自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

問題な王子様 72話 ネタバレ 先読み ノベル あらすじ マンガ 60、61話 噴水台の稼働日

 

72話 ビョルンはエルナの買い物に付き合わず、本を読んでいましたが・・・

本を読み終えても

エルナは帰って来ませんでした。

ビョルンは、

そろそろ退屈になってきたので

席を立ちました。

 

遠く離れた所で待機していた

侍従たちも

素早く彼の後を追いました。

ビョルンは彼らの1人に

エルナの居場所を尋ねると、

まだ3階を見て回っている。

10分前に伝言があったと答えました。

 

ビョルンは頷くと、

3階に続く階段がある方向へ

足を向けました。

3階に着くと、

ビョルンの足取りは

ゆっくりになりました。

 

デパートの内部は、

一箇所から四方を見渡すことができる

構造でした。

侍従たちは、エルナがいる場所を

調べると言いましたが、ビョルンは

あそこにいると言って

手すりの向こうを指差しました。

赤いドレスを着た女性が、

ある店の前に立っていました。

顔を見分けるには

あまりにも遠い距離でしたが、

ビョルンは自分の判断を

疑いませんでした。

 

ビョルンは目的地に目を向けたまま

大股で歩き始めました。

しばらく

ショーウインドーの前を

うろついていたエルナは、

彼が彼女との距離を縮めている間に

その店に入りました。

 

思わずビョルンは

看板を確認すると、

その店は画材店だったので、

彼は目を細めました。

 

ビョルンはエルナが

絵でも習うつもりなのかと思い

気にも留めないでおこうとした瞬間

エルナと一緒に

夜逃げをしようとした、

アカデミーの、

あの将来を嘱望されている

赤毛の画家のことを思い出しました。

ビョルンは、

しばらくその場に立ち止まり

エルナがいる場所を眺めました。

杖を握った手に、

そっと力を入れましたが、

それほど長くは続きませんでした。

一緒に足を止めた侍従たちが

怪訝そうな視線を交わし始める頃に

ビョルンは

再び歩き始めました。

 

たまたまエルナも店から出て来て

彼を見つけると、

彼女は満面の笑みを浮かべて

近づいて来ました。

普段と少しも変わらない様子でした。

箱を持った下女たちを

ちらりと見たビョルンは、

儀礼的な笑みを浮かべた顔で

妻を迎えました。

 

エルナは、

ちょうど買い物が終わったので、

ビョルンの所へ

行こうとしていたところだったと

言いました。

彼と目を合わせても、

エルナは気兼ねなく微笑みました。

そして、

ビョルンも必要なものがあるなら

自分も一緒に選ぶと提案しました。

しかし、ビョルンは

「ない」と答えると

妻をエスコートして、

その場を立ち去りました。

絵に描いたように完璧な

彼の笑みをじっと見つめていた

エルナは「ああ」と短く

返事をしました。

一瞬、沈黙が訪れて

ぎごちなくなりましたが、

しばらくして、それは薄れました。

エルナは自分が選んだ

プレゼントの話を聞かせ始め、

ビョルンは適当に耳を傾けました。

 

画材店のショーウインドーの前を

通り過ぎた時、ビョルンは

そこに陳列された品物を

一瞥しました。

金で装飾された絵の具箱と

筆でした。 

何の変哲もない夜。

2人はデパートを出ると、

しばらく川辺を散歩して、

夕飯を食べました。

ただそれだけなのに、

エルナはいつもより

明るく笑いました。

帰りの馬車の中でも同じでした。

ビョルンは首を斜めに傾げて、

そんな妻を見ました。

少し前まで、熱心に歩き回っていた

この都市の名所を

説明していたエルナは、

今は車窓の外を流れる風景に

すっかりはまっていました。

ビョルンは

エルナが見ているのと同じ方を

眺めました。

通り過ぎる街路樹の細い枝を見て、

ビョルンは、

旅行をするのに良くない季節に

新婚旅行に来たという事実を、

ふと思い出しました。

晩春と初夏の雰囲気が漂っていた

最初の新婚旅行の時に比べて

殺風景な光景でした。

もちろん、その瑞々しくて

美しい風景の中、

新郎と新婦は殺風景を極めたので、

これに勝るものもなかった

新婚旅行でしたが・・・

 

ビョルンは、

殺風景な風景に

しきりに感嘆するエルナを見て

ますます妙な気持ちになりました。

問題ないことはわかっているけれど

なぜか気に障りました。

 

そのわけの分からない

イライラが最高潮になった頃、

大聖堂の鐘の音が聞こえて来ました。

子供のように

喜んで笑っていたエルナは

ぎょっとして、

しばらく車窓から身を引きました。

あの日の記憶を思い出すと、

改めて、

恥ずかしくなったようでした。

その姿を見て、

ビョルンのイライラも収まりました。

 

彼は、

もう一度上ぼりたいのかと

尋ねました。

彼女は、一度で十分だと答えました。

しかし、エルナは澄んで従順な目で

彼を見つめながら、

他の人が皆そうするのには

それだけの理由があるだ。

少しは、ご利益があるようだと

ビョルンに理解できない話を

囁きました。

エルナは、時々、まともな精神で、

酔っぱらいのようなことを言う

女性だと、ビョルンは思いました。

彼はニヤリと笑いました。

 

気持ちが軽くなった彼は、

旅行はいつでもまた来ればいい。

自分たちは夫婦。

数えきれないほど多くの季節を

共にしなければならない義務を

分け合った仲だからと思いました。

フェリア王室が

レチェンの王子夫妻の

送別パーティーを開く夜、

王子の準備はもう終わったので、

急ぐようにと、メイド長が

厳しく命令すると、

メイドたちは、慌ただしく動きました。

 

普段は大公妃を

蔑視するメイドたちでさえ、

一時、レチェンの皇太子だった

王子の妻が、フェリアの前で

恥をかく姿は見たくないからでした。

 

靴や扇子、宝石などが

一つ一つ加えられるにつれ、

エルナの姿は美しく整えられて

行きました。

鏡をチラチラ見るメイドたちからも

少しずつ驚きが滲み出て来ました。

無視されていた田舎者の姿は跡形もなく

まるで一生涯を高貴に生きて来た

王女様のようでした。

 

ビョルンからプレゼントされた

ネックレスをつけたメイドが退くと、

最後の装身具であるティアラを持った

リサが近づいて来ました。

それは王妃から譲られたもので、

エルナは緊張した目で

その輝くティアラを見つめました。

 

かつて王妃は、自らティアラを

エルナの頭にかぶせると、

自分にとって、

とても切ない宝物なので

大切にして欲しいと、

この上なく慈しみ深い笑みを

浮かべ、

エルナの手をぎゅっと握って

頼みました。

 

以前とは違う王妃の態度に

エルナは戸惑いましたが、

一生、大切にすると約束しました。

 

エルナをじっと見つめていた王妃は、

頷きながら、

力を入れて握っていた手を

放しました。

ただそれだけなのに、

とても親密だったし、

なぜか、少し心が痛みました。

 

エルナは、

さらに、いくつかのティアラを

受け継ぎましたが、

彼女は王妃が直接かぶせてくれたものを

一番大事にし、

結婚式の時も、これを選びました。

 

ティアラをかぶせてくれた

リサが退くと、

エルナは立ち上がって部屋を出ました。

長い廊下を過ぎて階段を下り、

ホールで待っている

ビョルンと目が合うと

わずかに残っていた恐怖も

姿を消しました。

エレナは恥ずかしそうな笑顔で

彼が差し出した手を握りました。

 

美しい夢を見ていたような夜。

いつも息を詰まらせていた

華やかな世界も、

震える手をしっかり握ってくれる

ビョルンがいれば、

大丈夫だと思いました。

彼を愛しているので、

傷つくことになったとしても

彼を信じたいと思いました。

ビョルンは、

人々の視線と緊張感、

時には気後れして

惨めになるエルナの気持ちを

忘れさせてくれました。

 

その日の

眩しいほど輝いていた夜のことを

度々、エルナは思い出しました。

甲板に立って海の上の日の出を

見る時も、

見慣れたようで見慣れない

シュベリンの街でも、

依然として大きすぎて

見慣れない大公邸でも、エルナは

その夜のことを思い出しました。

すると、まるで魔法のように

すべてが良くなりました。

 

エルナが知っている愛は

自分の夫のように悪いものだけれど

自分の夫のように

魅惑的でもありました。

そして、春の初めに、

それは良いことなのだと、

エルナなりの結論を下しました。

そして、花が咲く季節が来るまで、

その信頼は

依然として続いていました。

美しい夢が残した余韻の中で、

エルナに起きるよう告げる

馴染みのある声が聞こえてました。

ゆっくりと目を開けると

半透明のカーテンを通り抜け、

一層柔らかくなった

春の日差しの中で、

彼が微笑んでいるのが見えました。

 

ビョルンは、

エルナが噴水台の初稼動を見ると、

言っていなかったか。

その時間まで、

あと数分しかないと教えると

彼女の鼻をふざけて叩きました。

 

エルナは

・・・噴水台?と

ぼんやり聞き返しましたが、

突然、目の焦点が合うと、

エルナは飛び起きて

ベッドから降りました。

そして、

寝室のバルコニーの前まで

走って行った後になって、

自分が一糸纏っていないという

事実に気づき、急いで戻ると、

よろよろとガウンを羽織りました。

ビョルンは笑い出しました。

彼に格好悪い姿を

見せてしまいましたが、

今はそれを気にする暇が

ありませんでした。

 

エルナは腰紐を結びながら

バルコニーに走り出ました。

春が来たので、冬の間止まっていた

シュベリン宮殿の大噴水が

再び稼動するだろうと、

数日前フィツ夫人が

教えてくれました。

それを見たかったエルナは

稼動日と時間まで

覚えておいたのに、

思い切り寝坊してしまいました。

かなり恥ずかしいけれど、

今はそれよりも

期待感の方が大きくなりました。

 

エルナはビョルンに

一緒に見ようと誘おうとして、

後ろを振り向きましたが、

彼女はぎょっとして

言葉を濁しました。

ベッドから降りた彼の裸体を

春の日差しが

照らしていたからでした。

もう見慣れているけれど、

明るい日差しの下では

どうしても恥ずかしくなりました。

 

エルナが急いで首を回して

噴水台を見ている間に

ガウンを羽織ったビョルンが

バルコニーに出て来ました。

エルナは彼の手をそっと握ったまま、

大噴水を眺めました。

庭を横切って伸びた水路の先には

春のアービット川が輝いていました。

そのきらびやかな光に

一瞬、目を細めている間に、

斜面に沿って連なる

数十個の噴水台から

一斉に水が噴き上がり始めました。

子供のように喜ぶエルナのそばで、

ビョルンも大噴水の水の流れを

眺めました。

いつのまにか春。

妻と一緒に過ごす3回目の季節でした。

f:id:myuieri:20210206060839j:plain

f:id:myuieri:20210206071517p:plain

一緒にデパートに来たのに、

エルナの買い物に付き合わないで

退屈になるまで

エルナを放って置いたビェルン。

それなのに、

彼女がパーベルのために

画材道具を買ったのではないかと

思うと、

気分が落ち着かなくなるなんて

本当に身勝手な男だと思います。

そんな男に純真無垢なエルナは

もったいない!

今は、エルナに対して

高圧的なビェルンですが、

いつか立場が逆転して

ビェルンが

彼女を追いかけ回す日が来ることを

切に願っています。

f:id:myuieri:20210206060839j:plain