91話 どうしてこんなに早く再婚したのか、その理由を聞かれたナビエでしたが・・・
◇記者の選び方◇
エルギ公爵は、
真剣に話をしているのに
ラスタは聞き流しているので
彼は彼女を注意しました。
しかしラスタは、
記者云々の話が面白くないので
聞きたくありませんでした。
廃妃の話をした後
新しくできた養父母の話を
したいのに
エルギ公爵は
退屈な話ばかりしていると
思いました。
エルギ公爵の記者についての話
記者には
貴族に親和的な記者と
貴族に敵対的な記者の2種類がいる。
皇帝と貴族の仲が良ければ
貴族に親和的な記者に近寄る。
皇帝と貴族の仲が悪ければ
皇帝は貴族に敵対的な記者に
近寄る必要がある。
平民は貴族に敵対的。
その違いを肝に銘じて
どの記者に近寄るか決めるように
エルギ公爵は言うと
ラスタは、
自分は平民の支持を
受けなくてはいけないので
平民に優しい記者と親しくすると
告げました。
しかし、エルギ公爵は、
貴族寄りの記者に
憎まれてもいけないと
助言しました。
ラスタが、
記者を見分ける方法を尋ねると
最近3年間の記事を読めばいいと
エルギ公爵が言ったので、
ラスタはエルギ公爵の話を遮り
赤ちゃんは、
そんな話を聞きたがらない。
もっと面白い話をしてほしいと
言いました。
◇記者に話すこと◇
ナビエは、
記者に何を話そうか考えていました。
人々が新聞に期待するのは、
真実か、望む答え。
記者の質問に必要なのは
真実ではなく望む答えだと
ナビエは思いました。
国民の大半は、
王の女性関係のスキャンダルが
笑い話になるのを嫌がる。
王室のスキャンダルは
面白いけれど
少なくとも、王と王太子夫婦だけは
それに巻き込まれて欲しくないと
願っている。
ハインリの兄は、
何人も側室がいたので
そのような話に
嫌気がさしているはず。
それならば、政略的な話より
ロマンスを混ぜながら
話す方がよいだろう。
とナビエは考えました。
本当は、
ハインリと
話を合わせておけばよいのだけれど
記者への返答を先延ばしにすると
真実味がなくなると思い
ナビエは、離婚後、
すぐに再婚した理由として
離婚を前にして、
すべてのことを片付けている時に。
王が力になってくれたと答えました。
記者は、
ナビエが事前に
離婚のことを知っていたのかと
尋ねたので
ナビエは、聞いてしまったと
答えました。
想像の余地を残すような返答に、
記者はあんぐりを口を開け
ローズは驚いた後、
不憫そうに
ナビエを見つめました。
◇ナビエへの感想◇
ローズが王妃の食事の用意をしに
本宮へ行ったところ
彼女はユニムと会い、
早速、王妃の感想を聞かれました。
ローズは、
ナビエが良い方にも悪い方にも
人間味がない。
自分を懐柔しようとしないけれど、
自分からの助けは、
すべて受け入れたと答えました。
そして、王妃が
宮殿を案内してくれと言って
一日中歩き回っていたので
自分の足は
パンパンに腫れあがった。
王妃でなく
スパイではないかと思うくらい
すべての部屋に入って、
内部を確認した。
自然と多くの宮廷人に会ったけれど
不思議なのは、
彼らの中の何人かが
王妃の顔を見て、
死人のような顔色をしたこと。
宮殿を見物したのではなく
人に自分の顔を
見せたかったような気がすると
話しました。
そして、1日付き合っただけでは
クリスタとの違いと
王妃の人柄はわからないけれど
能力はある。
嫌いではないので、
あまり歩き回らなければ、
侍女を続けても良いと言いました。
そのような返事を
望んでいなかったのか
ユニムの眉間にしわが寄りました。
◇ハインリのロマン◇
食事を取りに行ったローズが、
なかなか戻ってこないので
ナビエは、
彼女が途中で弟と会い
自分の噂話でもしているのかと
思いました。
もしかしたら
たくさん歩き回ったので足が痛いと
文句を言っているかもと
考えたナビエは、
笑いを堪えていると、
何かを叩く音がしたので、
ローズが戻ってきたのかと
思っていると、
窓の外に、ハインリが
お弁当箱を持って立っていて
一緒に食事をしないかと
ナビエを誘いました。
その姿を見て、
ソビエシュが
クッキーをたくさん
持ってきたことを思い出し
心が痛みましたが、
その思いを打ち消しました。
ハインリは
また窓から入って来たので
ナビエは眉を吊り上げました。
その習慣を直した方がいいと
思ったナビエは
もっと気楽な仲になったら
注意しようと決めました。
ハインリは、その日の出来事を
ナビエに尋ねたので、
彼女は記者に会ったことを話し
彼との話の内容を
ハインリに伝えました。
そして、
ハインリに感謝の気持ちを伝えると
彼は、
ナビエを王妃として
迎えたいと思ったのは自分だと言って
ナビエの手を握りました。
ハインリはローズのことや
他に侍女は必要かどうか
聞いてきました。
王太子妃時代を経ていれば
誰をそばに置いて、
誰を遠ざければよいか分かるし
自分が西王国出身なら
評判が良かったり、
親しい人を侍女にする。
けれども、
今は、そのどちらでもないので
侍女を選ぶのは容易でないと思い、
もう少し考えてみると、
ハインリに伝えました。
ナビエは、ハインリの手の中から
自分の手を抜くと
ハインリは、ナビエの手を見ながら
名残り惜しそうな顔をしました。
ナビエは、
そんなハインリを見ながら、
彼と一緒にいると、
ぎこちないけれど
楽でくすぐったい。
彼は羽毛がたくさん詰まった
枕のようで、
じぶんを楽にしてくれて
笑わせてくれる。
そんな彼との初夜は・・・
と考えました。
初夜を済ませた後に、
彼の顔を見ることに
ナビエは悩んでいました。
初夜のことを考えると
ナビエは妙に照れ臭くなりました。
その気持ちが本当におかしくて
ナビエは、わざと下を見て
お弁当を褒めました。
すると、ハインリは
意外にもそのお弁当は
自分が作ったと言いました。
そして、結婚したら
やってみたいことがあると
ナビエに言いました。
何を考えて、ハインリが
そのような質問をしているのか
ナビエは戸惑いましたが
キスではないかと思い
彼女は訳もなく緊張しました。
ソビエシュと
どうやってキスをしたか
思い出そうとしましたが
幼い頃から
自然に段階が進んだので
分かりませんでした。
ハインリの唇は
とてもきれいで魅力的でした。
夫婦だから、キスなしで
暮らすわけにはいかないので
ナビエはキスをすることに
決めました。
ハインリの唇がきれいだから
キスをするわけではないと
自分に言い聞かせました。
ナビエが
「いいですよ」と答えると、
ハインリは
白身魚をフォークで刺して
ナビエの口元へ持っていき
口を開けさせました。
ナビエはきょとんとして
口を開けると
口の中に香ばしい食べ物が
入ってきました。
ナビエは、これは何なのかと
ハインリに尋ねると
彼は、自分のロマンだと
笑いながら囁きました。
しかし、ナビエは、それに対して
つい不愛想な態度を
取ってしまいました。
その理由を聞かれても
キスをされると思っていたのに
違っていたからとは言えなくて
ハインリの口の中に
たくさん詰め込みました。
扉の向こうから
王のうめき声が混ざった哀願を
聞いたローズは
驚いて後ろに下がりました。
やがて彼女の顔は
真っ赤になりました。
東大帝国の皇后は
色々な面で
刀のような気性のようだと思い、
ローズは皿を持ったまま
離宮の廊下から離れました。
◇青い鳥の真実◇
ミニトマトを食べ終わった
ハインリの口元には
赤い汁がたくさん付いていました。
ハインリは、
じぶんのロマンは
こんなに激しいものでは
なかったけれど、
クイーンがやってくれて良かったと
言いました。
ナビエは、
自分がとんでもない勘違いをして
ハインリに八つ当たりをしたようで
申し訳ない気持ちになりました。
ナビエは、
ハンカチでハインリの
口元を拭きながら
彼の紫の瞳を見て、
クイーンを思い出しました。
そして、
ハインリに聞こうと思っていたことを
思い出しました。
ナビエはハインリに、
マッケナは、
彼が飼っている青い鳥なのかと
尋ねました。
記者についてのエルギ公爵の
ラスタへの助言。
それだけ聞くと
もっともらしく思えますが
ナビエの記者に対する行動と
比べると
どの記者に対しても
近付き過ぎず、公平に接し
その時々の記者の質問に対して
臨機応変に答えるのが
正しいのかなと思いました。
1人の記者に近寄りすぎることで
他の記者から反発を買う。
それに加えて、
近寄りすぎた記者にも
反発されたら
味方になってくれる記者は
誰もいなくなります。
エルギ公爵は
ラスタを窮地に陥れるために
間違っていることを
もっともらしく
言っているのだと思いました。
氷のような皇后と言われていた
ナビエ様が
ハインリの口に
ミニトマトを詰め込むなんて
驚きました。
ハインリのせいで、
ナビエ様は調子が狂っているけれど
ハインリが、
本来持っているナビエ様の可愛さを
どんどん引き出しているのですね。