外伝42話 ラリはドルシにマッケナの日記をもらいました。
◇マッケナの日記◇
馬車の中で退屈しているカイは
ラリに遊ぼうと声を掛けましたが
彼女は、
マッケナ叔父の日記を
読んでいると言って
断りました。
ラリは、その中に
秘密が隠されていると思いました。
×月×日
口に甘い物は健康に有害で
口に苦い物は健康にいいというけれど
彼女は口に苦くて健康にも悪く見える。
あの女性を見ると
頭が痛くなる。
明日は、本当に女性のことを
考えるのはやめよう。
×月×日
ムカつく龍のドルシがやって来た。
青い鳥の尻尾を追いかけるのは
やめろと言ったら
名前を知らない女の尻を
追いかけていると言って
鼻で笑われた。
どうして知っているのか。
×月×日
カイが虫人形の足を
食べようとしているので
びっくりした。
すでに1本は消えていた。
ナビエ様は虫人形の押収令を出した。
×月×日
虫人形を人間の形にしようと
思うけれど
足が多くて大変。
どうして、私は虫人形を
作ってしまったのか。
足を全部取って
芋虫人形と呼ぼうか。
×月×日
虫人形を龍に変えていたら
通りすがりに近づいたムカつく龍が
どうして青い鳥を作っているのかと
歯ぎしりをした。
青い鳥ではなく龍だといったら
人形を投げつけた。
これはあなただと言ったら
人形を拾ってきたので
今度は私が人形を投げた。
次に私の分身を投げたら
龍の怒りを見せてやると
がみがみ言われた。
×月×日
書店に行き
龍に関する本を買っていたら
太陽に似ている女性に
また会った。
本を読む理由を尋ねてきたので
知識を積むのが好きだからと
答えた。
次に龍に関心があるのかと
尋ねてきたので
関心があると答えた。
彼女の関心を引くために
龍の知り合いがいると話したら
その龍は誰なのか聞いてきた。
幼稚で、
とてもムカつく悪い龍だと答えたら
ちゃんとおむつを
持ち歩くようにと言って
帰ってしまった。
龍のことを
悪く言われたのが嫌だったのか。
×月×日
カフェで休憩していると
彼女が現れた。
お前が知っている龍は
どうしてムカつくのかと
聞かれたので
その龍が私を無視するからだと
答えた。
彼女は、
龍を無視すればいいのに
どうして陰口を言っているのかと
尋ねた。
無視するから悪口を言っていると
答えれば
女性が嫌がると思い
私は実はその龍が大好きだと言った。
彼女は満足げに笑った。
そろそろ名前を聞いてもいいだろうか。
×月×日
虫人形の足を取ってから
芋虫人形と言って
カイに渡したら
ナビエ様がものすごい目で
私を見ている。
目から氷があふれ出そうだったので
また芋虫人形を回収した。
×月×日
泣きながら芋虫人形を
直していると
ムカつく龍が私の前に座った。
わざと知らんぷりをしていたら
虫人形を指差して
私に似ていると言う。
そして龍は、自分を指差して
私のことをどう思うと尋ねたので
赤い虫のように見えると言ったら
人形を投げつけて行ってしまった。
×月×日
たった5分、
過去に戻る機会が与えられたら
ハインリ陛下の子供の頃に戻り
げんこつで頭を殴りたい。
×月×日
たった10分、
過去に戻る機会が与えられたら
ハインリ陛下が幼い頃に戻り
頭を軽く3回殴りたい。
4回は無理だろう。
護衛が私を殺すから。
×月×日
彼女と会ったカフェと
おもちゃ屋へ行ったけど
彼女に会えない。
×月×日
彼女のことを思い出す。
私はおかしくなったのか。
×月×日
カフェの社長に
よく来ていますねと
嬉しそうに言われる。
いつも飲んでいる物を
出してもらうと
彼女がやって来た。
彼女はすれ違いざまに
ふんと言った。
どうして怒っているのか。
×月×日
天気が良いのに、
することが多かった
執務室に閉じこもっていたけれど
我慢できなくなり
鳥に変わって皇宮のあちこちを
飛び回った。
すると急に空が暗くなったので
上を見ると
大きな目で私を見下ろしながら
龍が飛んでいた。
龍は目が合うと笑った。
私は慌てて逃げて行って
皇居の外へ出て行った。
龍が現れたのを見て
人々は奇跡だの
国がうまく行く兆しと言って
万歳をしているけれど
私は泣きながら
羽が折れるくらい飛んで
龍が入ってこられない
とても狭い塀の間に入り
人間に変わって路地を走った。
外へ出ると
龍が人間に変わり
鳥かごを持って立っていた。
ドルシは、言葉にできないほど
変な顔をして
私のことを変態と言った。
×月×日
昨日のことを思い出しながら
歩いていると
カフメン大公が
ひどく悲しい顔をして
私の肩を叩いて
頑張れと言った。
×月×日
ラリに上げる
龍の人形を作っていたら
ドルシが近づいてきて
自分の前で裸で歩いていても
知らんぷりをするから
その代わりに、青い鳥の居場所を
教えて欲しいと言われた。
×月×日
龍の人形の材料を買いに
おもちゃ屋へ行ったら
彼女に会った。
数日前、私が裸で走っているのを
見たと言われた。
死にたい・・・
×月×日
彼女とカフェで会った時
勇気を出して名前を聞いた。
その理由を聞かれたので
一目ぼれと答えたら
彼女は大笑いをして
弱くて間抜けな人間には
関心がないと言われた。
悲しくて憂鬱になった。
×月×日
元気が出なくて熱まで出た。
ダルタの治療を断り
生まれて初めてふられた感情を
払いのけるために
木の下でうずくまって泣いた。
どのくらいそうしていたのか
気が付くと
ドルシが目の前に立っていた。
泣いている理由を聞かれたので
振られたからだと答えると
どうして、
そんなことで泣くのかと
言われた。
私を振った人は、初恋の人で
今まで会った中で一番素敵な人で
私の心臓をときめかせた
太陽神のような存在なのに
どうして、そんなことと言うのかと
尋ねると、
ドルシは、私のことを
奇怪なことをしゃべりまくる
恥知らずの人間だと言って
赤面して怒った。
なぜ、龍は恥かしがっているのか。
×月×日
おもちゃ屋へ行ったら
扉のすぐ前に彼女が立っていた。
彼女は持っていた新しい人形を
私に寄こすと
私の強さと愛を証明できれば
恋愛を考えると言った。
その証明方法は
龍の谷で試験を受けて合格すること。
私はすぐにお弁当を持って
龍の谷へ飛んで行った。
門の前に私より背の高い人が
3人立っていた。
試験を受けに来たと伝えたら
生き残れることを願うと言いながら
中へ入れてくれた。
何か言おうとして振り向くと
扉が見えなくなっていて
空は煙だけが満ちていた。
今、私はどこか知らない小屋で
日記を書いている。
これは、どういう状況だろうか?
◇娘の悪口◇
向かいに座って
書き物をしていたマッケナが
急にしかめっ面をしたので
ナビエは、どうしたのか尋ねると
彼は、龍の谷へ行ったことを
思い出したと答えました。
あの当時、
マッケナが行方不明になったと言って
大騒ぎになり、
ハインリの一族全員で
マッケナを探しましたが
今となっては笑い話だし
マッケナも水龍と
仲良くなることができました。
マッケナはナビエに
ラリとドラコが結婚することを
望んでいるか尋ねました。
答えにくい質問なので
ナビエは笑っているだけでした。
マッケナは、赤ちゃんの時から
抱っこして、
おんぶして育てたラリが
好きだけれど、
今の性格のラリと龍が結婚したら
危険だし
今のラリの状態では
谷から脱落するだけだと
言いました。
ナビエは、ラリの性格について
心配しているところがあるけれど
マッケナが
ニヤニヤ笑っているのを見ると
気分が悪くなりました。
マッケナの仕事を
手伝っていたナビエは
頭が痛いから、
もうできないと言って
行ってしまいました。
◇皇女だったのに◇
馬車の中で
日記を読み続けていたラリは
乗り物酔いをして
倒れてしまいました。
結局、東大帝国に到着するまで
ラリは日記の続きを
読むことができませんでした。
ラリよりも先に
東大帝国に到着したモテは
旅館の椅子に座り
ケルドレックが依頼を受けて
持ってきた宝石を眺めていました。
西大帝国の皇子と皇女は
東大帝国の皇帝の
遠い親戚なのに、
こんな贈り物をもらえるなんて
本当にいいですね。
人は一生働いても、
このかけらも買えないのに
幼い年で、
誕生日の贈り物としてもらうのは
どういう感じでしょうか。
とモテは羨ましそうに言いました。
かつてモテが皇女だったことを
知っているケルドレックは
その話を聞いて
妙な気分になりました。
事がうまく運んでいたら
東大帝国の皇帝から
このような贈り物をもらうのは
モテだったことが
分かるだろうかと思いました。
過去に戻って
子供のハインリの頭を
殴りたくなるくらい
マッケナが腹を立てたことって
何なのか気になります。
ハインリの側近として
いつも彼の言動に
振り回されているマッケナは
時には、
仕返しをしたくなることが
あるのかもしれません
けれども、
皇帝のハインリに手を出せない。
口を出しても、負けてしまう。
だから
過去に戻って子供のハインリを
叩きたいと
思ったのかもしれません。
そんなハインリと
性格が似ているラリと息子を
結婚させたくない気持ちも
わかりますが
ラリの結婚相手として
普通の男性が務まるかどうか
疑問です。
ハインリの奥さんも
ナビエ様以外の女性は
務まらなかったかもしれません。
ナビエ様は
出産直後にもかかわらず
生まれたばかりの子供を置いて
夫を助けに行く強者なので。