71話 麗奈は智彦の手首に20211120の文字を見つけました。
麗奈は、智彦も自分のように、
未来から戻って来たのかと
疑いました。
智彦と向かい合っている麗奈が
暗い顔をしているので、
智彦は、彼女の機嫌が悪いのかと
思いました。
彼は、麗奈に、
どうしたのかと尋ねると、
彼女は、
浅井と写っている写真を
智彦の前に出しました。
焦る智彦。
麗奈は、怒った顔で
腕を組みながら、
智彦が自分のことを
こっそり調べたのかと尋ねました。
智彦は、
自分がやったのではなく、
誰かが父親の秘書室へ送って来て
自分は父親から受け取った。
おそらく、
麗奈が他の男性と付き合っていると
疑わせるように仕向けたと答え、
今日は自分の携帯にも
送られて来たと言って、
麗奈に画像を見せました。
驚く麗奈。
智彦は、
麗奈が会っている男性が
誰か知っているし、
なぜ、会っているのかも
知っているので、
心配しないでと言いました。
しかし、麗奈は、
全て知っていながら、
知らないふりをしていたのかと
智彦を責めました。
彼は、それを認め、
麗奈が自分を信じて、
話してくれるのを待っていた。
だから、今からでも、
麗奈が何をしようとしているのか
話して欲しい。
相談してくれてもいいと話しました。
麗奈は、
自分も全てを話したいと思いましたが
智彦を信じられない。
彼が何を隠しているのか
見当もつかないからと
怒った顔で言いました。
麗奈の言葉にうろたえる智彦。
麗奈は、
腕時計をしている智彦の手首を
掴みました。
何をするのかと焦る智彦。
麗奈は、意地悪そうな顔で、
ここに何かがあるから、
そんなに緊張しているのかと
尋ねました。
智彦は、
麗奈にケガをさせてしまいそうなので
手を払い退けることができないと
うろたえました。
しかし、麗奈は、
考えてみれば、
新婚旅行の時もおかしかった。
最初からずっと、
何かを隠そうとしていたと、
智彦を責めると、
智彦の腕から、
勢いよく腕時計を外しました。
すると、
手首の数字が露わになりました。
麗奈は、
これが見えるかと尋ね、
自分の手首も見せながら、
同じ質問をしました。
智彦の顔から、
自分も彼も数字が見えていることを
確信しました。
智彦は、テーブルの上に置いた
手を震わせながら、
自分にも見えると認めました。
麗奈は身体を震わせながら、
まさかと思ったけれど、
なぜ、智彦に
自分と同じ刻印があるのかと尋ね、
すぐに返事をしない智彦に、
考えていないで早く話してと
叫びました。
智彦は、
その刻印された日に
事故を起こした。
車道に飛び出した誰かを、
避けることができずに、
はねてしまった。
ところが、その時、
自分の車に引かれて死んだ人が、
麗奈だったと打ち明けました。
彼女は、
何を言っているのか。
自分を死なせたのが
智彦だったのかと尋ねました。
彼は、その後、
自分の車に他の車が突っ込み、
自分も死んだと答えました。
麗奈は、怒りながら、
自分の手首に
刻印があることを、
いつ知ったのかと尋ねました。
智彦は、麗奈と初めて会った
ホテルで見たと答えました。
麗奈は、
どうして話してくれなかったのか。
前に、智彦に、
これが見えるのかと
聞いたことがあると責めました。
智彦は麗奈に謝ると、
彼女のウエディングドレスを
思い浮かべながら、
とても言えなかった。
それを話したら、始める前に
全てが崩れそうな気がしたと
答えました。
麗奈は、
一体どうして、
よりによって智彦なのかと思いました。
彼は、
最初、自分も完全に混乱していた。
事故の記憶があまりにも鮮明で
信じられなかったから。
全て、夢だと思った。
長い悪夢を見ていたと思った。
そのように混乱していた時に、
麻里子と一緒に行った
ウエディングショップで、
破れたドレスを着て、
出て行く麗奈を見たと話しました。
智彦が自分を見たことを知り、
麗奈は驚きました。
智彦は、
生きている麗奈を見た瞬間、
全てが明らかになった。
自分の記憶が夢でなかったこと。
自分が過去に戻って、
生き返ったこと。
自分が麗奈を死なせたことを、
彼女を見て分かったと話しました。
今回のお話で、
終始、怖い顔をしている麗奈。
ようやく自分にも
信じられる人ができて、
普通に食事ができるまでになったのに
智彦への疑惑が沸き起こり、
裏切られたような気持ちに
なっているのかもしれません。
車道に飛び出したのは麗奈ですが、
智彦は、
彼女を車ではねてしまったことに
罪悪感を覚え、
麗奈を愛するようになってからは
彼女に嫌われるのが怖くて、
真実を話すことができなかったのだと
思います。
麗奈は、今は、智彦に
不信感を抱いているかもしれませんが
彼の言葉を信じて、
２人がさらに良い関係を築けることを
期待します。
