243話 連合にハインリを連れてこさせるって、どういう意味なのでしょうか?
◇ナビエの計画◇
宰相は目を丸くして
ハインリが行方不明なことを
連合に知らせるのかと
ナビエに尋ねました。
彼女は、それを否定し
連合がハインリを連れているかどうか
探りを入れると答えました。
そして
連合側は西大帝国を
孤立させようとしているけれど
大多数の国家が
連合側につかなければ
意味がない。
ただ連合は西大帝国との
戦争を望んではいない。
連合の影響力の拡大を
望んでいるだけ。
それであれば
連合と連合の肩を持つ国々に
彼らの言葉に無条件に従わない
国家があることを示せば良い。
と言って、地図を広げ
味方になってくれそうな
ホワイトモンド、
ブルーボヘアン、
ルイフトを指さしました。
連合のせいで
ハインリが帰ってこないのなら
自分たちも連合に圧力をかけ
ハインリを返させるしかないと
ナビエは思いました。
ナビエは、ホワイトモンド、
ブルーボヘアン、
ルイフトの気分を害さずに
ナビエの提案を受け入れる方法を
考えていました。
その決定を下す前に
ブルーボヘアンから
エルギ公爵がやって来ました。
エルギ公爵は
自分が西大帝国を訪れることを
ナビエがハインリから
聞いていなかったことを知ると
驚きました。
エルギ公爵は
ハインリの親友だし
危険を冒して
ナビエとハインリが
東大帝国から脱出するのを
手伝ってくれたので
ナビエは、ハインリが
行方不明であることを
彼に話しました。
エルギ公爵は
ハインリに送った伝書鳥が
きちんと任務を果たして
戻って来たので
彼が行方不明になったのは
その後だと
ナビエに伝えました。
ナビエは、月大陸連合の最近の動向を
知っているかどうか
エルギ公爵に尋ねました。
彼は、
連合が影響力を拡大するために
強大国2国を抑えようとしている。
ブルーボヘアンの王は
連合の肩を持つことにしたようだ。
そのことを、ハインリに
手紙で伝えたと答えました。
ホワイトモンドと
ブルーボヘアン、ルイフトを
味方につけようという
ナビエの計画がダメになり
彼女はがっかりしました。
ナビエはバルコニーの
手すりを握り
ひとまずルイフトに
声をかけよう、
そして、新年祭をどうするか
考えました。
◇それぞれの苦しみ◇
空き地では、マスタスが
表情をこわばらせて
槍を振り回していました。
ナビエは、
コシャールのせいで
マスタスは
苦しんでいるかもしれない、
彼女を慰めたいが
コシャールと同じ顔の自分が
話しても、
余計に傷つけるのではないかと
思いました。
今度は、エルギ公爵が
物思いに沈んで歩いているのを
ナビエは見つけました。
そして、その向かい側の道を
ルベティがエルギ公爵へ向かって
歩いていました。
ハインリが失踪したと聞いて
エルギ公爵も当惑していました。
ハインリの失踪の背景について
ナビエは詳しい説明を
していませんでしたが
以前、ハインリはエルギ公爵に
魔石の回収を
頼んだことがあったので
魔石を回収しに行って
行方不明になったのではと
思いました。
その時、地面をカサカサ踏む音がし
視線を感じました。
顔を上げると、見覚えのある
令嬢が立っていました。
エルギ公爵は黙って
通り過ぎようとすると
ルベティは、
この世でラスタが
一番嫌いだったけれど
もっと嫌いな人が現れたと
エルギ公爵に言いました。
エルギ公爵は
そんなことを言われた理由が
わからず、
ルベティに名前を尋ねました。
その名前を聞くと、
エルギ公爵は彼女が
ロテシュ子爵の娘で
ラスタがよく悪口を言っていたことを
思い出しました。
エルギ公爵は、親子検査の時に
アンを連れて行ったことを
ルベティは
誰かから聞かされたのだと思いました。
エルギ公爵は
ラスタがその話を聞いたら
喜ぶだろう。
地獄へ行ったら伝えてあげると
ルベティに言いました。
◇交易の成功◇
商人たちが都へ戻ってくる日
ナビエやカフメン大公たちは
馬車が入る所まで
彼らを迎えに行きました。
馬車の数は出発した時よりも増え、
その中には、珍しい柄のカーペットや
色々な模様の金銀財宝などがいっぱいで
それらを見た人から
ため息がもれました。
持って行った以上に
持って帰って来たので
西大帝国側が損をしたのではと
カフメン大公は少し心配していましたが
ナビエは、商社の代表から、
貿易は大成功と報告を受けました。
翌日、ナビエはカフメン大公と
話をしようと思いましたが
彼は、異国の品々に魅了された
他の国々の大使に呼ばれて
不在とのことでした。
カフメン大公の侍従は
他の国が、
どのような条件を提示しても
最初に約束した通り
仲介独占権は
ルイフトと西大帝国に残しておくので
心配しないように。
とカフメン大公が言っていたと
ナビエに伝えました。
宰相は、
カフメン大公が西大帝国を
通さないと交易をしないと
主張したら
他の国は、火大陸の
ルイフト以外の国と
交易をするのではないかと
心配していました。
ナビエは、火大陸で月大陸に
友好的な国はルイフトだけなので
そうはならないと言いました。
東大帝国にいた時から
ルイフトと交易をしたいと
思っていたナビエ様。
西大帝国へ来て、
その夢をかなえ
見事に交易を成功させたナビエ様。
そのような女性に
とても憧れます。