90話 麗奈は璃香と雅紀に会うことになりましたが・・・
雅紀は、
あまり緊張する必要はない。
一緒に食事を
したかっただけだと言いました。
麗奈は返事をしながら、
本当に一緒に食事がしたくて
呼んだのではなく、
他の意図があるに違いないと
疑いました。
雅紀はステーキを切りながら
結婚生活について麗奈に尋ね、
智彦は、あまり話してくれないと
言いました。
麗奈はニヤリと笑い、
璃香を見つめながら、
うまくいっている。
智彦が本当によくしてくれる。
なぜ、もっと早く
結婚しなかったのか思うくらいだと
答えました。
雅紀は、にこやかに笑いながら、
それは意外であること、
最近、両親が、
麗奈の話をたくさんすること、
そして、おそらく両親は、
麗奈のことを
気に入っていることを話しました。
璃香は、
それが気に入りませんでした。
麗奈は、
至らない所ばかりだけれど、
よく面倒を見てくれることに
感謝していると言いました。
璃香は、
悔しそうな顔をしていました。
続けて麗奈は雅紀に、
璃香と結婚するつもりなのかと
尋ねました。
雅紀は、
両親が許してくれるならと
答えました。
麗奈は、
もし、許さなかったら
どうするのかと尋ねました。
雅紀は、
許してくれるまで説得する。
子供に勝てる親はいないからと
答えた後、
麗奈は、両親が
自分たちの結婚を許さないことを
望んでいるようだと指摘しました。
麗奈は笑顔で
そんなはずはない。
妹のことなので、
気になって聞いただけだと
返事をしました。
麗奈が自分のことを
心配していると聞いた璃香は
大笑いしましたが、麗奈は、
璃香も自分の結婚について
たくさん心配をしてくれたので
当然だと言いました。
その言葉に、
璃香は腹を立てました。
2人の会話を聞いていた雅紀は、
姉妹同士で、互いに相手を
思いやるのはいいことだと
笑いながら告げ、
乾杯をしようと言いました。
麗奈は笑顔で、
璃香は不機嫌そうな顔で
皆の健康と幸せを願って、
3人は乾杯しました。
ワインを口にする麗奈を見て
雅紀はニヤリとしました。
その直後、
麗奈はめまいがしました。
雅紀は、冷たい目で微笑みながら
大丈夫かと尋ねました。
智彦は、宝石店で
麗奈へのプレゼントを選んでいました。
店員は、智彦に
特に探しているデザインはあるかと
尋ねました。
智彦は、特にそういうものはなく
何でも似合うと思うので、
毎日、着けていても
不便でない物を勧めて欲しいと
頼んでいるところへ、
雅紀から電話がかかってきました。
不機嫌な顔で、
智彦は電話に出ると、雅紀は、
麗奈に問題が起こったと告げました。
それはどういうことかと
訝しがる智彦に、雅紀は、
麗奈と一緒に食事をしている時に
彼女が突然倒れたと返事をしました。
驚いた智彦は、
雅紀がどこにいるのか。
麗奈はどこにいるのかと怒鳴りました。
雅紀は智彦に
驚いたのかと尋ねました。
再び、智彦は、
どこにいるのかと怒鳴りました。
璃香は、病院のベッドに
横になっている麗奈を
心配そうに見ていました。
そこへ智彦が慌てて駆けつけ、
麗奈の手を握り、
彼女に呼びかけました。
璃香はガタガタ震えながら、
胃洗浄は済んでいる。
何か誤って食べたようだ。
いくつかの検査を受けて、
結果は、まだ出ていないと
説明しました。
智彦は、麗奈が
何か誤って食べたことについて
璃香を問い詰めると、
彼女は、
麗奈はステーキを食べて
ワインを飲んだだけだ。
医者は、
深刻なほどではないので、
あと数時間で目を覚ますと
言っていると答えました。
智彦は怖い顔で、璃香に、
智彦がどのような人間か
今日見て分かったと思う。
何をしようとしているのか
分からないけれど、
この辺でやめておけと忠告しました。
璃香は、ガタガタ震えながら
今日のことは、
自分とは関係ないと弁解しました。
智彦は、
それは調べてみれば分かると告げると
璃香に帰るよう言いました。
璃香は流れる涙を拭いながら、
今に見ているように。
この屈辱は必ず晴らすと誓いました。
璃香と入れ替わりに
笑顔の雅紀が病室に入って来て、
思ったより早く来たと言いました。
智彦は、雅紀を
駐車場へ連れ出すと、
いきなり彼を殴り、
何をしたか分かっているのか、
そんなことをするのは人間ではないと
彼を責めました。
地面に倒れ込んだ雅紀は、
ニヤニヤ笑いながら、
智彦が何を考えているか
分からないけれど、
自分がしたことではない。
心配しないように。
智彦のためにも、
自分が必ず犯人を捕まえると
告げました。
智彦は、雅紀の胸倉を掴み、
もう一度、彼を殴りました。
雅紀は、再び地面に倒れ込みました。
智彦は雅紀に、
今すぐ立ち上がるよう命じ、
その足は、もう何ともないはずだと
指摘しました。
雅紀は、ニヤニヤしながら
すっくと立ちあがり、
足を引きずることなく歩くと、
智彦に、
知っていたのかと確認しました。
智彦のおかげで、
麗奈が、人の作った食べ物を
食べられるようになったことを
知った雅紀は、
智彦のやったことを無駄にし、
彼を苦しめようと思い、
麗奈に毒を飲ませたのではないかと
思います。
璃香は、麗奈が倒れて
恐怖を感じているということは
少しは雅紀の恐ろしさを
感じたのではないかと思います。
その璃香に、人を人とも思わない
サイコパスの雅紀に近づかないよう、
智彦が璃香に忠告したのは、
意地悪な気持ちからではなく、
雅紀のことを、
誰よりもよく知っているからこそ
親切心で告げたのだと思います。
それを、屈辱だと思い、
助言に従わずに
雅紀と結婚したとしたら、
後で璃香がどうなっても、
彼女自身がその結果を
引き受けるしかないと思います。