自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

問題な王子様 142話 ネタバレ 原作 あらすじ 自分の気持ちに気づくエルナ

 

142話 猛吹雪の中、ビョルンはバーデン家に戻って来ました。

 

急いで扉を開けると、

雪混じりの風が吹き込んできました。

エルナはその勢いに押されて

後ずさりしました。

その風の勢いが多少和らぐと

ようやく目を開けて、玄関の外を

見ることができました。

吹雪に背を向けたビョルンが

エルナの目の前に立っていました。

 

「11時52分。 まだ土曜日です。

間に合ったでしょう?」と

ビョルンは息を切らしながら

エルナに告げると、

手に握っていた懐中時計を振りながら

にやりと笑って見せました。

きちんと立っているのも

大変な悪天候の中を

乗り切ってきた人とは思えない

態度でした。

 

エルナは

どうすればいいのか分からず、

茫然としていましたが

またもや吹いて来た雪混じりの風に

我に返ると、

反射的に腕を伸ばして

ビョルンを玄関に引き寄せた後、

急いで扉を閉めました。

激しい轟音と風の音が止むと、

深い沈黙が訪れました。

 

ビョルンと向き合ったエルナは

この男は狂っていると

結論を下しました。

薄暗い玄関の照明の下でも

雪に覆われて、

めちゃくちゃなビョルンの姿が

鮮明に見えました。

そして、幽霊と言っても

信じられそうなくらい

彼は青白い顔をしていました。

 

呆れてため息ばかりついていた

エルナの唇の間から、

「一体なぜ・・・」と

震える声が漏れました。そして、

どうして来たのかと、

エルナは何度も息を整えた後、

話を続けました。

硬く凍りついた

ビョルンの腕を握った手に

無意識のうちに、力が入りました。

 

真夜中に、

しかもこんなに危険な天気の中、

一体なぜ?

戸惑いと怒り、恨み、その他、

何と形容すべきか分からない

無数の感情が、

恨み混じりの質問となって

溢れ出ました。

 

ビョルンは、

約束したからと答えると

瞳に柔らかい光を宿して

エルナを見下ろしました。

 

見知らぬ外国語でも聞いたかのように

ぼーっとした表情をしていたエルナは

いつからビョルンは、

自分との約束を大事にしていたのかと

カッとなって叫びました。

あれだけ、約束を軽んじた男が、

なぜ今さら、こんなに

とんでもないことをするのか。

どうせ、あれは、

約束だとも思っていなかったのにと

考えていると、ビョルンは

約束を守っても、エルナは怒るのかと

平然と笑って問い返しました。

その時、ビョルンの髪の毛から

溶けた雪が落ちました。

その時になって、

ようやくエルナは、この男が

びしょ濡れになっていることに

気づきました。

 

ギュッと閉じていた目を開けた

エルナは、ビョルンの腕を離しながら

一歩後退しました。

彼からぽたぽたと落ちた水が、

玄関のカーペットの上に

シミを作っていました。

 

エルナは、

まずは中に入ってと言うと

これ以上、

彼を見たくなかったので

慌てて彼に背を向けました。

びしょ濡れのコートと

ジャケットから落ちた水滴が

床にポタポタ落ちる音が

耳元に響きました。

 

息を整えたエルナは、

準備をするので

まずはお風呂に入ってと

落ち着いて告げると

玄関を後にしました。

エルナは、

客用寝室の暖炉に火をつけ、

急いで台所に下りました。

食器棚の中から

祖父のお酒を探している間に

牛乳が沸きました。

その鍋から、

クローブとシナモンの香りが、

台所へ広がり始めました。

 

エルナは、

温めた牛乳をかまどから下ろし、

食器棚を整理しました。

食器がカタカタする音と

エルナの静かなため息が

奇妙なハーモニーを奏でていました。

 

暖炉に、

薪をたくさん、くべたけれど、

数日間、暖房していない

客用寝室は冷気で満ちていました。

祖母の助言を

聞くべきだったという後悔と

苛立ちが同時に湧き起こった瞬間、

エルナは、握っていた皿を

落としてしまいました。

皿が砕ける音が

夜の寂寞を引き裂きました。

エルナは

危うく悲鳴をあげそうになり

慌てて口を塞ぎました。

割れた皿の破片が発する鋭い光が、

ぼんやりとした目を

突き刺してきました。

 

次第に意識が戻り始めると、

どっと涙が込み上げてきました。

たかが皿一枚が割れただけなのに

なぜ、こんなに残念なのか

自分でも理解できなかったけれど

こみ上げてきた熱い感情は

簡単には治まりませんでした。

割れた皿のように、

心が粉々になってしまったような

気分でした。

 

エルナは台所の隅の壁に

寄りかかったまま、

両手で顔を包み込みました。

待っていたかのように

溢れ出た涙が

手のひらを伝って流れ始めました。

 

ビョルンが帰ってくるのを待っていた。

吹雪をかき分けて、

ついに戻って来てくれた彼を見た瞬間

エルナは努めて否定し、

そっぽを向いてきた自分の心に

気づきました。

しかし同時に、

ビョルンが戻って来ないように

心から願っていたという事実が

エルナをはるかに混乱させました。

どうして彼に対する感情は、

いつも、こんなに

話にならないことなのかと

思いました。

 

涙と共に溢れ出た過去の記憶が、

エルナの涙をさらに熱くしました。

ビョルンが憎くて

離婚を決意したのではなく、

あのように逃げるしかなかったのは、

むしろ彼が憎くなかったからでした。

憎むべき男を

憎むことができない代わりに

その男を愛してしまう

自分への憎しみだけが

日々深まっていきました。

それが、とても大変で苦痛で

耐えられなかったため、 その傷が

自分を飲み込んでしまう前に

背を向けました。

それなのに、また、元の場所に

戻ってしまいました。

 

エルナは怯えた目で

びしょ濡れになった自分の手を

見下ろしました。

また、期待するようになるかと思うと

愛するようになるかと思うと

恐怖を感じました。

壊れた心の破片に刺されて

傷つくのではないかと思いました。

そうしているうちに、

愛に命を奪われた母親のように

なってしまうのではないかと

思いました。

 

徐々に収まっていった涙が止まると

エルナは丁寧に顔を洗いました。

そして、残りの食器を片付けて

食器棚の扉を閉めた後、

ビョルンにあげる牛乳と

ブランデーを持って

応接室に向かいました。

 

入浴後、ビョルンは暖炉の前に座って

火に当たっていました。

まだ水気が残っている髪の毛と

きちんと結んでいない

ガウンを見たエルナの目つきが

細くなりました。

 

エルナは、

まだ寒かったら、

お酒を入れて飲むと体が温まると

言って、つっけんどんに

グラスを差し出しました。

意外にも眉を顰めながら、ビョルンは

素直にそれを受け取りました。

大きなグラスには

甘い香りのする牛乳が

半分ほど入っていました。

ビョルンは特に悩むこともなく

残りの半分を

ブランデーで満たしました。

そして、ゆっくりと温かいグラスを

唇に持っていきました。

その間、エルナは

ソファに置かれている毛布を

持って来て、

ビョルンに渡しました。

エルナは一歩離れた所に立って

彼を見守りました。

幸い、大した問題がなさそうな姿に

安心すると、

突然、怒りが沸き起こりました。

 

エルナは、

部屋は、まだ寒いので

もう少しここにいてから

上に上がるようにと冷たく言うと

ビョルンに背を向けました。

 

彼は彼女の背中と毛布を

交互に見ると、

衝動的に彼女を呼びました。

足を止めたエルナは、

ゆっくりと首を回して

彼を見つめました。

ビョルンは、

離婚は元気かと、

とりあえず思い浮かんだ言葉を

適当に並べました。

 

それはどういう意味かと

エルナが尋ねると、ビョルンは

王子に名前を下賜された

子牛のことだと、

酔っぱらいのような戯言を

言いました。

 

じっと彼を見つめていたエルナは、

呆れたように笑って

ビョルンの方へ体を向けると

眉を顰めながら、

あの子牛の名前はクリスタだと

はっきり力を込めて言いました。

 

ビョルンは、

子牛に付けるには

あまりにも大げさな名前だと

思わないかと尋ねると、エルナは

罪のない幼い動物に

「離婚」のような侮辱的な名前を

付ける人が言うことではないと思うと

鋭くて、ツンとした口調で

言い返しましたが、

彼を見るエルナの瞳は

優しくて澄んでいました。

 

クリスタと呟いたビョルンは、

穏やかな笑いが混じった

ため息を長く吐き出しました。

それから、彼はエルナを見つめながら

シュベリンでの仕事は上手く解決した。

不十分なクッキー缶を一つ食べたので

自分たちのクッキー缶が

もう少し大きくなった。

記念にプレゼントを買ってこようかと

思ったけれど、あまりにもエルナが

自分のプレゼントを嫌がるから

手ぶらだと、

無意味な言葉を続けました。

そして、彼は、

ゆっくりと応接室を見回しました。

積み重なったプレゼントで

いっぱいだった

バーデン家の応接室は、再び

本来の秩序を取り戻していました。

 

ビョルンは、

あのプレゼントを

全部片付けたようだと尋ねると、

エルナは、

おかげ様で倉庫が壊れそうだと

皮肉で答えました。

 

ビョルンは、

開けてみたかと尋ねると、

エルナは、

そのままにしておいたので、

また持って帰るように。

あのブローチもと答えました。

暖炉の火に照らされたエルナの瞳が

彼があげた宝石のように

キラキラと輝きました。

 

ビョルンは、

あれは受け取ることにしたのでは

なかったのかと尋ねました。

エルナは、

あの日は、皆を困らせたくなくて

断らなかったけれど、

いくら考えてみても

やはり返した方が良いと思うと

答えました。

ビョルンが、その理由を尋ねると

エルナは、

離婚の話をしているのに

高価な宝石を受け取るのは

とても変なことだからと

真剣に反論しました。

 

その深刻な顔を

じっと眺めていたビョルンは

思わず、笑ってしまいました。

 

ビョルンは、

まさか手紙も返さないよねと

尋ねました。

エルナは心を悩ませましたが

手紙は受け取ると答えて頷きました。

 

赤く燃え上がった

エルナの頬を見つめていた

ビョルンは、

再びエルナを見つめると、

自分の手紙はどうだったか。

ラブレターを書いたのは

初めてなので、

気になっていると言いました。

 

エルナは、

王子様が、とても美しい求婚書を

書いたことがあるのを知っていると

返事をしました。

「求婚書?ああ、あれか」と

呟いたビョルンはニヤリと笑うと、

レチェン王室の詩人たちの

筆力はかなり素晴らしいと

話しました。

 

エルナは、

代筆という意味なのかと尋ねると

ビョルンは、

それを自分が書いたと思うのかと

問い返しました。

躊躇いながら、

ビョルンを見ていたエルナは、

呆れたように、そら笑いをしました。

 

エルナは、

ビョルンらしい手紙だったと

感想を伝えると、ビョルンは、

まさか悪口を言っているのかと

尋ねました。

エルナは、

好きなように考えてと、

手紙の感想をまとめると、

もう、このくらいにしておこうと

言いました。

するとビョルンは

「行かないで」と

思わず本音がポンと出て来ました。

そして、当惑しているエルナを

見る目つきが冷たく沈みました。

 

ビョルンは、

「エルナに会いたくて、

だから戻って来た。

だからエルナ・・・」と

呟きました。

濡れた髪の毛の先に

溜まっていた水滴が、

ビョルンの鼻筋に沿って

流れ落ちました。

手で顔を撫で下ろしたビョルンは

気軽に言葉を続けられず、

乾いた唾を飲み込みました。

その後、

「行かないで」と諦め気味に

発せられた言葉が、息を殺したまま、

互いに見つめ合っていた

2人の間の沈黙を破りました。 

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エルナの心の根底には

母親と同じ人生を

歩みたくないという

強い思いがあるのだと思います。

 

エルナの母親アネットにとって、

ウォルター・ハルディは

初恋の相手で、

あんな下衆な男でも

アネットは彼のことを

愛していたのだと思います。

けれども、

何度も流産を繰り返すアネットに

おそらくウォルターは暴力をふるい

エルナもその様子を見ていた。

そして、

ウォルターとアネットが離婚して、

エルナはバフォードへ来たけれど

ウォルターのことを非難する

大人たちに囲まれ、エルナは

髪を太陽の光で染めようとまでした。

母親が傷ついたのは自分のせいだと

自分を責めていたエルナ。

 

バーデン男爵夫人は

エルナのことを愛し、

とても心配しているけれど

時折、アネットという

フィルターを通して

エルナを見てしまう。

髪の色は違うけれど

エルナとアネットはそっくりだし

きっと性格も似ているのだと

思います。

 

エルナは、

それを敏感に感じ取る度に、

母親とは同じ人生を歩むまいと

固く決意する。

それが、自分を今まで育ててくれた

祖父母への恩返しだし、

自分のためでもあるから。

 

ビョルンとウォルターは

月とスッポン、雲泥の差。

エルナが拒否して

寝室の扉を蹴破ろうとしたことは

あったけれど、

暴力を振るったことはないし

エルナの知らない所で

彼女を守るために

必死で戦って来た。

 

エルナも、

それは分かっているけれど

子供の頃に受けたトラウマが

大きすぎる。

自分自身が流産したことも

ビョルンが次の子供について

言及したことも

母親の人生を見ているようで

辛かったのかも。

 

ビョルンは、

侍従も護衛も付いて来ない中、

たった一人で吹雪の中を

エルナとの約束を守るために

帰って来た。

手紙を書くのが大嫌いな

ビョルンが、

初めてのラブレターまで書き、

「行かないで」と懇願した。

 

そんな素晴らしい夫を

下衆な父親と一緒にしてはいけない。

ビョルンが、

エルナの愛を取り戻すために

自分自身を変化させているように

エルナも過去のトラウマを

乗り越えなければならないと

思います。

 

いつも、たくさんのコメントを

ありがとうございます。

心配された台風ですが、

私が住んでいる所は

今のところ、大きな被害はなく、

安心しております。

今後の天気状況がどうなるか

分かりませんが・・・

どんなに文明が発達しても、

自然の驚異の前には、

人間が無力であることを

改めて感じさせられました。

 

明日も更新します。

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