自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

問題な王子様 143話 ネタバレ 原作 あらすじ ビョルンに本心を打ち明けたエルナ

 

143話 自分の部屋に戻ろうとするエルナに、ビョルンは「行かないで」と頼みました。

 

目を見開いて

瞬きだけしていたエルナは、

何の返事もできずに、

視線を逸らしました。

まるで自分の中にも

吹雪が吹き荒れているように

頭の中が真っ白に染まり

何も思いつきませんでした。

 

しばらく躊躇った後、エルナは

何も聞いていないかのように

「おやすみなさい」と

淡々と返事をしました。

スカートの裾を捩った手が

震えていましたが、

それを意識するだけの余裕は

残っていませんでした。

 

異常な心臓の鼓動が多少落ち着くと

エルナは逃げるように

彼に背を向けました。

これ以上、あの男を見たくない。

そうしなければならないという

強迫観念が

エルナの背中を押しました。

 

しかし、

ほんの数歩も踏み出さないうちに、

ビョルンがエルナの前に

立ちはだかりました。

エルナは肩を掴む

大きな手の握力を感じて初めて

その事実に気づきました。

 

ビョルンは、

自分を待っていたのでは

なかったのかと

エルナを問い詰めました。

そのビョルンの声が

エルナの中に吹いている

風の音を消しました。

 

ビョルンは、

夜遅くまで起きていたのは

そのためではなかったのかと

尋ねました。

エルナは、

そんなことはないと否定すると

潤んだ瞳を上げて

ビョルンに向き合いました。

 

エルナは、

もしかしたら来るかもしれないと

思っていた。

もし、そうなった時、

扉を開けてあげる必要があるので

12時まで見守ることにしたと

答えました。

 

ビョルンは、

それが待っていたということだと

反論すると、

まだ濡れている髪の毛を撫でながら

深いため息をつきました。

そして、

自分を待っていたくせに、

なぜ、せっかく帰って来たら

逃げたりするのかと尋ねました。

 

エルナは

やめて欲しいと頼みました。

そして、ビョルンは、

何でも本当に簡単だと思っているけれど

自分は違う。

だから、これ以上、

自分を揺さぶらないで欲しいと

頼みました。

 

泣きそうな顔で哀願する

エルナを見ていたビョルンの唇から

「簡単に見えますか?」と

虚しい自嘲の言葉が漏れました。

 

ビョルンが知っている算法の中では

エルナは容易くて楽な女でした。

しかし、すでに、その算法は

役に立たなくなって久しいし、

これ以上、

計算できなくなったエルナは

彼の世界を崩してしまう

難題となっていました。

 

ビョルンは、

自分が消えることを願っている

女性のそばに再び戻って、

苦しい話をすることが

自分にとって易しいことだと

思うのかと尋ねました。

 

エルナは「願いって?」と

聞き返すと、ビョルンは、

エルナが誕生日に願ったことだと

答えました。

彼は、自尊心を崩壊させる言葉が

このように簡単に出て来ることが

虚しくて、笑いが出ました。

 

自分を見つめていたエルナが

祈る願いは、結局、

それだけだということが分かったので

それで聞けませんでした。

この女性にとって、自分が、

こんなに、つまらない存在に

転落したという事実さえ

認めたくなかったからでした。

結局、このように

底辺と向き合うことに

なってしまいましたが。

 

しかし、エルナは

恨みに満ちた目で彼を睨みながら

そんなことは願っていない。

人生に一度だけの21歳の誕生日の

大切な願いなのに、

ビョルンが消えてくれることを

願うのに使うと思うのかと

反論しました。

 

ビョルンは、

それでは、その願い事は

一体何だったのかと尋ねました。

エルナは、

赤ちゃんのために願ったと

衝動的に叫びました。

 

全く予想できなかった一撃を受けた

ビョルンの目つきが

一瞬ぼんやりとしました。

 

エルナの両目から溢れだした涙が

赤く染まった頬を伝って

流れ落ちました。

絶えず流れる涙が、エルナの顔を

びしょびしょに濡らしました。

 

エルナは、

あのように去ってしまった

可哀想な自分たちの赤ちゃんを

良い所へ行かせてくれと願った。

これで十分な答えになったかと

尋ねました。

声を出すことができなくて

笑みを浮かべていたエルナの唇は

久しぶりにまともな言葉を

発しました。

 

ビョルンは、

あの子のことが大切では

なかっただろうけれど

自分には本当に大切だっと言うと

道に迷った子供のようなエルナの目が

再び彼を見つめました。

ビョルンは

泣きじゃくるエルナを見つめるだけで

簡単に言葉が出ませんでした。

 

実は永遠に

子供ができないのではないかと思って

怖かった。

グレディス王女には

ビョルンの息子がいたそうだから

妊娠できないのは

自分のせいだと思うけれど、

どうしたらいいのか

分からなかった。

本当に何の役にも立たない妻に

なったらどうしようと、

時間が経てば経つほど、

恐怖が増し、耐え難くなった

その時に、

やって来てくれた子供だったと、

エルナは

忘れようと努めてきた記憶を

涙と共に吐き出しました。

ぼやけた視界と夜の闇のせいで、

ビョルンの顔を

まともに見ることができないのは

幸いでした。

 

よりによって、

そのような最悪の状況の中で

あの事実を知ったけれど

恥知らずにも嬉しかった。

振り返ってみると、春に、ここで、

奇跡のように幸せな時間を

過ごした時にできた子供なので

なおさらそうだった。

子供が元気に生まれてくれれば、

またそのような奇跡が

訪れるような気がした。

たとえ、ビョルンが

少しも喜ばなかったとしても、

確かに自分たちの

赤ちゃんだったからと

エルナは話しました。

 

たった一度も父親に歓迎されずに

去った子供と、

消えない傷痕が残った

あの夏の日の記憶が、涙の中に

一つ二つと浮び上がりました。

とても孤独で寂しかったけれど

どれだけ嬉しかったことか。

しかし、一人で愛した子供を

結局一人で

行かせなければならなかった

あの日の底なしの絶望と苦痛は

どれほど恐ろしかったことか。

生々しく蘇ったその感情が、

嵐のようにエルナを襲い、

揺さぶり始めました。

 

人の悪口のように、

あの子のおかげで、

大公妃の座を守ることが

できるようになったという

安堵感もなくはなかった。

改めて考えてみると

確かにそうだった。

自分には、

子供が大切だったという話をする

資格がない。

どこの母親がそんなことをするのかと

エルナは言うと、泣き笑いしました。

子供を失った後、

意図的に回避してきた自分の本心に

初めて向き合うようになった

気分でした。

 

エルナは、

自分が耐えられないほど嫌なのは

ビョルンではなく自分だと言うと

虚空を彷徨っていたエルナの視線が

再びビョルンに注がれました。

 

エルナは、

傷ついてもビョルンが好きだった。

最後まで、子供と自分を

寂しく放っておいた人なのに、

とても辛くて、悲惨だったけれど

その気持ちは止まらなかった。

そんな自分がとても嫌で、

もうビョルンを愛していないと

自らを騙した。そうすれば、

ビョルンのそばで

生きていけると思ったと話しました。

 

ビョルンは「エルナ」と

辛うじて口を開きましたが、

それ以上、話を続けることが

できませんでした。

その代わり、

肩を握りしめていた手を上げて、

エルナの顔を包み込み、

ゆっくりと、慎重に

涙を拭い始めました。

その冷たくて柔らかい手つきが

ようやく落ち着いていた

エルナの涙を、さらに熱くしました。

 

それでも耐え難かった。

とても怖くて息が詰まった。

それでビョルンから離れた。

ビョルンではなく自分に、

またビョルンを愛したい自分に

到底耐える自信がなかったから。

そして、今も自分はそうだと、

隠すことができなくなった本心が

子供のようなエルナの泣き声と共に

溢れ出ました。

花の墓のようだった部屋から逃げた

夜の記憶が

涙で曇ったビョルンの顔の上に

浮び上がりました。

これ以上、

この男を愛していなかったら、

耐えられただろう。

いつまでも枯れない、

きれいな造花となり、

平穏な日々を送ることもできました。

しかし、エルナは

彼を愛していたので、

逃げなければなりませんでした。

 

エルナは、

虚像を愛したということを

知っていながらも、

揺れる自分が嫌。

これ以上傷つきたくないのに、

本当に耐えられそうもないのに、

再び期待する自分がとても憎い。

だから、自分は苦しくて怖いと

言いました。

 

苦しそうな息と共に

溢れ出るエルナの泣き声は、

今では、まともに

体を支えられないほど

激しくなっていました。

ある瞬間からは、

自分が何を言っているのかさえ、

きちんと認知することが

できませんでした。

 

ただ一つ、

ビョルンの静かな視線と

涙を拭いてくれた手と

よろめく体を引っ張って

抱きしめた両腕だけは、

あまりにも鮮明な記憶として

意識に深く刻まれました。

 

「ごめんなさい。」

もがくエルナを

胸の奥深くに抱きしめたビョルンが

謝りました。 低い声で何度も

「ごめんなさい、エルナ」と謝りました。

泣き声なのか、あるいは

吹雪が作り出した幻聴なのかも

しれませんでしたが。

どうして一晩で

こんなに天気が変わるのか分からない。

吹雪が吹き荒れたというのが、

まるで嘘のようだと言う

リサの明るい声が

部屋の静寂を破りました。

 

すでに冷めてしまった茶碗を

抱えたまま、

静かに座っていたエルナは、

ようやく顔を上げてリサを見ました。

窓から差し込んだ光が、一夜にして、

目に見えて憔悴した顔を照らしました。

明るい所で見ると、浮腫んだ両目が

さらに目立ちました。

 

リサは、それを見ても

見ないふりをしながら

今朝は散歩に行っていないので

散歩に行かないかと

視線を逸らして話題を変えました。

 

吹雪が吹き荒れた。

王子が帰って来た。

そしてエルナが泣いた。

 

昨夜についてリサが知っているのは、

その断片的な事実だけでしたが、

エルナに起こったことを

いくらでも推測することができました。

吹雪の夜に帰ってきた王子が

エルナを泣かせた。

本当に罪深い王子様であるのは

確かでした。

 

エルナが躊躇っている間に

リサは素早くコートと手袋を

持って来ました。

そして、

雪だるまを作ってあげると

エルナを誘いました。

雪だるまと聞いて、

ずっと、ぼんやりとした

表情をしていたエルナの目が

丸く大きくなりました。

 

リサは、エルナがそうすると

思ったかのように笑って

エルナを立たせると、

大公妃のクッキー缶の雪だるまより、

はるかに大きな雪だるまを

作ってあげる。

実は、自分は、

雪だるまを作るのが本当に上手だ。

実力を見たら

びっくりすると思うと、

冗談半分で自慢話をすると

エルナがニッコリと笑いました。

 

ようやく安心したリサは、

改めて意気揚々とし、

雪に覆われたバーデン家の庭園を

見下ろしました。

リサの力作が

建てられる予定の場所でした。

侍従の執拗なノックの音で

ビョルンは目を覚ましました。

入室を許可しないと、扉がすり減るまで

叩きつける勢いでした。

ビョルンは渋々目を開けて

「入れ」と命じました。

 

ビョルンが、

重い体を起こして座る間に、

泣きべそをかいた

侍従が入って来ました。

ちょうどここに

到着したばかりのような姿でした。

 

「王子様!」と声をかける侍従に

ビョルンは、

今回のことはすまなかったと

笑いながら謝罪の言葉を

投げかけることで

長広舌を振るいそうな侍従の言葉を

遮りました。

 

侍従は深いため息をつきながら

額を押さえました。

王子が狂った。

昨日のことは、それ以外の

どんな言葉でも

説明がつきませんでした。

 

シュベリンを早朝に出発した列車が

最後の経由駅に停車した時、

バフォードの気象悪化の知らせが

伝えられました。

直接その知らせを伝えた車掌は、

夜遅く、吹雪が吹き荒れる田舎の駅に

到着してみたところで

身動きが取れなくなるので、

ホテルがあるこの小都市の駅で下車し

一日滞在した方がいいと思うと

勧めました。

それは極めて妥当な提案であり、

王子は快く受け入れました。

だから、執事は、

すべて解決されたことだと

思っていました。

一緒に列車を降りた王子が

いなくなったことを知るまでは。

 

王子を探す彼の声が響き渡る間に、

停車していた列車が

再び動き出しました。

そしてその時、執事は

一人でプラットホームを走って

汽車に飛び乗るという

狂ったことをしたビョルン王子を

発見しました。

 

王子様に何かあったら自分は・・・

と嘆く執事に、ビョルンは

見ての通り大丈夫だと返事をすると

脱ぎ捨てたガウンを羽織って

ベッドから立ち上がり

窓の方に近づきました。

カーテンを開けると、

明るい光が差し込んで

彼を包み込みました。

 

熱感のある長いため息をついた

ビョルンは、

いつもよりゆっくりとした動作で

窓枠に腰を下ろしました。

思わず視線を下げると、

雪に覆われた白い庭の上に

立っているエルナが見えました。

何をしているのかと思ったら、

とんでもないことに、

地獄の門番と一緒に

雪だるまを作っているところでした。

野暮ったい花を

ぶら下げているのを見ると、

エルナのようでした。

何がそんなに楽しいのか、

キャハハハという

二人の女の笑い声を聞いていた

ビョルンの唇にも、

そっと笑みが浮かびました。

 

窓枠から降りたビョルンは、

憂いに満ちた顔をしている

侍従に向かって

雪だるまを上手に作れるかと

淡々とした質問を投げかけました。

 

侍従は、目をパチパチさせ、

「はい?」と

呆れたように聞き返すと、

返事の代わりにビョルンは、

もう一度にっこり笑いました。

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相思相愛なのに、

愛情の表現方法が

相手に理解されなかったせいで

うまくいかなかった

エルナとビョルン。

けれども、エルナが

本心を打ち明けてくれたことで

ビョルンはエルナに

愛されていることを

知ることができたと思います。

そこまでエルナの心を開かせたのは

ビョルンに外なりません。

しかも、今まで一度も本気で

謝ったことがなさそうなビョルンが

エルナに謝ったのは

凄いことだと思います。

 

エルナも

今までのビョルンの言動を見て

彼が自分のことを愛していることは

分かったと思います。

けれども、ビョルンが子供のことを

大切に思っていなかったと

信じ込んでいることが

ネックとなっている。

それを知ったビョルンが

はたして、どう出るか・・・

 

リサは、エルナを笑顔にさせる

天才だと思います。

 

いつもたくさんのコメントを

ありがとうございます。

明日、更新しようと思ったのですが

144話と145話は、あまり間を空けずに

お読みになられた方が良いと思うので

144話は金曜日に更新いたします。

よろしくお願いいたします。

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