自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

問題な王子様 144話 ネタバレ 原作 あらすじ 敗北する予感

 

145話 エルナとリサが雪だるまを作っているのを見たビョルンは・・・

 

王子が挑戦状を投げつけた。

それ以外のいかなる言葉でも

説明できない挑発的な行為でした。

 

一緒に雪だるまを作っている

リサとエルナのそばに

突然現れた王子は、何も言わずに

雪を転がし始めました。

 

呆気にとられたまま、

その様子を見ていた二人は、

その雪玉が、かなり大きくなってから

王子が何をしているのかに

気がつきました。

レチェンの第一王子であり、

シュベリン大公であり、

王太子であり、

毒キノコである孤高の王子が

雪だるまを作っていました。

 

天と地がひっくり返る光景でも

見たように驚いた侍従は、

途方に暮れて、王子のそばを

ウロウロしていました。

 

リサは状況を把握した後、

エルナの顔色を

注意深く観察しました。

しかめっ面で王子を見ていた

エルナは、特に何も言わずに

振り向きました。

 

雪だるまに花をつける仕草は、

先ほどと同じように

優雅で落ち着いていました。

ようやく安心したリサも、

再び雪だるまを飾ることに

集中し始めました。

 

最後に雪だるまの首に

リボンを結んだリサは

「見てください。

妃殿下の雪だるまです」と

満足そうな顔で

自分の作品を紹介しました。

花とリボンで飾られた雪だるまは、

エルナのように可愛いかったです。

 

優しい目で雪だるまを眺めていた

エルナは拍手を送って

リサの作品を絶賛しました。

続いて出てきた笑い声は

雲一つなく真っ青な

今日の空のように澄んでいました。

 

しばらく手を止めたビョルンは、

首を回してエルナを見つめました。

青白い顔色と腫れた目が

依然として気になるけれど

笑顔を見ると

心が一層楽になりました。

 

昨夜、エルナは、

もう涙が流せないほど

疲れてしまうまで

悲しい涙を流しました。

ビョルンは

そんな妻を抱きしめたまま

黙々と待ちました。

それしかできない無力な自分に

耐えに耐えて、

その長い泣き声が徐々に収まると、

エルナは空っぽになったような目で

しばらくビョルンを見つめました。

そして、ゆっくりと、

しかし、断固たる手で彼を押し退けて

後ずさりしました。

逃げるように去っていく彼女を

ビョルンはもう捕まえませんでした。

 

「王子様、これは一体・・・」

と侍従が言い淀むと、

ビョルンの想念が消えました。

彼は、自分の雪玉に向き合いました。

 

これくらいなら、雪だるまを作るのに

適当な大きさではあるけれど

どうも、デナイスタのものというには

足りない面がありました。

 

ビョルンは、

自分たちも

頑張らなければならないと言うと

侍従の前に広がっている

真っ白な雪原を指差しました。

 

「そうじゃないですか?」と

再び雪玉を転がし始めたビョルンが

投げかけた質問と、

木の枝に座っていた鳥たちが

飛び立つ音と、

静かに神を求める侍従の囁きが

混じり合いました。

その雪だるまが与える圧倒的な印象は

本当に大きいでした。

自分たちの雪だるまのそばに

並んで立っていたエルナとリサは驚き

目を丸くして

王子の雪だるまを見つめました。

 

まさかと思ったら、ビョルンは

本当に雪だるまを完成させました。

エルナの雪だるまのそばに、

家ほどの大きさの雪だるまを

作りました。

 

この男は、雪だるまを作るのが

本当に上手だ。

エルナは呆れた気分で

その事実を認めました。

あんなに大きな雪玉を

完璧な円形に作った腕前に

驚くほどでした。

 

数歩後ろに下がって、

その雪だるまを見ていたビョルンは

あと、シンボルだけ付ければ

完璧だと思うと言いました。

 

揺れる瞳を

あちこち動かしていた侍従は、

花で飾られた大公妃の雪だるまを見て

ようやく理解し、

ため息をつきました。

 

彼が王子のシンボルを

探して来る間、ビョルンは

雪だるまの形を整えました。

たとえ、それが

雪だるま一つ作ることであっても

どうせ始めたことなら、

完璧な終わりを迎えるべきでした。

 

急いで立ち去った侍従は、

ビョルンが最終検討を終えた頃に

庭園に戻ってきました。

彼は、葉巻を手にしていました。

 

あのメイドと一緒にクビにしようかと

侍従の去就を真剣に悩んでいると

エルナの小さな笑い声が

聞こえて来ました。 

彼と目が合うと、ビクッとして

顔を強張らせませしたが

エルナの唇に、微かな笑みが

余韻のように残っていました。

 

エルナのように笑ったビョルンは、

一層寛大になった気持ちで

侍従が差し出した葉巻を

受け取りました。

それを口にくわえさせると、

シンボルを備えた王子の雪だるまが

完成しました。

 

「これは私。あれはあなた」と

ビョルンは目で

並んでいる2つの雪だるまを

示しました。

葉巻をくわえた雪だるまと

造花で飾った雪だるまを

注意深く見たエルナの目は、

再び彼の顔の上で止まりました。

 

彼女は、

雪だるまをあんなに大きくする人が

どこにいるのかと尋ねました。

ビョルンは、

自分が大きいからだと答えました。

 

エルナは、

夜に見たら怖いと思うと呟くと

ビョルンは、

怖がる妃と一緒にいてあげると

言いました。

「いいえ!」と

エルナは真顔で首を振りました。

ほんのり赤くなった頬がきれいでした。

風に乱れた髪と

腫れが残っている目まで

そう見えました。

ビョルンは、日差しが眩しくて

細めた目で、

自分の美しい未知数を見つめました。

 

ただ、あの顔を見たかったために

昨日の狂った行動を思い浮かべると

自然に失笑が漏れました。

 

侍従と共に

最後の経由駅で降りる時まで、

彼はその町で

一晩、過ごすつもりでした。

天候が悪化して

移動がままならないのであれば、

バフォード行きを

あえて敢行する理由は

なかったからでした。

しかし、出発を知らせる

列車のクラクションが鳴り始めると

帰らなければならないという

多分に非理性的な衝動が

彼を揺さぶり始めました。

 

最終的に、ビョルンは

プラットフォームを走り、

動き出した電車に乗りました。

レチェンの王子として、

決して犯してはならない

無謀なことでした。

しかし、その瞬間、

判断の基準は唯一エルナだけ。

そして、ビョルン・デナイスタは

ただ、彼女の男でした。

 

予測と統制は

完全に無力化されました。

エルナに関することは、

彼が管轄できない変数だけで

構成されていました。

いわば混乱。

甘いぬかるみのような混乱でした。

 

フィツ夫人は、

バフォードへ行って、

欲しいものを手に入れるように、

デナイスタらしく

勝利するようにいいました。

しかし、この愛は、

まるで勝算が全くない札を持って

臨むゲームのようでした。

敗北するだろうという予感が

ありました。

それでも止めたくない。

喜んで負けるゲームをしたいと

思いました。

それがまさに彼が望む勝利でした。

 

穏やかな諦めのため息をついた

ビョルンは

遠くの空を眺めました。

エルナが本心を見せてくれたので、

今度は彼が答える番でした。

あまりにも漠然としていて

恐怖さえありましたが、

これ以上、

回避したくありませんでした。

 

息を整えたビョルンは、

2つの雪だるまの間に近づき

ゆっくりと体を屈めて、

小さな雪玉を作りました。

 

じっとその姿を見守っていたエルナは

首を小さく傾げながら、

また、何を作っているのかと

尋ねました。

 

しばらく手を止めたビョルンは

エルナを見ないまま、

赤ちゃんのデナイスタと

落ち着いた返事をしました。

そして再び、とても慎重な手つきで

とても小さな雪だるまを

作り始めました。

 

「うちの子です。」と

静かに付け加えたその言葉が、

冷たく澄んだ風に乗って

伝わって来ました。

言葉に詰まったエルナは、

何の返事もできませんでした。

いったい何を言われたのか

よく理解できず、

何度もその短い返事を

噛みしめました。

そして、ようやくビョルンの言葉が

理解できるようになると、

今になって一体、あなたがなぜと

鋭い疑問が浮かび上がりました。

 

エルナは赤くなった目を

ゆっくり瞬かせながら

赤ちゃん雪だるまを作っている

ビョルンのそばに近寄りました。

そわそわしながら顔色を窺っていた

リサと侍従が退くと、

一面真っ白な雪で覆われた庭には、

2人だけが残りました。

 

エルナは、彼が作っている

赤ちゃん雪だるまのそばで

足を止めると、

何の関心もなかった子供に、

一体どうしたのかと

激昂して尋ねました。

 

エルナは、

ビョルンに心の底を見せてしまった

昨夜のことを、

突然、後悔しました。

恥部がばれたようで恥ずかしく、

一方では腹が立ちました。

 

エルナは、

愚かな自分に同情でもしているのか。

それとも・・・と聞いたところで、

ビョルンは、

妊娠の知らせを聞いて

自分も嬉しかったと答えました。

そして雪だるまを完成させると

頭を上げました。

面食らった顔をしている

エルナを見つめながら、ビョルンは

嬉しくないわけがない。

うちの子なのだからと、

もう一度、静かに言いました。

そして、

あの子はハルディ子爵の不始末から

エルナを守ってくれると思った。

自分の子供を持つ自分の妃を

あえて、誰も追い出すことは

できないだろうから。

お腹の中で

自分の役割を果たすなんて、

さすがに自分の子らしい。

感心したと言うと、

ため息に似た笑みを浮かべました。

 

それから、再び頭を下げて

雪だるまを作りました。

手袋を脱いだまま雪を触る手が

赤く凍りついていましたが、

彼は少しも気にしませんでした。

 

子供を最優先に

考えられなかったことは認める。

自分が決めた優先順位は

エルナだったので、

エルナを守るために

自分がしなければならないことだけを

考えた。 それだけでも手一杯で、

あの子が自分の子供だとしても

後回しになったと

ビョルンは、静かに話し続けました。

 

そして、ついに

赤ちゃん雪だるまが完成しました。

その形を細かく整えたビョルンは、

リサが持ってきた籠を探し、

エルナが愛する鈴蘭を見つけました。

恐らく、

二人の最初の子供ができたその日、

バフォードの森の草地に咲いていた

まさにその花でした。

浮かれて

草むらの向こうに走って行き

花を折って持って来た、

あの日のエルナが

小さな雪だるまの上に

浮かび上がりました。

 

あんなに美しい春の日に

やって来た子供だったから、

無事に生まれて来たら

母親のように愛らしい淑女に

なったはずでした。

 

目を開いたビョルンは、

雪だるまに、

その花を抱かせました。

そして、ゆっくりと体を起こし、

エルナと向き合いました。

 

赤くなったエルナの目を

見つめながら、ビョルンは、

夏の終わりの、

ある日の午後のことを回想しました。

 

子どもの物を

きれいに片づけてしまった翌日、

ビョルンは衝動的に、

これまでエルナの世話をしてきた

医師を訪ね、

エルナの妊娠を確認した日から

流産した日まで、子供について

主治医が知っていることを

すべて話して欲しいと要求しました。

主治医は熟練した医師らしい態度で

それに応えてくれました。

そして、その日、ビョルンは

流産した子供が娘だったことを

知りました。

 

性別が分かるほど

育っていた子供だったという

事実が与えた衝撃のためか、

その後に聞いた説明は

よく覚えていませんでした。

 

主治医は、これが決して

特別な不幸ではないことを

何度も伝えました。

よく起こることなので、

誰の過ちでもないと言い、

次回は元気な子供が

無事に生まれるという慰めの言葉を

伝えることも忘れませんでした。

誰のせいでもないという

確答を得たので、結果的には

望んでいたことを成し遂げた

訪問でした。

ビョルンは、そうだと思っていました。

 

ビョルンは、

これといった感情がこもっていない声で

うちの子は娘だったようだと

淡々と語りました。

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子供の雪だるまを作ったら

エルナが悲しむことは

分かっていたけれど、

ビョルンも子供ができたことが

嬉しかったこと、そして、

死んでしまった子供も

自分たちの家族だと思っていることを

本気でエルナに伝えたくて

あえて、赤ちゃんの雪だるまを

作ったのではないかと思いました。

赤ちゃんの雪だるまに

鈴蘭を抱かせたシーンでは

ウルウルしてしまいました。

 

次のお話も、

涙なくしては読めないかも

しれません。

涙もろい方は、

ハンカチとティッシュ

ご用意ください。

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