自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

問題な王子様 170話 外伝 17話 ネタバレ 原作 あらすじ 愛称で呼び合いたい

 

170話 祭りの夜を照らす明かりの中で、エルナとビョルンは目が合いました。

同じテーブルに座って数分後、

ビョルンは「天気がいいね」と

最初の一言を発しました。

エルナは、つんと澄まして

「はい、そうですね」と返事をすると

顔を背けました。

ビョルンは、斜めに顎をつき、

彼女を見ていました。

 

「余計なことをするには

いい天気でしょう」と、

エルナが一言、ポンと言い放ったのは

この男が投げかけた

棘のある言葉に対する

些細な報復であり、

最後のプライドでした。

 

目を細めていたビョルンは、

しばらくすると口の端をそっと曲げて

笑いました。

このようなやり方で、

適当にごまかそうとする態度が

気に入りませんでしたが、

その顔から、簡単に目を離すことは

できませんでした。

 

本当に憎たらしい男だけれど

望むように憎めない夫の顔を

見つめながら

エルナは甘い諦めの混じった

ため息をつきました。

彼は変わったようで

変わっていませんでした。

そして、エルナは、それが嫌なようで

嫌ではありませんでした。

 

これではダメ。

自分の気持ちの一つも

まともに分からないバカに他ならない。

それが少し悔しくて、

エルナは努めて顔を背けました。

よりによって、

思わず視線を投げた所に、

レオニードとロゼットが

立っていました。

彼らは、

あまり好意的でない表情をした

王室の老婦人たちに

取り囲まれたままでした。

声が聞こえなくても、

どれだけ鋭い言葉が交わされているか

分かるような光景でしたが、

肝心の2人は

全く動揺していませんでした。

終日そうだったように、

互いの手を握り、

互いを信じて頼りながら

苦境に耐えていました。

 

一見、少し堅苦しい印象の2人は

「レオとロジー」という優しい名前で

互いを呼び合っていました。

その瞬間、

恋人を見つめるレオニードの目つきが

とても柔らかくて温かくて、

見守っているエルナの心が

くすぐったくなるほどでした。

 

レオニードは、

おとぎ話の王子様のようでした。

いつも婚約者のそばで堅固な盾となり

必要ならば

火を吐く竜と立ち向かってでも

自分のお姫様を守ってくれる

そんな王子。

王立大学で、唯一の女子学生として

苦労した時代。ロゼットのそばで

黙々と守ってくれた人が

まさにレオニード王子だったのだから

それより、

適切な比喩もなさそうでした。

 

親戚たちの一群が去ると、

再び新しい親戚たちが

やって来ました。

彼らの顔にも、不満の色が

ありありと浮かんでいましたが、

エルナは、これ以上、2人のことを

心配しないことにしました。

レオニードはどんなことがあっても

自分の婚約者を守るし、ロゼットも、

簡単に他人の視線に振り回されるような

淑女ではありませんでした。

 

エルナは、そのくらいで

彼らから視線を逸らすと、

テーブルの向かい側にいる

自分の王子と再び目が合い

無意識のうちに

小さく、ため息をつきました。

 

2年前の今日、

その祭りの夜のことが

ふと思い浮かびました。

結婚市場の売り物として

投げ出された見知らぬ世界が

どれほど恐ろしくて、

頼るところもなく孤独だったことか。

その世界の一筋の光のように

近づいて来て、

手を差し伸べてくれた王子様は

どれほど素敵だったことか。

 

エルナは、それらすべてを

今、起こったことのように

はっきりと

思い出すことができました。

その素敵な王子様は、

実はカードで賭けをしていて

その救いの手が向けられたのは、

自分ではなく

掛け金ではありましたが。

 

再び、見るのが嫌になりそうな

自分の王子に向き合ったエルナは

目を細めて、

なぜ、そのように見つめるのかと

尋ねました。

 

ビョルンは、

「今更ながら、きれいだから」と

表情の変化一つない顔で、

面映ゆい言葉をかけました。

 

そして、慌てふためく

エルナを見たビョルンは、

自分の妃は、

顔を顰めてもきれいだと言うと

口元に、けだるそうな笑みを

浮かべました。

 

見え透いた言葉を叱りつけるように

眉を顰めたエルナの前でも、

ビョルンは怒ってもきれいだと

いけずうずうしく冗談を言い、

もちろん、

笑顔が一番きれいだけれどと

言いました。

 

危うく、エルナは

呆れて笑いそうになった唇の端に

そっと力を入れ、

姿勢を正して座りました。

 

今日辺り、

もう仲直りしたかったけれど、

このように簡単に終わらせるのは

嫌でした。

妻を馬と比べて侮辱し、

呆れた言葉を並べ、再び喧嘩をし、

何日も冷たかった男なので、

このような見え透いた策略に

巻き込まれるのは、

あまりにもプライドが傷つきました。

 

けれども、エルナは何の反論もせずに

彼をじっと見つめていました。

実は、自分も、あまり

よくやれていなかったことを

知っていました。

この祭りを、うまく

やり遂げなければならないという

重圧感のために、

気が立っていたのは事実でした。

多分に感情的で

敏感な反応を見せたという

ビョルンの指摘を否定することは

困難でした。

 

躊躇っているエルナを

見守っていたビョルンは、

「もう、怒りが収まったね」

と言って、笑いました。

ビョルンの手の平の上に

自分を置いていると信じているような

その態度が憎たらしくて、

エルナは「いいえ」と返事をし

きっぱりと首を横に振りました。

 

ビョルンは、

それでは、なぜ自分から

目を離せないのかと尋ねました。

エルナは、「考え・・・中だった」

と答えました。

ビョルンは、

何を考えていたのかと尋ねました。

エルナは、

今日は、どうして、

こんなに素敵ではないのかと

考えていたと答えました。

ビョルンは、馬鹿げた子供にでも

向き合っているかのように

クスクス笑いました。

そして、エルナが

苦しい言い訳をしているのを見ると

本当に怒りが収まっていると

指摘しました。

 

しかし、エルナは、

どうしてそんなに自信があるのか。

いくらビョルンでも

いつも素敵になれるわけではないと

言い返すと、ビョルンは、

「ああ、そうですか」と返事をし

どこが、妃の気持ちを

そんなに不快にさせているのかと

尋ねました。

びくっとしたエルナは、

そのネクタイだと

一番最初に目についた

ネクタイを犠牲にしました。

 

それから、エルナは

ビョルンには、

あまり似合わない色みたいだと

言いましたが、

もちろん、それは嘘で

シャンパン色のネクタイは

彼にぴったりでした。

虹色の花柄ネクタイでも、

ビョルン・デナイスタが結べば

素敵に見えるだろうと

エルナは確信していました。

もちろん、そんなことは

絶対に起こらないだろうけれど。

 

すでに、それを

すべて知っているような顔で

じっとエルナを見つめていた

ビョルンは使用人を呼びました。

彼からの命令を受けて

去った使用人は、まもなく

クリスティアン王子と一緒に

戻って来ました。

 

訳も分からないまま呼ばれて来た

クリスティアン王子が

一体どういうことなのかと、

緊張した顔で質問をしました。

エルナがまさかと思っている間に、

ビョルンは弟のネクタイを指差し、

「外せ、クリス」と

落ち着いて命令しました。

当惑したクリスティアン王子が

「なぜ、これを?」と

問い返しましたが、ビョルンは、

それ以上、返事をせずに

じっと弟を、見つめているだけでした。

躊躇することなく

要求する目つきでした。

 

呆れながらも、

クリスティアン王子は

素直に兄の要求に従いました。

エルナが止める間もなく

起こったことでした。

 

しばらくして、

クリスティアン王子が結んでいた

青緑色のネクタイが、

大公夫妻のテーブルの上に

置かれました。

ビョルンは自分のネクタイを外して

弟の手に握らせることで

一方的な取引を終えました。

 

ビョルンは、

クリスティアン王子が

面食らった表情で立っている間

のんびりと青緑色のネクタイを

締めました。

そして「もう行け」というように

軽く顎を動かしました。

クリスティアン王子は、

狂人にでも会ったような

表情をしていましたが、

首を横に振りながら去りました。

 

彼の後ろ姿と

略奪したネクタイを身にまとった夫を

交互に見ていたエルナは

結局、もう我慢ができなくなり

笑いを吹き出してしまいました。

「エルナの王子様」は

憎たらしいけれど素敵でした。

そして、やはり、エルナは

この王子様と一緒に作っていく

自分たちの童話が

一番良いと思いました、

正統派ではないけれど、

破格的なだけに魅惑的でもあるので

それでいいと思いました。

 

これで気に入ったかと、

ビョルンは、

すでに分かっていることを

ずうずうしく聞いてきたので、

エルナは、勝てないふりをし、

一段と良くなったと答えることで

彼が差し出した和解の手を

受け入れました。

いつの間にか、お祭りの花が咲く

時間となっていました。

夜の船遊びが始まると、皆の関心は

再び王太子と彼の婚約者に

集中しました。

おかげで、シュベリン大公夫妻は

人目を引くことなく、

静かに船に乗ることができました。

 

船着場を離れた彼らのボートが

流れている間も、群衆の視線は

依然としてレオニードとロゼットだけに

留まっていました。

ビョルンは、祭りの明かりが

最も美しく見える所へ

悠々とボートを漕いで行きました。

 

つんと澄ましていたのも、つかの間。

エルナは、

これまで我慢してきた話を

一つずつ話し始めました。

歌声のように澄んだ声に

耳を傾けているうちに、彼らの船は

大公の橋とシュベリン宮を

一望できる所に着きました。

 

エルナは明るい笑顔を浮かべ、

ミス・プレベはいい人だと思う。

何となく、ビョルンに

似ている感じがしていいと

興奮した声で話しました。

 

ビョルンは妻の言葉に

眉を顰めました。

この言葉を聞いたら、

ロゼット・プレベも、

自分と同じ表情をすると

確信することができました。

 

ビョルンは、

シュベリン大学の伝説として

語り継がれている

「狂った白鳥」のエピソードを

聞かせてあげようかと

思いましたが、その考えを変え、

適当に頷きました。

何はともあれ、2人が仲良くするのは

良いことだからでした。

 

しかし、エルナは

相変わらず自分だけ茶髪で、

まだ自分が一番小さいと、

少し膨れっ面で呟きました。

ビョルンは、その時になって

ロゼット・プレベ

金髪の長身の淑女であることを

思い出しました。

完璧なデナイスタ王家の一員に

近いような外見でした。

 

ビョルンは、

グレタがいるではないかと

言いましたが、エルナは、

グレタ姫も、自分より

指の一本分ぐらいは大きいと思うと

反論しました、

13才の末っ子にも負けてしまったことで

エルナは、

かなり真剣に残念な様子でした。

 

ビョルンは、

どうってことないと笑いました。

デナイスタ王家の女性たちは

概して普通の男性たちと同じくらい

背が高いので、

グレタもそうなるのは

当然の成り行きに過ぎませんでした。

 

ビョルンは、

だから、エルナは

もっと特別だと言うと

深くて静かな目で

茶髪の小さな大公妃を見ました。

ぼんやりと彼を見ていたエルナは、

少し赤くなった頬を撫でながら

視線を避けました。

 

ビョルンは、

乗馬が大変なら、

わざわざ習わなくてもいいと

告げました。

エルナは少し驚いて顔を上げました。

彼女は、

もう教えたくなくなったのかと

尋ねました。

ビョルンは、

エルナのためだと思っていたけれど

それでエルナが大変なら、

あえて我慢する必要はないと

答えました。

しかし、エルナは悩むことなく

頭を横に振ると、

学びたいと返事をしました。

 

詐欺師の師匠と

冷戦を繰り広げている間も、

エルナは、毎日、馬小屋を訪れ、

自分の馬に会いました。

たてがみを撫でて、ビートを食べさせ

あれこれ話をしたりもしました。

 

エルナは、

これ以上、怖がらなくなると

ビョルンの言葉のように

ドロテアは完璧な馬なので、

安心して

自分を任せてもいいということを

ようやく、分かったような

気がしました。

 

エルナは、一生懸命学ぶので

ビョルンにずっと教えて欲しいと

頼みました。

 

彼は、また喧嘩するつもりなのかと

尋ねました。

エルナは、

そうかもしれないけれど、

大丈夫だと思う。

もう、和解する方法が分かったので

前より、もっと賢明に戦えるだろうと

答えました。

賢明な戦いだなんて、

少し語弊があるようでしたが、

エルナは訂正しませんでした。

ビョルンは彼女をじっと見ると

爽やかな笑顔で同意を示しました。

 

どんな頼みでも、

全て聞いてくれそうな寛大な目つきに

勇気を得たエルナは、自分たちも

愛称を作ってみたらどうかと

一日中、心の中で

ぐるぐる回っていた願いを

そっと打ち明けました。

 

エルナは、

ビョルンも自分も、

他の人たちから呼ばれる愛称は

特にないので、

自分たち2人だけで呼び合う

愛称があってもいいと思う。

ロマンチックではないかと

言いました。

 

ビョルンは、

そのままの名前を呼べと

返事をしましたが、エルナは、

一度考えてみて欲しい。

自分はエナ? それともナナ?

と尋ねました。

 

真剣に悩んだ末に

出した名前でしたが、

ビョルンはプッと笑いました。

しかし、エルナは屈することなく

「あなたは・・・ビビ?」と

意見を言い続けました。

この男と

全然、似合わないということは

分かっているけれど、

その他の愛称を思いつくのは

困難でした。

 

ビビとナナ。

不思議ではあるけれど

それでも、とても悪くはないような

気がしました。

 

ビョルンは、嘲笑するのさえ止めて

眉を顰めました。

彼は、

いっそのこと、クソ野郎と呼べと

うんざりした表情で

冷笑的な返事をしました。

 

その瞬間、エルナは、

これから顔も見たくない時には、

この王子をビビと呼ぼうと

決意しました。

 

愛称を諦めることにしたエルナは、

これまで、

ドロテアと築いた友情について

ぺちゃくちゃ喋り始めました。

その話が終わる頃、

花火が始まりました。

その華やかな光の饗宴の下で、

ナナはビビにキスをしました。 

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エルナは、あまり

気づいていないかもしれませんが

ビョルンもレオニードのように

エルナの盾となっていたことを

覚えていて欲しいと思います。

 

夫婦喧嘩のとばっちりを受けた

クリスティアンには災難でしたが

何はともあれ、

2人が仲直りして良かったです。

エルナも自分の感情を振り返って、

自分にも悪かった点があったことを

認めることができたし、

ドロテアと仲良くなろうと

努力したことも立派だと思いました。

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いつもたくさんのコメントを

ありがとうございます。

皆様からの温かい言葉に

感謝の気持ちでいっぱいです。

 

昨日は夏日だったのに

今日は一気に冷え込みました。

ここまで気温が乱高下すると

何となく体調が悪いと感じられる方も

多くなるのではないかと思います。

どうぞ、皆様もお体をご自愛ください。

明日も、更新します。

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