自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

バスティアン 61話 ネタバレ ノベル あらすじ マンガ 47、48、49話 自分を憎みたくない

61話 オデットは雨の中で、何をしているのでしょうか?

必死で穴を掘ったオデットの両手は

濡れた土で覆われ、

滅茶苦茶になっていました。

服と靴の状態も同じでした。

 

無駄だと分かりながらも、

オデットは落ち着いて

土を払い落としました。

立ち上がって、

汚れた服を整えている間に

バスティアンが近づいて来ました。

怯えた子犬は、唸り声を上げながら

オデットの後ろに隠れました。

 

不幸を楽しむ趣味でもあるのだろうか。

上から下へ、下からまた上へ

オデットをジロジロ見る

バスティアンの口の端が

斜めに傾きました。

 

バスティアンはオデットに、

今、何をしているのか。

まさか雨の降る夜中に

土遊びをする趣味なんて

あるはずがないだろうと

皮肉を言いました。

 

オデットは、

心配をかけて申し訳ないと謝罪すると

感情を最大限排除した顔で

彼と向き合いました。

 

バスティアンは、夜の一部のような

濃い青色のレインコートを

着ていました。

雨でずぶぬれになっている

様子でしたが、少しも、

みすぼらしく見えませんでした。

そっと視線を落としたオデットは、

泥だらけの手を

スカートの裾の後ろに隠しました。

 

悩んでいたオデットは、

時々、エサをあげていた

病気の野良犬が死んだと

まず、最も重要な用件から伝えました。

 

オデットは、

子犬を追いかけた森の端で、

冷たい土の上に倒れている

母犬を見つけました。

すでに息絶えたのか、

体が硬直していました。

オデットにできたのは、

虚空に向かって開いている目を

閉じてやることだけでした。

 

初めて近くで見た犬は、

思ったよりずっと小さくて

痩せていました。

その事実がオデットの悲しみを

さらに深めました。

 

母犬を埋めた場所を

チラッと見たバスティアンは

「それで?」と聞き返しました。

オデットは、

静かに深呼吸することで

委縮した気持ちを落ち着かせた後

そのままにしておくと、他の獣に

食べられるような気がしたので、

片付けて埋めてやったと答えました。

 

バスティアンは、

「あなたが直接?」と尋ねました。

オデットは、このようなことで

人の手を借りる迷惑を

かけたくはなかったと答えました。

 

バスティアンは、

夜更けまで帰って来ない女主人が

引き起こした迷惑は構わないのかと

非難しました。

 

オデットは、

改めて考えてみると、

軽率な判断をしたようだ。

今後はこのようなことがないように

注意すると、言い訳をすることなく

謝罪しました。

礼儀正しい態度が、

かえって失礼に見えました。

 

バスティアンは呆れて

思わずクスッと

笑ってしまいました。

この女の怒る方法が

分かったような気がしました。

厄介なこと、この上ないけれど、

駄々をこねる子供のように

振る舞うよりは、

我慢してみる価値がありました。

 

バスティアンは、

あなた一人で、どうやって

犬を埋める穴を掘ったのかと

尋ねました。

 

状況を一通り把握すると、

バスティアンはさらに当惑しました。

オデットは、

曖昧な笑みでごまかしましたが、

遊撃訓練でも行ったかのような格好と

あちこち散らばっている

折れた枝の残骸を見ただけでも、

その答えが十分、分かるようでした。

 

生い茂った木の葉の上に降る雨音が、

再び訪れた沈黙の中に

染み込みました。

 

バスティアンの視線が

気まずくなったオデットは、

結局、先に顔を背けました。

自分の手で作った

みすぼらしい墓を見ると、

再び視界がぼやけました。

 

どうしても、オデットは、

死んだ母親と

そのそばをうろうろする

幼い子供を置いて

背を向けることができませんでした。

最初から体調が

良くない状態だったことを

知っていても、全てが

自分のせいのように思えました。

 

もう少し早く来れば良かった。

施すように差し出した餌よりも

良い助けができれば良かった。

それができないのなら、

いっそのこと、最初から

情けをかけなければ良かった。

 

無意味な仮定を続けている間に

ポツポツと

雨粒の音が聞こえ始めました。

子犬は死んだ母のそばに座って

オデットを見上げていました。

その絶対的な信頼が込められた瞳を、

オデットは、ついに

無視することができませんでした。

 

その後のことは、

ぼんやりとした記憶としてのみ

残っていました。

 

オデットは、

外したショールで死んだ犬を包むと

夜の森を横切って行きました。

日当たりのよい所。

寂しくない場所を探していると、

いつの間にか、

ここまで来ていました。

 

雨粒がかなり大きくなっていましたが

オデットは躊躇しませんでした。

まず、土が軟らかい土地を探し、

太くて丈夫そうな木の枝を

一抱え集めました。

死んだ犬を、

生きた獣の餌食にしておくことも、

他に助けを求める道もないので、

何とか自ら

やり遂げなければなりませんでした。

慣れ親しんだ絶望であり希望でした。

 

ようやく感情を落ち着かせて

顔を上げると、

依然として、その場にいる

バスティアンの顔が見えました。

目が合うと

彼は長いため息をつきました。

ただそれだけなのに、

オデットは、不意に

自分のみすぼらしい身なりを

自覚しました。

乱れた髪だけでも

整えられれば良かったけれど、

下手に汚い手で触れたら、

もっと滑稽になるはずでした。

 

途方に暮れて

周囲を見回していたオデットは、

急いで木の根元の下に近づくと

ハンドバッグを手に取りました。

かじかんだ手が

思うように動いてくれなくて

悔しい思いをしていると、

バスティアンが近づいて来ました。

驚いて落としてしまったバッグから

こぼれた中身が地面を転がりました。

 

オデットは最悪の状況がもたらしている

怒りを必死に抑えながら

落としたバッグを拾いました。

どうか、知らないふりをして欲しいと

願いましたが、

バスティアンは身を屈めて

オデットを助けました。

 

ハンカチ。懐中時計。 鏡。

比較的無難な品物に安堵した瞬間、

色とりどりの包装紙に包まれた

チョコレートが目に入りました。

 

そんなものを入れておいた

過去の自分が嫌になった瞬間、

バスティアンが、

その横に置かれた小刀を握りました。

折りたたまれた小刀を広げた

彼の目が徐々に細くなりました。

 

「どうか、護身用ではないと

仰っていただけませんか?」

バスティアンは呆れたように

頼みました。

古びている上に刃が欠けているので

使い物になりませんでした。

 

オデットは何も言わずに

それを奪い返すことで

代わりに答えました。

 

所持品を、全てバッグの中に入れた

オデットは、

何事もなかったかのように立ち上がり

ハンカチを広げて、

几帳面に手を拭きました。

その間に、

彼女の後ろに隠れていた子犬が

こっそり顔を出しました。

 

バスティアンは、

ジェンダス伯爵の代わりの相手でも

探しておいたのかと尋ねると、

眉間にしわを寄せて

汚れた毛の塊を見下ろしました。

オデットは、

そうするつもりだったけれど

残念ながら雌だったと答えました。

そして、

たたんだハンカチを入れたバッグを

手首にかけたオデットは、

真っすぐな姿勢で

バスティアンの前に立ちました。

自分としては、

気丈なふりをしてみようと

努力していたようでしたが、

そのせいで、凄然とした姿が

より一層浮き彫りになりました。

 

顔色は白い紙のように青白いのに、

頬と唇は病的に赤く、

よく見ると、痩せた肩も

細かく震えていました。

手に付いている大小の傷跡は、

木の枝で地面を掘った

執念と意気込みが残した

勲章に違いありませんでした。

 

しとしと降る秋の雨は

なかなか止む気配がありませんでした。

バスティアンは、

ため息をつきながら

レインコートを脱ぐと、

寒さに震えるオデットを包みました。

そして、

つまらない意地を張るなと言って

驚いて後ずさりするオデットを

制止すると、ゆっくり、

レインコートのボタンを留めました。

そして、腰の紐まで

しっかり結んでやると

「帰りましょう」と言って

手を差し出しました。

 

オデットは途方に暮れて、

その手を見つめました。

その間に、

バスティアンのレインコートに

残っていた体温が、

オデットの冷たい体の節々に

染み込みました。

実はとても癪に触って

恨めしかった時間を

思い出させる感覚でした。

 

背後から自分の名前を呼ぶ声が

聞こえて来た時、

実はオデットは、嬉しさを感じました。

自分を傷つけた

あの憎い男だということを

知っているのに、そうでした。

彼が来てくれて嬉しかったし、

その喜びの大きさほど

自分が憎くなりました。

 

バスティアンの温もりが呼び起こした

その瞬間の記憶が

オデットを退かせました。

今も十分疲れる人生なので、

自分を憎む心の重さまで

加えたくはありませんでした。

 

オデットは、

足元をうろうろしている子犬を

ひょいと抱き上げると、

この子も一緒に連れて行かせて欲しい。

とても小さくて幼い上に、

母親を失ったので、

一匹にしておくと生き残れないと

訴えました。

 

バスティアンは、

拒絶された手を上げて

雨に濡れた髪をかき上げると、

動物を飼いたいのなら、

むちろ、きちんとした犬を

一匹買うようにすると

返事をしました。

 

しかし、オデットは、

他の犬は必要ない。

あなたに迷惑をかけることが

ないようにする。

静かに育てて一緒に去るので、

どうか自分がここにいる間だけ

慈悲を施して欲しいと頼みました。

 

汚れた子犬を大切に抱いたオデットは

切迫した目で

彼を見上げていました。

可哀相なものに対する

格別な愛着を持っているような

女でした。

 

野良犬以下の扱いを受ける気分が

改めて嫌になった瞬間、

「お願いします、バスティアン」と、

オデットがもう一度懇願しました。

頑固な意志がこもった赤い目を

じっと見つめていたバスティアンが

漏らした失笑が、

白い息となって散らばりました。

答えはそれだけでした。

「犬を拾って来られたのですか?」

使用人たちは、朝の挨拶のように

その質問を交わし、

夜が明ける頃になると、邸宅全体に、

その噂が広まっていました。

 

消えた奥様と

その奥様を探しに行ったご主人様が、

なぜか子犬を一匹拾って

帰って来た。

その光景を直接目撃した侍従は、

ご主人様が、

奥様と奥様が拾った犬を

宝物のように大切に連れて来たと

話しました。

そのおかげで、二人の間に

深刻な争いが起きたという推測は

一日も経たないうちに

力を失いました。

 

台所に向かっていたメイドの一人が

ところで、ご主人様は

犬が嫌いではないかと言って

首を傾げました。

 

珍しくない猟犬でさえ

一匹も飼っていないではないか。

聞くところによると、

幼い時、犬に噛まれて

大怪我をしたことがあるそうで

先代のご主人様も、

孫を連れて来てからは、

犬を飼わなくなった。

 

そうだったんですか?

私は知りませんでした。

 

嫌いな犬も我慢するほど

奥様が好きなんですか?

そのうち乳母を探さなければ

ならないのではないか。

 

興奮したメイドたちのお喋りは

台所へと続く角を曲がった瞬間、

プツッと途絶えました。

よりによって、融通の利かない執事に

出くわしたからでした。

 

シーッ。

彼らをじっと見つめていたロビスは、

人差し指を唇の上に立てて

警告しました。

顔色を窺っていたメイドたちは、

誰が先ということもなく頷くと

それぞれの持ち場へ

散らばって行きました。

 

ようやく一安心したロビスが

使用人の休憩室に入ると、

呼び出しベルの音が鳴りました。

三階。女主人の寝室でした。

 

この時間に呼び出すのは、

ご主人様なので、

自分が行くと言って

メイド長を制止したロビスは

急いで通路に出ました。

 

バスティアンが犬を、

それも森に住む野良犬を

連れて来たことを知った時、

ロビスは、

危うく心臓が止まるところでした。

カール・イリスが

婿から孫を奪って来る

きっかけになった事故も、確か、

あの森に住んでいた野良犬から

端を発していました。

 

もちろん、あの時、

子供を攻撃したのは

オオカミのように

大きな猟犬だったそうなので

オデットが拾ってきた、

その小さな愛玩犬とは

大違いだろうけれど

それでも犬は犬でした。

 

どうやら奥様に

話をした方が良いという結論に至った頃

ロビスは、

三階の寝室の前に到着しました。

ノックをすると、予想通り

バスティアンの声が聞こえて来ました。

 

ロビスは息を整えてドアを開けました。

サイドテーブルの明かり一つだけが

灯っている寝室には、

まだ青みがかった夜明けの光が

漂っていました。

 

バスティアンは、

ベッドにもたれて座ったまま

眠っている妻を見下ろしていました。

 

ロビスは、

「お呼びですか、ご主人様」と

ぼそっと告げると、バスティアンは

ゆっくりと首を回しました。

 

静かにベッドから立ち上がった

バスティアンは、

クラーモ博士に、

連絡をしなければならないようだと

思いがけない命令を下しました。

ロビスはビクッとして

主人のそばに近づくと、バスティアンに

どこか具合が悪いのかと尋ねました。

バスティアンは、

自分ではなくオデットだと答えると

再びベッドの方へ目を向けました。

 

バスティアンは、

熱が上がっているところだ。

多分、体調不良だと思う。

患者が病院を訪れるのは

難しい状態なので、

往診を依頼するようにと

指示しました。

ロビスは、

クラマー博士が出勤し次第、

連絡しておくと返事をしました。

 

それからバスティアンは、

あの時のことを、

妻が知らないことを願うと

言いました。

 

ロビスが、

「あの時のことというと・・・」

と聞き返すと、バスティアンは、

今、考えているそのことで

合っていると思うと答えると

大したことなさそうに

ニッコリ笑いました。

本音を、

そっくりそのまま読まれたようで

呆然としたロビスは、なかなか口を

開くことができませんでした。

 

ようやく、ロビスは、

「しかし、ご主人様は犬を・・・」

と反論しましたが、

彼が、全て言い終える前に

バスティアンは、嫌いではないと

落ち着いて返事をしました。

そして、

・・・ただ好きではないだけだと、

普通に付け加えると、背を向けました。

 

その頑固な背中を見つめていたロビスは

「はい、ご主人様。 そうします。

使用人たちの口留めもしておきます」

と返事をして、

その辺で引き下がりました。

メイドたちのお喋りが、

もしかしたら、

現実になるかもしれないという

予感がした朝でした。

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マンガでは、なぜオデットが

バッグを取りに行ったか

分からなかったのですが、

すでに酷い恰好をしていても

バスティアンの前では、

きちんと身なりを整えたくて

ハンカチを取りに行ったということが

分かりました。

 

おそらくオデットは、

自分のことを心配してもらって

優しくされることに慣れていなくて

バスティアンが

自分を探しに来てくれて

レインコートをかけくれたことが

純粋に嬉しかったのでしょうけれど

自分を侮辱したことに、

まだ腹を立てているので、

そんな男の親切を

嬉しいと思ってしまった

自分のことを恥じたのだと思います。

ずぶぬれで泥だらけでも

身なりを整えようとしたことも

そうですが、オデットは

誇り高い女性だと思いました。

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DUNE様

コメントをありがとうございます。

実は、私も、マンガを読んだ時から

「美しい愚か者として生きるように」

の言葉の意味が分かりませんでした。

何となく、すっきりしませんでしたが

まあ、いいか・・・と諦めていました。

けれども、DUNE様が

皆様の意見を求められていましたので

私も考えてみましたが、

何も思いつかなかったので、

AIだったら、

どんな意見を出すだろうと思い

質問してみました。

以下、AIの回答です

 

「美しい愚か者として生きろ」

それは母が娘に遺した、

呪いにも祝福にも似た言葉である。

愚かであることは、

本来恥とされる。

知恵を持ち、誇りを持ち、

己の正しさを貫くことが

美徳とされる。

しかし母は、それがいかに危うく、

いかに人を傷つけるかを、

己の人生で知っていた。

愛に生きたがゆえに皇女の名を失い

夢を抱いたがゆえに

孤独に朽ちていく。

その果てに娘に願ったのは、

知恵や誇りを

振りかざすことではなく、

あえて「愚かさ」に

身を委ねる生き方だった。

美しい愚か者は、

人の脅威とならない。

策謀からは遠ざけられ、

時に憐れまれ時に守られる。

愚かであればこそ、

命を奪われる理由はなく、

美しければこそ、

人に居場所を与えられる。

そこには冷酷な現実の中で

娘を生かそうとする、

母の最後の知恵が潜んでいる。

けれども、その言葉の奥には

もう一つの願いがある。

それは

「心を守れ」という祈りだ。

母が過酷な宿命に

押し潰されたのと同じ苦しみを、

娘には背負わせたくない。

だからこそ、深く考えず、

無邪気に笑い、

時に人に利用されながらも、

心の奥に自由を秘めて生きてほしい。

「美しい愚か者」とは、

ただの無知ではない。

生き延びるために、

あえて愚かに見せる強さである。

母が果たせなかった

「生き延びること」を娘に託した

逆説的な愛の形なのである。

こうした解釈にすると、

この遺言は、

表面的には諦念の言葉でありながら

実は娘を守ろうとする

強い意志が込められた言葉として

響きます。

以上です。

 

ここまで深い意味はなく、

もっと単純な意味があるようにも

思えます。

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