81話 クイーンは矢で撃たれてしまいましたが・・・
◇クイーンとの再会◇
ナビエは倒れている
クイーンを見るや否や悲鳴を上げ
クイーンを部屋の中へ入れました。
クイーンに矢を放った人たちが
外にいるかと思うと
ナビエは怒りがこみ上げてきました。
ナビエはクイーンを
ベッドへ連れて行くと
クイーンが生きているかどうか
確認をするため
クイーンの胸に手を当てると
クイーンは息をしていました。
念のため胸に耳を当てると、
心臓も激しく鼓動していました。
すると、クイーンが大きな翼で
ナビエの頭を包んでくれました。
ナビエは涙が止まりませんでした。
ナビエは救急箱を持ってきました。
クイーンは
力なく瞬きしているにもかかわらず
ナビエと目が合う度に
笑うように目を細めました。
その姿に
ナビエは胸が痛みました。
ナビエがクイーンの手当てを
しようとすると
クイーンが足を伸ばして
身体を揺らしました。
クイーンの足には、
手紙が結んでありました。
ナビエは、
ハインリの手紙を読むよりも
クイーンの健康を
優先することにして
いったん、
手紙をテーブルの上に置きました。
ナビエはゆっくりと
矢の刺さった部分を探すと
矢は羽根の間に埋まっていましたが
矢尻はかすった程度で、
刺さっていませんでした。
それでも、擦り傷があったので
ナビエは手当てをしました。
◇ハインリからの手紙◇
ハインリの手紙には
自分は、
そう遠くないところにいる、
ナビエに直接会いたいので
翌日、エルギ公爵の所へ来るように
と書かれてありました。
ナビエは驚きました。
皇宮の他の場所より
エルギ公爵の部屋の方が
入りやすいのか。
どうやって、南宮へ入ったのか。
変装でもしたのか。
アルティナ卿が戻ってきたのは
数時間前なのに、
アルティナ卿から
パルアン侯爵へ渡った手紙を
受け取ったハインリが
こんなに早く来られたのが
不思議でした。
ソビエシュは、ナビエの部屋へ
金色の鳥が入ったことを
射手から報告を受けると
ため息をつきました。
ナビエも大神官と会ったので
ソビエシュが離婚を申請した話を
聞いているはずでした。
そんな中、
ナビエが浮気者の王と
文通していることを
ソビエシュは
非常に不愉快に感じました。
鳥の1羽や2羽、
死んでも構わないくらい
連絡を取りたいのか。
ソビエシュは
拳を握ったり広げたりを
繰り返しました。
しかし、
青い鳥が死んだと思って
気絶した時のナビエの姿が
目の前に浮かびました。
そして離婚の話を聞いて、
衝撃を受けている
ナビエの顔を見る勇気も
喧嘩をする元気も
ありませんでした。
ソビエシュは射手に
放っておくように、
今後、
皇后の部屋に入ってくる鳥を
撃たなくても良いと
命令しました。
そして、ソビエシュは侍従に
強い酒を持ってくるように命じると
グラスに注いで飲み干しました。
◇緊急国政会議◇
翌朝、それまでは、隣に寝かせても
夜の間に
いなくなってしまったクイーンが
隣で寝ていました。
クイーンの紫色の瞳を見ていると
ナビエは、
ハインリを思い出しました。
ナビエのところへ
ソビエシュの侍従がやって来て、
皇帝が、
緊急国政会議を招集したこと
その会議に、
皇后も出席してほしいと
申し訳なさそうに告げました。
ナビエは冷静に返事をしましたが
内心、心穏やかでは
ありませんでした。
離婚の心構えはしていましたが
気分が悪く
食べ物の匂いを嗅ぐのも嫌でした。
侍女たちは怒ったり、泣いたりして
会議に出席しないようにと
ナビエに言いました。
しかしナビエは
会議に出席しなくても、
離婚は進行すると答えました。
ソビエシュがナビエと離婚すると
ラスタに約束した翌日、
ソビエシュは、
すまなさそうな態度で
ナビエに優しく接していたので
離婚を発表した後
どのように自分に接するのか
面倒くさそうに接するのか
昔からの友情を思い出し、
すまないと思うのか
罪悪感にかられるのか
ナビエは確認したいと
思いました。
ナビエはソビエシュが自分を見て
強い罪悪感を得ることを
望んでいました。
別れる時に
幸せを祈ってくれる
恋人もいるけれど
一方的に離婚されるのに
ソビエシュの心を
落ち着かせる必要はないと
ナビエは思いました。
ナビエはソビエシュの罪悪感を
最大限刺激するために
素朴で模様が少ない上に
ほとんど装飾もない
白いドレスに着替え
髪をゆるく束ねました。
臨時の国政会議が開かれる
謁見の間へ行くと
貴族と官吏の視線が、
一斉にナビエに注がれました。
ナビエは、平然と
ソビエシュの横に座りました。
一方、ソビエシュは、
そわそわしていました。
ソビエシュは、
ナビエに謝りました。
しかし、ナビエは
許すつもりはないので
謝らなくても良いと伝えます。
そして、
大神官が謁見の間に入ってきて
不満そうな顔で、
ソビエシュとナビエの近くに
立ちました。
そしてソビエシュが立ち上がり
皇后と離婚をすると宣言すると
貴族たちからは、
反対の声が上がりましたが
ソビエシュは、
すでに決定していることだと
言いました。
ナビエは、
できる限り無表情で
じっと正面を見ました。
あらかじめ心の準備はしていても
万人の前で
離婚を告げられることが
どれだけ恥ずかしいことか
その感情を
最大限に見せないようにすることが
ナビエの自尊心を守る
唯一の方法でした。
会議が終わると
人々はナビエに
同情的な視線を送りましたが
彼女はいつもと同じスピードで
謁見をしました。
ところが謁見の間を出ると、
よりによってラスタが
柱の後ろから半分身体を出して
待ち構えていました。
ラスタと目が合うと
彼女はナビエに近づき
泣きべそをかきながら
みんなの前で離婚を宣言するなんて、
陛下はひどい,
皇后陛下はラスタのことを
嫌っていたけれど
ラスタは陛下を嫌いではなかった。
陛下がいなくなっても、
ラスタは陛下のことを
覚えていると言いました。
まるでナビエが刑場にでも
送られるような言い方だったので
覚えていなくてもいいでと
ナビエは言いました。
エルギ公爵の所で
ハインリと会う
約束をしていたナビエは、
わざと庭園を散歩して
護衛たちに1人になりたいと伝え
その後、もう少し庭を歩いた後で
エルギ公爵の部屋へ向かいました。
扉を叩くと、ハインリが
ナビエを迎えてくれました。
てっきりエルギ公爵が
出てくると思っていたので
ナビエは戸惑いました。
しかしハインリは
にっこり笑いながら
ずっと待っていた。
いつも待っていたけれど
今日はもう少し近くで待った
と言いました。
そして、ナビエが部屋へ入り
ハインリは扉を閉めると
そっと両腕を広げました。
抱擁の意味かと思い
ナビエはもじもじしながら
ハインリの胸に頬を当てました。
するとハインリが
力を込めて
抱きしめてもいいかと
ナビエに尋ねました。
ナビエが大丈夫と答えると
ハインリは、ナビエを
力いっぱい抱きしめました。
そして、ナビエの手の甲に
キスをすると
クイーンが一人で立っている時間が
短かければと思う。
クイーンが離婚したら
すぐに再婚の承認を受けたいでと
言いました。
ハインリとナビエの抱擁のシーン。
マンガの78話を見て
ロマンティックな気分に
浸れました。
ナビエの恥ずかしそうな様子が
本当に可愛いと思います。
ずっと待っていた。
いつも待っていたけれど
今日はもう少し近くで待った。
この言葉にナビエと結婚できる
ハインリの大きな喜びが
込められていると思いました。