外伝7話 夜中に会うのは失礼だとナビエは思っていたのに、エインジェルは・・・
◇どちらを選ぶか◇
翌日、ナビエは
イモナと昼食を共にしました。
イモナは、
月大陸はどんな所か
ずっと気になっていたけれど
ナビエを見ると
どんな場所か見当がつく、
そして、夜中に尋ねてきた
男性とは雰囲気が違うと話しました。
ナビエは、
突然消えたエインジェルが
イモナに会いに来ていたことを
知りました。
ナビエは、
自分の雰囲気と
前日に会った男性の雰囲気のどちらを
月大陸の雰囲気であることを
望んでいるかと尋ねました。
イモナは選択可能なのかと
ナビエに尋ねました。
エインジェルの部下は
イモナが自分たちを選ぶだろうかと
エインジェルに聞いていました。
ナビエがイモナと
話をしていると聞いたエインジェルは、
西大帝国がルイフトとの貿易を
独占していれば
西大帝国の利益にはなるけれども
ルイフトの利益にはならない。
そして、
ナビエ皇后が独占権に固執していれば
ルイフトの立場を
全く考慮しない人と思われるだろう、
彼女も悩んでいるだろうと
返事をしました。
この話をしている間、エンジェルは、近くに咲いている自分の背丈ほどもある花を、ナビエにプレゼントしたら、どんな反応を見せるか、なんてことも言っています。
◇人の思いを避ける◇
エインジェルは宮殿へ来るまで
無駄な考えばかり
しているようだったので
いつの間に、
ルイフトと月大陸連合との交易について
企んでいたのか、カフメン大公は
いくら考えてもわかりませんでした。
しかし、
ようやくエインジェルの本音が
わかったので
イモナとの食事を終えて
外へ出てきたナビエに
エインジェルの本音を
伝えようとしましたが
彼女の頭の中は
エインジェルの言っていた通りの悩みで
頭がいっぱいだったので
自分が近づくことで
その悩みが複雑になることを恐れ
カフメン大公は
ひとまず、その場を立ち去りました。
その時、カフメン大公は
東大帝国で
エルギ公爵の思いを避けて
席を外したことを思い出しました。
彼とは、特別な付き合いは
ありませんでしたが
一方的に、彼の記憶が
残っていました。
カフメン大公は、
エルギ公爵が
心の中で繰り返し思い出していた
彼の過去を思い浮かべました。
◇救われたアレイシア◇
理性を取り戻したアレイシアは
恐怖を感じました。
あの王族は
自分のことを信じるはずがないから
今度は自分が絞首刑になると
思いました。
海軍大将は
アレイシアを逮捕するように
部下に合図しましたが
クローディア王弟は
再び、少し待つように言いました。
そして、アレイシアの顔を
くまなく観察しました。
彼女は、王弟が自分の顔に
惚れていると思いました。
自分の顔が気に入ったなら
自分を救えと、
アレイシアが心の中で
叫んでいると
王弟は、アレイシアを
自分に寄こすように言いました。
服を着替えて
きれいに洗ったアレイシアを見て
海軍大将の下女は
海賊行為をしても、
顔がきれいなら許される。
王弟もひどい、王弟妃がいるのにと
彼女を侮辱しました。
その話を聞いてアレイシアは
また妻のいる男だと思いました。
その後、アレイシアは
馬車に乗り込むと
これから、どうするべきか
悩みました。
自分の本当の正体を明かそうか、
けれども、
自分が生きていることがわかれば
両親やクロム公国の君主が
どう出てくるのか。
しかし、妻のいる男のそばに
いたくない。
身分がないので、逃げ出しても
1人で暮らすすべがない・・・
顔色を窺わないようにして
過ごせば、
自分に飽きた時に
お金と身分をくれるかもしれない。
プライドを捨てても
無条件に生きなければと
アレイシアは思いました。
しかし、王弟の邸宅に行き
ソビエシュと同年代の
少年を見た時
アレイシアは恐怖を感じました。
ソビエシュ同様
この少年も
自分に濡れ衣を着せるのではないかと
思いました。
邸宅へ来るまで
何も話さなかった王弟が
エルギと息子の名前を呼びました。
エルギは父親に
その女性は誰かと尋ねたので
彼女はアレイシアと名乗りました。
エルギは天使のように可愛くて
そんな息子を父親は
愛情を込めて見つめました。
その目は、オシス皇帝が
自分の息子と手をつないでいた
少女を見る目と
似ていることに気付きました。
クローディア王弟は
アレイシアが海賊の捕虜になっていたと
エルギに伝えると、彼は、
思いやりに満ちた顔をしました。
アレイシアは、この子なら
ソビエシュのように嘘をついて
自分に濡れ衣は着せないと思いました。
アレイシアは涙を流すと
エルギは懐からハンカチを取り出し
思い切り泣くように。
あなたの心が痛まなくなるまで
いつでも私が涙を拭いてあげると
言いました。
大人びた口の利き方に
アレイシアは噴き出してしまいました。
そして、その瞬間
なぜか自分を恨めしい目つきで見ていた
もう一人の少年のことを思い出しました。
アレイシアは
エルギには、そんな傷は与えない。
生きる道を見つけたら
すぐに去るから、
と心の中で誓いました。
◇大人びた少年◇
王弟は自分のことを
好きになったと思っていたけれども
1週間経っても、アレイシアは
王弟の部屋の中に入っていないし
話もしていませんでした。
彼女は、エルギと白い猫と遊び
お客さんのように過ごしていました。
エルギは、何か悩みがあるなら
自分に話すようにと
アレイシアに伝えました。
アレイシアは、エルギに
なぜ、大人のような
話し方をするのか尋ねると
彼は、母親のためだと
答えました。
こんなに大きくなったのに
母親は自分を子供扱いするから。
自分は母親の力になりたいと
エルギは言いました。
そういえば、アレイシアは
一度も王弟の奥さんを
見ていませんでした。
ようやく、エルギ公爵と
アレイシアが出会いました。
初めのうちは、
アレイシアとエルギ公爵は
仲が良かったので
アレイシアは、
ソビエシュが嘘をついたことで
ひどい目にあったことを
彼に話していたのでしょうね。
201話で
エルギ公爵はソビエシュに
陛下は何の恨みがあって
あんなことをしたのかと
尋ねていますが
ソビエシュのついた嘘のことを
差しているのだと思います。
これはアレイシアの言葉ですが
エルギ公爵自身の言葉でも
あると思います。
カフメン大公が
エルギ公爵の心の声を避けるほど
彼にはつらい過去があります。