自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

バスティアン 172話 ネタバレ ノベル 原作 あらすじ 水曜日まで

172話 バスティアンは、オデットとジェンダス伯爵とアルマが、楽しそうに食事をしている姿を見てしまいました。

ジェンダス伯爵は、

10時を少し過ぎてから

オデットの家を出ました。

眠っている娘を

後部座席に寝かせた伯爵は、

自らハンドルを握りました。

オデットはポーチの下まで降りて

彼らを見送りました。

昨日とは違い、かなり気を使って

着飾った姿でした。

 

バスティアンは、

小川沿いの柳の下に置かれた

ベンチに座り、

その光景を見守りました。

伯爵の車が、曲がり角の向こうへ

消えて行くと、オデットも

その場を後にしました。

 

バスティアンはクスッと笑うと

乱れた髪を撫でつけました。

暗がりに隠れて

妻の恋愛事情を覗き見している姿が

実に情けないと思いました。

 

むしろ、あのまま出陣した方が

互いのためだったのではないか。

ふと虚しくなって

思わず漏らしたため息が、

深まる夏の夜の中に

静かに染み込んで行きました。

その瞬間にも、バスティアンの視線は

オデットの家に留まっていました。

 

1階の明かりが消えてから間もなく、

2階の窓に明かりが灯りました。

時折、窓の前を行き交う

オデットの影がカーテンに映ると、

言葉で言い表せない激情が

訪れました。

 

バスティアンの

猶予を求める要請を受け入れながら

上層部は、これは英雄のための

帝国の特別な配慮だと語りました。

その言葉の裏にある意味を

推し量るのは

それほど難しいことでは

ありませんでした。

決して慈悲深いとは言えない

軍という集団が寛容さを見せるのは、

あまり良い兆しではありませんでした。

おそらく異変がなければ戦争が勃発し、

北海は激戦地となるだろう。

 

戦争は勢いの勝負でした。

敵が大規模な艦隊を率いて

雪辱戦に挑む名将を

先鋒に立ててきた以上、ベルクは

その名将を打ち破った英雄を

前面に出して

士気を高めようとするはずでした。

 

バスティアンは、

自分に与えられた任務が何であるかを

明確に理解していました。

死地の最前線に立つことになるだろう。

言い換えれば、

特別に与えられた数日の猶予は

死刑囚に与えられる

最後の晩餐のような意味でした。

それなのに、この様だ。

 

バスティアンは苦笑いを浮かべながら

ベンチから立ち上がりました。

オデットを尊重し気遣うなら、

このまま戻るべきだということを

知っていました。

新たなスタートラインに立ったとしても

結局またあの女を

傷つけることになるだろうから

謝罪と許しと愛は

もはや、すべて無意味になりました。

バスティアンには

その願いを叶えるための

大義名分と時間が

もう残っていませんでした。

 

自分があなたの不幸であることを

知っている。

バスティアンは淡々と

自分の限界を受け入れました。

 

オデットを、

幸せに笑わせる方法のようなものは

分かりませんでした。

どんなに努力しても

上手くいきませんでした。

結局、また傷を

負わせることになるだろう。

 

けれども。

 

バスティアンは大股で

小川にかかる橋を渡りました。

 

それでも自分は。

 

オデットの家の前に近づいた

バスティアンは、躊躇うことなく

呼び鈴を鳴らしました。

 

億万の金にも代えがたい時間でした。

利己的な決定だと思われても

構いませんでした。

どうせ終わるなら、もう一度、

自ら悪役を引き受けられない

理由はありませんでした。

最後までクソッたれな野郎でした。

むしろ憎むことができれば、

オデットの心も

ずっと軽くなるだろうから。

じっと閉じていた目を開けた

バスティアンが、

再び呼び鈴を鳴らすと同時に

玄関のドアが開きました。

 

・・・バスティアン

ぼんやりとした目を

パチパチさせていたオデットが

震える唇を開きました。

 

一体これは・・・と尋ねるオデットに

バスティアンは視線を落とし、

開いたドアをしっかりと掴んだまま

数日だけ自分を我慢してみてと

言いました。

ネグリジェの上に羽織った

レースのショールを合わせて握った

オデットは、どうしてよいかわからず

周囲を見回しました。

 

バスティアンは、

あなたの言う通り、

罪悪感と同情心のせいかもしれない。

考えてみると、そうかもしれないと

言いました。

恐怖に怯えたオデットが与えた

自分への幻滅を拭い去った

バスティアンの眼差しが、

より深く冷たく沈みました。

 

彼は、

だから、それを確認する時間をくれと

頼みました。

オデットは、

今、何を言っているのかと尋ねました。

バスティアンは、

きちんとした終わりを

見届けようという意味だと答えました。

 

終わり。

予期せぬ言葉を繰り返していた

オデットの目が見開かれました。

 

待っても来なかった男が突然現れて、

夢のような話をしている。

全く現実感のない状況に

呆然としていたオデットを

目覚めさせたのは、

暗闇の中で輝くガラス瓶でした。

それがシャンパンだと気づくと、

うめきのようなため息が漏れました。

 

一体なぜ?

オデットは混乱した眼差しで

バスティアンを見つめました。

そういえば服装や髪型も

ぐちゃぐちゃに乱れていました。

一寸の乱れもなかった普段とは

明らかに異なる姿でした。

 

「もしかして何か・・・」

と尋ねようとするオデットの言葉を

遮ったバスティアンは、

水曜日が来るまで一緒にいて。

そうすれば、

あなたの望む通りにしてあげると

まるで布告でも下すかのような態度で

とんでもない要求をしました。

 

オデットは呆れて、

あなたは自分が何を望んでいるのかも

知らない人ではなかったかと

聞き返しました。

 

勝手に約束を破り、

勝手に訪ねて来て無礼を働き、

勝手に心をかき乱す。

結局、少しも変わらない男が与えた

失望感が憤りとなって

爆発しそうな瞬間に、「離婚しよう」と

確信に満ちた答えが聞こえてきました。

夏の夜の風のように柔らかい声が、

ずっと待ち望んでいた知らせを

伝えました。

 

バスティアンは、

最後の最後まで行っても

結局、同じだというなら、

その時は終わらせてあげる。

これくらいなら、

オデット嬢が損をする

商売ではないように思うけれど

どうだろうかと尋ねると、

礼儀正しい他人のような顔になって

一歩後ろに下がりました。

ついに正解を見つけた男を

オデットは長い間、深く見つめました。

一睡もできずに

寝返りを打っている間に、

夜が明けました。

オデットは諦めたように

ベッドから降りました。

窓を開けて新鮮な空気を吸い、

冷たい水で顔を洗ってみても、

頭の中は、依然として

ぼんやりしていました。

 

夢のように現れた男は

夢のように去って行きました。

沈黙するオデットを

しばらく見つめた後、

そうしてくれれば、

取引が成立したものと見なすと

告げました。

玄関に置いていった

シャンパンがなければ、

奇妙な悪夢を見たと思ったに

違いありませんでした。

 

もしかすると、

記憶が歪められたのではないか。

オデットは、

昨晩の出来事を振り返りながら

服を着替えて髪を整えました。

呼び鈴が鳴ったのは

ちょうど台所に降りた時でした。

 

オデットはハッとして

時計を確認しました。

客が訪れるはずのない早朝でした。

聞き間違いだったという

結論を下したと同時に、

再び呼び鈴が鳴りました。

 

まさか。

オデットは、

不吉な予感に囚われながら

玄関へ駆け出しました。

急いでドアを開けると、

旅行用トランクを持っている

バスティアンが見えました。

ちょうど朝の散歩に出ていた

老婦人が喜んで彼に近づいて来て

マリーさんの従兄だと思ったけれど

そうですよね?と確認しました。

バスティアンは

「はい。おはようございます」と

遠慮なく老婦人に挨拶しました。

 

旅行用トランクを見つけた老婦人は

好奇心に目を輝かせながら、

こんなに早い時間にどうしたのかと

尋ねました。

バスティアンは、

従妹の家で数日間、

世話になることになった。

元々、隣の村のホテルに

泊まっていたけれど

この村が気に入ったので、

残りの日程は、

ここで過ごす予定だと答えました。

 

老婦人は、

「見る目のある若者だ。

良い判断をした。

そうですよね、マリーさん?」

と確認しました。

 

「・・・えっ?あっ、はい。 奥様」

オデットは我を忘れていたせいで

失敗してしまいましたが、

幸いにも老婦人の関心は全て

バスティアンに集中していました。

たっぷり村の自慢をした老婦人が去ると

ようやく2人だけの時間が訪れました。

 

客をずっと外に立たせておくと、

不必要な注目を

集めてしまうのではないかという

バスティアンの厚かましい質問に、

呆然としていたオデットは

我に返りました。

きちんとした服装の姿のどこにも

昨夜の痕跡を見つけるのは

困難でした。

 

オデットは、

客として滞在した後に去ると

約束できるかと尋ねました。

バスティアンは、

まさか、それ以上のことを

望んでいたのかと聞き返しました。

ニッコリ笑うバスティアンの顔には

少年のようないたずらっぽさが

滲み出ていました。

 

「ついて来てください」と

諦めたように答えたオデットは

先頭に立って家の中に入りました。

バスティアンは

一定の間隔を保ちながら

彼女の後ろを付いて行きました。

 

オデットは、2階にある空き部屋へ

バスティアンを案内すると、

客用の部屋は、

きちんと整えることができていないと

告げました。

 

そこは、

この家の前の持ち主が置いて行った

古いベッドと、扉が1つ外れている

壁にくくり付けのクローゼットが

あるだけの部屋でした。

小さな部屋がもう1つありましたが、

そこには、

ベッドすらありませんでした。

 

予備の布団がないことを思い出した

オデットは、

布団はレッスンが終わってから

買って来ると、

慌てて一言付け加えました。

 

従妹の有難いもてなしに

身の置き所がないと、

意地悪な返事をしたバスティアンは

さっさと部屋に入りました。

そして、

トランクを開けたバスティアンは

今日も、

ジェンダス伯爵の別荘に行くのかと

思いがけない質問をしました。

 

オデットは、それを否定し、

隣の村の農場主の娘を教える日だと

答えました。

バスティアンは、

しわを伸ばした制服を

クローゼットに掛け、

他の服もきちんと整理しながら

ぶどう農園にある、

あの家かと尋ねました。

オデットは「そうです」と

ため息をつくように答えました。

 

荷物をすべて解いたバスティアンは

オデットの方を振り返ると

レッスンは、大体、12時頃に

終わるようだと確認しました。

 

尾行をした事実を

隠す気すらないように見える男を

じっと見つめていたオデットの口元に

苦笑いが浮かびました。

 

バスティアンは、

12時に時計台の下で待っていると

告げました。

オデットは、それを拒み、

必要なものは自分が・・・と

言いかけましたが、

ゆっくりと近づいて来たバスティアンは

最後の一歩を残した場所で立ち止まると

「約束を守って」と言いました。

オデットは思わず息を殺し、

両手を合わせて組みました。

 

バスティアンは、

自分に時間を

与えてくれることにしたではないかと

主張しました。

オデットは、

それなら、あなたも

約束を守ってくれるのかと尋ねました。

バスティアンは、

「ああ、そうするよ」と答えると

快く頷きながら微笑みました。

 

なぜか寂しそうに見える青い目を

オデットは、

しばらくじっと見つめました。

まるで深い水のようだと思いました。

水面は美しく輝いているけれど

その下は計り知れないほどでした。

子供がレッスンの進度に

付いていけなかったため、

レッスンは予定より30分遅れて

終わりました。

 

昼食を取って行くようにという

女主人の提案を丁重に断ったオデットは

急いでブドウ園を後にしました。

玄関の近くをうろうろしていた

子供の兄が、今日も外出するふりをして

後を付いて来ました。

 

村の広場の入口に差し掛かった頃、

ベラー先生は、

今日も先約があるのかと、

彼が本心を明かしました。

 

オデットは、

はい。従兄に会うことになっていると

素っ気なく返事をしながら

時計塔を見つめました。

バスティアンは、

その下にあるベンチに座って

新聞を読んでいました。

 

今日は特にしつこい子供の兄が、

もし自分を断るための

嘘をついているのなら・・と言って

前に立ちはだかったのと同時に、

「マリー!」と

バスティアンの声が聞こえて来ました。

新聞を折りたたんで

立ち上がったバスティアンが、

大股で広場を横切って来ました。

慌てた子供の兄は急いで踵を返して、

家のある方向へ向かいました。

 

後ろをチラチラ振り返っている

男と目が合ったバスティアンは、

「行きましょう」と、

見せつけるように丁重に

エスコートを申し出ました。

日傘をたたんだオデットは、

彼が差し出した腕を

そっと掴むことで芝居に参加しました。

2人はまぶしい日差しの中、

並んで歩き始めました。

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女性の1人暮らしの家に、

夜の10時過ぎまで滞在する

ジェンダス伯爵は

非常識だと思います。

 

オデットは、

誰が来たかも確認しないで

ネグリジェにショールを羽織った姿で

ドアを開けたら

危険ではないでしょうか。

もしかしたら、

バスティアンが来たかもしれないと

思って、

ドアを開けたのかもしれませんが

それでも、確認すべきだったと

思います。

 

気になった所へのツッコミは

ここまでにして・・・

オデットが着飾ったのは

バスティアンのためなのに、

ジェンダス伯爵のためだと

誤解してしまったバスティアンが

可哀想です。

 

バスティアンは死を覚悟していて

自分が亡き後、

困った事態に陥らないように

前線へ出発する前に

全てのことを

処理していくつもりなのだと

思います。

その中で最も重要なことが

オデットとの離婚。

本当は離婚したくないけれど、

今のように宙ぶらりんの状態で

自分が死んでしまえば、

オデットには

バスティアンに対する苦い思い出しか

残らなくなる。

オデットは自分と一緒にいるだけで

傷つくかもしれないけれど、

最後に、少しでも彼女に対して

自分の良い思い出を残してから

離婚をしようと

考えているのではないかと思いました。

バスティアンの切ない気持ちに

心が痛みました。

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