知らないエルナは

橋の上で彼を待っていた夕方、

約束の証と言って

ビョルンに花をくれました。

 

 

彼が灰皿に無造作に投げて、

煤だらけになってしまった

あの小さくて愛らしい花を

差し出していたエルナの顔が

思い浮かぶと、

ビョルンは思わず足を止めました。

無垢な信頼を込めた

彼女の澄んだ目と

恥ずかしそうな微笑みが

きれいでした。

グレディスの花と呼ばれた鈴蘭が

ただきれいだった。 

しかし、それをきれいだと思う

自分が嫌で捨てた。

 

とんでもない笑いが

噴き出した瞬間に、

よろめきながら走って来る

人の気配を感じました。

ビョルンが体を起こしたのと同時に、

ハインツが、

力いっぱい振り下ろした

暖炉の火かき棒が飛んで来ました。

気が狂っている。

それ以外の、どんな言葉でも

今のビョルン・ドナイスタを

説明できないと

レオニードは思いました。

ちらりと彼を見たビョルンは、

くすくす笑いながら

再び目を閉じました。

頭が痛くなるほど、濃い酒の匂いが

双子を乗せた馬車の中いっぱいに

漂っていました。

レオニードは呆れて

今、笑いが出るのかと尋ねました。

しかし、ビョルンは

失笑するだけでした。

 

本来、もう帰るつもりだった

レオニードは、

なんだか嫌な予感がして、

引き返して来ました。

ビョルンを

探さなければならないという

変な強迫観念に駆られていました。

もしレオニードが

もう少し遅れていたら、

この狂った奴は、

今頃ハインツ家の末息子を殴って

命を奪った罪で

シュベリン警察署の鉄格子の中に

いるところでした。

 

血がぽたぽた流れる火かき棒を

手にしたビョルンを初めて見た時、

レオニードは、本当に心臓が

止まりそうになりました、

 

何が起こったのか、

素早く把握したレオニードは

無我夢中で駆けつけて

ビョルンを捕まえました。

体中、傷だらけになるまで

殴られたハインツは、

すでに気を失った後でした。

 

状況を大まかに収拾した

レオニードは、

急いでビョルンを連れて

馬車に乗りました。

何が起こったのかを知った

ハーバー侯爵夫人は、

今にも息が切れそうな顔で

胸を掴みました。

 

怒りを抑えきれなくなった

レオニードは、

こんなことなら、バーデン家へ行って

泣いて、しがみついてでも

大公妃を連れて来いと

大声で叫びました。

 

ハルディ子爵の仕出かしたことや

グレディスの真実。 それに流産と

大公夫妻にとって、夏は

最悪のことが相次いで起こった

残忍な季節でしたが、

大公妃が去ってしまったという

知らせを聞くまでは、

それでも、うまく乗り切っていると

思いました。 

家出は無責任な選択だけれど、

レオニードは

大公妃を理解することができたし

両親も同様でした。

しかし、このひどいビョルンだけは

どうしても理解できませんでした。

 

大公妃と聞いて

目を開けたビョルンは、

ゆっくりとため息をつきながら、

座席に寄りかかっていた背中を

伸ばして座りました。

その程度、動いただけでも、

激しく左腕が痛みました。 

 

ビョルンは、

ハインツが振り下ろした火かき棒を

反射的に腕で防ぐと同時に

彼を蹴飛ばして倒しました。

床に落ちた火かき棒は

すぐにビョルンの手に入りました。

怪声を上げて襲いかかってくる

ハインツに向かって、

火かき棒を振り回したところで

ビョルンのぼんやりした記憶は

途絶えていました。

 

再び意識を取り戻した時、

血のついた火かき棒は、

レオニードが持っていました。

 

ビョルンは、

心配しなくても、

すぐ戻って来ると言いました。

レオニードは、

「適当にすぐ」と返事をすると

ビョルンは「黙れ」と言って

とても面白い冗談でも聞いたかのように

笑いました、

 

馬車の窓越しに、

エルナのいない家の明かりが

見え始めました。

 

ビョルンは、

エルナは自分を愛していると

言いましたが、

泥酔しているような気がするのに

「もう愛していない夫」という文字が

くっきりと浮かび上がって来ました。

 

だから戻って来る。

戻ってくるはずだと

ますます、けだるくなるような声で

呟いていたビョルンは、

馬車が大公邸の前に到着する頃になると

結局意識を失ってしまいました。

 

レオニードは、

外していた眼鏡をかけると

先に馬車から降りました。

驚いたフィツ夫人の挨拶に

短い黙礼で答えたレオニードは、

ビョルンがかなり酔っていて、

意識がないと、淡々と話しました。

 

幸いなことに、皆、その言葉には

耐性があるようでした。

ハーバー家のパーティー

喧嘩をしたという言葉も

毅然として受け入れられましたが

腕が折れたようなので、

主治医を呼んだ方がいいという

言葉には、皆、驚愕しました。

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エルナがいなくなって、

情けない男に成り下がってしまった

ビョルン。

たった一人の女性のせいで、

ビョルンがこんな風になるなんて

誰が想像したでしょうか。

 

しかし、ビョルンは

理性の歯止めが利かない行動を

しているようで、

自分の今までの行動の理由が

どのような感情から来たものなのかと

しっかり分析している。

自分の感情を押し殺して来た

ビョルンにとって、

それを解放するためには、

荒療治が必要なのではないかと

思いました。

エルナが作った鈴蘭を

きれいだと思う自分が嫌で

捨てたなんて、

冷静なつもりでいても、

グレディスのことは、

トラウマになっていたのだと

思います。

 

いつもたくさんのコメントを

ありがとうございます。

毎日、暑い日が続きますが、

私は、3時台には起きているという

超朝方人間なので、

まだ涼しい時間に

せっせと記事を書いています。

どうぞ、

皆様方におかれましては

熱中症にお気をつけください。

 

明日も更新いたします。

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