自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

問題な王子様 84話 新エピソード その1ネタバレ 原作 あらすじ 理解と配慮が何であるかを知っている人

 

このお話は、84話でルイーゼがエルナに妊娠の兆候はないのかと尋ねながら、グレディスについて言及したのを王妃が叱責し、ルイーゼと王妃がエルナに謝ったシーンの続きです。

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庭の向こうに目を向けた

レオニードは、

大公妃に良い友達ができたようだと

突拍子もない言葉を口にしました。

椅子にもたれて書類を読んでいた

ビョルンの目も

同じ場所に向かいました。

 

一抱えの木の下に置かれたベンチに

並んで座っている二人の淑女が、

親しそうに話を交わしていました。

エルナとグレタでした。

 

ビョルンはクスッと笑うと

書類を閉じました。

カップを置いたレオニードの口元にも

微かな笑みが浮かんで来ました。

 

ビョルンが鐘を鳴らすと、

遠くで待機していた侍従が

日除けの下に近づいて来ました。

クリスタルグラスに当たる氷の音が

澄んだ風に乗って広がりました。

雲一つない青空と緑豊かな庭園が

一つに溶け合った風景が美しい

春の日の午後でした。

 

ウイスキーソーダ

テーブルに置いた侍従は

静かに去って行きました。

ビョルンはグラスを握ったまま

椅子の奥深くに

背中をもたせかけました。

依然として視線は、

エルナのいる風景に向かっていました。

 

エルナとグレタは、

膝の上に置かれた紙を交換しながら

お喋りをしているところでした。

おそらく、エルナが、

昨夜自慢していた、

あの絵葉書のようでした。

 

大公妃と末っ子の王女を

結び付けた糸は葉書でした。

最近、グレタは、葉書の収集に

熱を上げていましたが、

エルナも葉書収集マニアでした。

エルナが、新婚旅行で買い集めた

山のような葉書を見せると、

グレタは一気に

大公妃の虜になりました。

中にはグレタが好きな

フェリア出身の挿絵画家の

特別な絵葉書もあるそうで、

おそらく、それを

見せてあげているようでした。

彼としては、

理解に苦しむ趣向の世界でした。

 

妻と妹を見守っていたビョルンは

友達がもう一人できたと言って

クスクス笑いを漏らしました。

お茶を飲みながら

本を読んでいたレオニードは、

再び一抱えの木の下に

目を向けました。

犬を連れて散歩に出かけた

クリスティアン

庭に戻って来ました。

浮かれた犬が

二人の淑女に向かって走って行くと、

クリスティアンも、思わず

その後を追いました。

 

正確には二人でしょうと言う

レオニードの顔にも、

双子の兄に似た笑いが広がりました。

 

そのくらいで本を閉じた

レオニードは、

緩く腕を組んだまま、

のんびりとした午後の風景を

眺めました。

大きな犬が一匹走って来ると、

驚いた大公妃が飛び上がりました。

その拍子に落ちた絵葉書が

風に飛ばされると、

グレタは悲鳴を上げながら

それらを拾いました。

その間、

犬を落ち着かせたクリスティアン

青い芝生を横切って来ました。

 

日除けの下に入って来た

クリスティアンを見たビョルンは

お前の犬は

相変わらず女の子が好きだと

意地悪な冗談を言いました。

侍従が持ってきた氷水を

一気に飲み干したクリスティアンは、

双子の兄たちの間に座って息を整えた後

あの子は犬ではなくモディだ。

そしてモディは美人が好き。

どんな女性でも

好きなわけではないと、

クリスティアンなりの論理で

犬を弁護しました。

 

鼻で笑ったビョルンは、

再び妻に目を向けました。

葉書を集めたエルナとグレタは、

今は、芝生のあちこちに、

手のひらほどのフープ(門)を

立てていました。

 

クリスティアンは、

侍従に犬の首輪を渡すと、

クロッケーをするそうだ。

自分たちも行こうと

二人の兄を催促し始めました。

 

面倒臭そうに手を振ったビョルンは、

「レオを連れて行け」と言って

再び書類を開きました。

クリスティアンは呆れた顔で

空笑いをすると、

大公妃が参加するのに、

大公が抜けたらどうするのかと

非難しました。

 

ビョルンは、

三人で行ったら、

どうせ人数も合わないと

言い返しました。

 

レオニードは、

それなら、むしろ兄さんが行くのが

正しいのではないかと勧めましたが

ビョルンは呑気に笑いながら

レオニードに、

眼鏡を外して行けと冗談を言いました。

 

失笑することで、

代わりに返事をしたレオニードは、

先に席を立って

庭の反対側に向かって行きました。

結局、説得を諦めたクリスティアン

すぐに彼の後を追いました。

 

「いらっしゃいませ、王太子殿下。

ご一緒していただき、

ありがとうございます。」

大公妃は、明るい笑顔で

彼を迎えました。

残念な様子は見当たりませんでした。

そもそも、

ビョルンが来るという期待を

していなかったようでした。

 

丁重に挨拶をしたレオニードは、

侍従が持って来た

クロッケーのマレットを持って

木陰に入りました。

彼らがチームを分けるための

議論をしている間に、

試合の準備が完了しました。

 

大人二人、子供二人なので、

このように分けようと言うと、

レオニードはグレタを選んで

最も公正なチームを結成しました。

 

大公妃とチームを組んだ

クリスティアンは、

不公平な気がすると異議を唱えました。

レオニードは、

その反論を黙殺することで

平等を実現しました。

 

ふてくされている

クリスティアンのそばに

近づいて来た大公妃は、

心配しないでと囁きました。

クリスティアンはビクッとして

エルナの方を向きました。

クリスティアンのそばに寄り添った

大公妃は、

こう見えても自分は、

かなりクロッケーの実力があると

到底信じられない言葉を

囁きました。

木の枝の間から差し込む春の光が、

きれいに笑う顔を照らしました。

 

自分たちが勝つと、

大公妃は自信に満ちた声で

勝利を豪語しました。

美しい詐欺師をじっと見つめていた

クリスティアンは、

軽いため息で、代わりに返事をすると

マレットを握りました。

大公妃が

クロッケーの天才であることは確実。

クリスティアンは、

これ以上、疑うことなく、

その事実を受け入れました。

今日は勝利の女神

そっぽを向かれたと思っていたら

なんと、大公妃が勝利の女神でした。

 

すべての運動が得意な王太子殿下も、

クロッケーだけは

大公妃の相手になりませんでした。

未熟なグレタは

言うまでもありませんでした。

結果は彼らの大勝利。

第二ゲームの形勢も

すでに傾いていました。

 

もう全部終わった。終わらせようと

クリスティアンは興奮した顔で

大公妃を励ましました。

 

フープをすべて通過したボールが

いつのまにかゴールの前まで

来ていました。

最後の杭に当てるだけで、

彼らの勝利でした。

はにかみながら

ニッコリ笑った大公妃は、

マレットを握り直して

ボールの前へ進みました。

そして簡単に最後の標的に当てて

二度目の勝利を得ました。

 

歓呼するクリスティアン

眺めていたグレタは

これは不公平だと、

不満を漏らしました。

 

二人の兄妹が言い争いをしている間に

おやつが用意されました。

エルナは様々な食べ物が

並べられているテーブルの前に

ゆっくりと近づきました。

お腹が空いていましたが、

気難しい王室の家族の前で

サンドイッチを食べる自信は

ありませんでした。

屑をこぼすかもしれないクッキーも

やはり、同じように

負担に感じられました。

 

悩んでいたエルナは、

レモンの欠片が入ったグラスを握って

ベンチに座りました。

ビョルンは、

まだ庭の反対側の端に設置されている

日除けの下に留まり、

分厚い紙の束を手にしていました。

おそらく

銀行の仕事をしているところでした。

 

ここに座ってもいいですかと尋ねる

低くて穏やかな声に、

ぼんやりしていたエルナは

ハッとしました。

ギョッとして顔を上げると、

ベンチの横に立っている

レオニードが見えました。

双子は声も似ているのか。

眼鏡がなかったら、

ビョルンと勘違いしていたかも

しれませんでした。

 

エルナは

「はい、もちろんです」と答えると

表情を整え、急いで葉書を片付けて

レオニードが座る場所を

用意しました。

感謝の気持ちを伝えたレオニードは

姿勢を正してベンチに座りました。

手にしている飲み物は

エルナのものと同じレモン水。

好みだけは

兄と全く違うのが確かでした。

 

エルナは、

慎重に、好奇心の込もった目で

レオニードを観察しました。

 

二人を間違えるような過ちを

犯してはならない。

レオニード王太子は、

大抵、眼鏡をかけているけれど

だからといって

眼鏡を外している方を

ビョルン王子と早合点しては困ると

フィツ夫人は何度も念を押しました。

 

このように、近くでよく見ると、

フィツ夫人が

そのような心配をした理由が

分かるような気がしました。

不思議なくらい同じ外見なので

何気なく見て二人を見分けるのは

容易ではなさそうでした。

 

その事実に、改めて驚いている間に

レオニードが、突然顔を向けました。

避ける暇もなく、

彼と目が合ったエルナは、

ピタッと止まって

乾いた唾を飲み込みました。

無礼な行動をしたような気がして

ハラハラしましたが、

幸いレオニードは、

不快な表情を見せず、

笑ってくれました。

 

レオニードは、

大公妃がこんなに立派な

クロッケー選手だとは知らなかったと

先に会話のきっかけを作りました。

 

エルナは、

ようやく安堵の笑みを浮かべると、

祖父がクロッケーが好きだった。

毎日一緒にいるうちに

自分もたくさん学ぶことができたと

話しました。

レオニードは

「そうなんですね」と返事をしました。

 

王太子の眼鏡に付いているチェーンを

注意深く見ていたエルナは、

プレゼントを受け取ってくれたことに

お礼を言って、

明るい笑みを浮かべました。

ビョルンと一緒に訪れた

フェリアのデパートで

買ってきたものでした。

 

エルナは、

役に立つように使ってくれて

本当に嬉しいと言いました。

遅れて、そのお礼の意味を理解した

レオニードは、ニッコリ笑って

眼鏡のチェーンをいじりました。

 

グレディス姫の座を奪った妖婦。

贅沢を楽しむ虚栄の塊。

世間の人々が、

むやみに騒いでる言葉を再確認する

レオニードの目つきが

深く沈みました。

 

一時、彼も

そのような誤解をしたという事実に

心が重くなりました。

甚だしくは、今も大部分の人々が

大公妃を誤解しており、

異変がない限り、

今後もそうなるはずでした。

 

果たして、

うまく耐えられるのだろうか。

ふと、それが心配になった途端、

大公妃の葉書が

風に飛ばされました。

反射的に立ち上がったレオニードは

素早い動作で、

それを拾い上げました。

フェリアの大聖堂が

水彩画で描かれている記念葉書でした。

 

「きれいな葉書ですね」と

レオニードは短い誉め言葉と共に

葉書を返しました。

エルナは、

照れくさそうに笑いながら

それを受け取りました。

そして、お礼を言うと、

きちんとまとめた葉書の束を

ベンチの下に置いてある

箱の中に詰め込みました。

チラッと見たところ、その中には

他の記念品も入っていました。

一様に非常に些細で

平凡な物ばかりでした。

 

箱を元の場所に戻したエルナは

「幼稚すぎて、

王妃らしくないでしょう?」と

慎重に尋ねました。

レオニードは何も言いませんでした。

 

エルナは、

自分でも分かっているけれど、

このような旅行は初めてだったので

記念にしたかったと話すと

頬を微かに赤く染めました。

 

訳もなく、袖口を撫でながら

待ってみましたが、

レオニードの返事は

聞こえて来ませんでした。

余計なことを言ってしまったと

後悔しましたが、

取り消す方法はありませんでした。

 

それならば、どうにかして

収拾しなければならないと

決心したエルナは、再び顔を上げて

レオニードを見ました。

 

彼女は、

子供のような姿を見せて申し訳ない。

まだ不慣れなことが多くてと謝ると、

レオニードは小さく首を横に振り、

そのようにしないでと言って

エルナの謝罪を制止しました。

 

レオニードは、

自分が思うに、大公妃は

理解と配慮が何であるかを知っている

思慮深い人だ。

このような姿をしている幼い子供を、

自分は、まだ見たことがないと

言いました。

 

萎縮した大公妃を見つめる

レオニードの目に

微かな温もりが宿っていました。

 

レオニードは、

大公妃が社交界に出てから

まだ一年しか経っていないと

聞いているけれど、

合っているかと尋ねました。

エルナは「・・・はい」と答えると

レオニードは、

それなのに、

十分、立派にやっているのだから

自責する必要はない。

誰でも最初は

うまくやれないものだから。

一年の間に社交界にデビューし、

王子と結婚し、大公妃の座に就く。

この全てのことを

完璧にこなせる人は

誰もいないだろうと、

ぼんやりと目を瞬かせている

エルナを見つめながら、

ゆっくりと話を続けました。

慰めるつもりでしたが、

ビョルンの妻は、今にも

泣き出しそうな顔をしていました。

 

困ったレオニードが、

どうしようかと悩んでいる間に

サンドイッチを全部食べてしまった

クリスティアンとグレタが

帰って来ました。

早く、またクロッケーをしようと

せがむ二人の子供の顔は、

赤くなった目を隠そうと

努めている大公妃に

気づいていないかのように

ただ明るいだけでした。

極めて子供らしい姿でした。

 

立ち上がったエルナは、

今度は、自分がグレタ姫と

同じチームになると言って、

グレタのそばに近づきました。

飛び上がるように喜ぶグレタの歓声と

絶望するクリスティアンのため息が

同時に沸き上がりました。

 

大公妃の意思を

尊重することにしたレオニードは

快く頷きながら

ベンチから立ち上がりました。

ビョルンは、まだ日除けの下で

仕事をしているところでした。

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連載版での

エルナとレオニードの接点は

バフォードにいるエルナを

レオニードがルイーゼと一緒に

訪ねるシーンだけだったように

思いますが、

Solche様は新エピソードで、

このように心温まる

エルナとレオニードのやり取りを

描いてくださいました。

このシーンがあるおかげで、

後に、ビョルンとレオニードが

ビリヤードをするシーンで、

レオニードがエルナのことを

いい人だと褒めたことに

より納得できると思います。

これで、レオニードのファンが

ますます増えること

間違いなしですね。

エルナとグレタが

絵葉書という共通の趣向で

仲良くなれたのは良かったし、

エルナがクロッケーに

強いことを知ったクリスティアン

きっとエルナのことを

尊敬のまなざしで

見ているに違いないと思いました。

 

新エピソードは、まだ続きます。

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