97話 自分がクイーンであることが、ナビエにばれているのではと思ったハインリでしたが・・・
◇気になるなら◇
ナビエが、
青い鳥はマッケナでは?と
ハインリに尋ねた時
彼女は、
クイーンもマッケナ同様、
ハインリの部下だと
思っている様子でした。
しかし、突然、
そんなことを言われたハインリは
慌ててしまい、
不審な行動を取ってしまいました。
けれども、
ナビエは何も言わなかったので
クイーンの正体が
ハインリであることに
気づかなかったと思っていました。
しかし、
急に冷たくなり、
目も合わせてくれなくなったのは
やはり、
クイーンがハインリであることを知って
怒っているのだと思いました。
そんなに気になるなら話せばいいと
マッケナに言われ
ハインリはため息をついて
立ち上がりました。
ハインリは、ナビエに本当のことを
伝えに行くことにしました。
一緒にドレスを選びたかったと
嘆くハインリに、マッケナは
ドレスを選びに行って
追い出されたのかと指摘したので
ハインリは、
椅子の上のクッションを手にすると
マッケナは書類を置いて
慌てて外へ出ました。
◇真実の告白◇
真夜中、
ナビエは、わざとではないけれども
みんなのいる前で
ハインリを押してしまったことを
後悔していました。
ハインリは、ナビエに押されたことを
恥ずかしいと思っているに違いないと
考えました。
ナビエは、
ハインリに謝りに行こうと思い
支度をしていると
ナビエが出かける前に
ハインリがやって来ました。
侍女2人を部屋の外へ出した後
ハインリとナビエは
お互いの顔色をうかがいました。
ハインリが真夜中に訪ねて来て
何を言おうとしているのか。
深刻なことなのではないかと
思い、緊張していると、
ハインリは突然、
自分がクイーンであることを
告白しました。
結婚を取り消すことはなくても、
寂しいとか、
別の否定的な言葉を
口にするのではないかと
思っていたナビエは驚きました。
ハインリはナビエを
騙そうとしていたわけではなく
彼の一族の正体を
家族以外に
知らせてはいけなかったから
黙っていただけだ、
ずっと騙そうとは思っていなかったと
すまなそうに言いました。
ナビエは首を振って、
大丈夫だと言おうとしました。
そして、
ハインリを押してしまったことを
謝ろうとして、彼に手を伸ばすと
ハインリはナビエの目の前で
クイーンに変わりました。
どうして、
急にクイーンに変身したのか。
ナビエは戸惑っていると
鳥になったハインリが、
瞬きをしながら
ナビエと向き合いました。
とても可愛くて、愛らしい姿。
その可愛さを武器にして、
ナビエの怒りを鎮めようと思ったのか。
クイーンは大きな目を見開いて
ありとあらゆる可愛い表情を
浮かべて
ナビエを見上げました。
クイーンがためらいがちに
ナビエの方に歩いてきた時
彼女は習慣的に
クイーンを抱きしめようとしました。
最初、ナビエは
クイーンがハインリの部下なら
夫の部下を抱きしめて
お尻を叩いたことになるので
そのことを一番心配していました。
最悪なことを想定していたので
クイーンがハインリであることを
知っても
あまり腹は立ちませんでした。
ハインリが秘密だと言ったことも
理解できました。
ナビエはハインリに
怒っていないと言いましたが
今は可愛い鳥でも
あっという間に、
裸の男性に変わってしまう。
それを知りながら、クイーンを
抱きしめることはできませんでした。
自分は鳥を抱いているつもりでも
ハインリは裸で自分に
抱かれていました。
ナビエは、
本当に怒っていないと言って、
伸ばした手を
元の場所に戻しました。
クイーンをちらっと見ると
目に涙を浮かべていたので
ナビエは仕方なく、
クイーンの頭を撫でました。
そして、
本当に怒っていないので、
帰るように
自分のいない所で、
元の姿に戻るように
クイーンに言いました。
◇感情を出さないハインリ◇
ハインリが帰ってから30分くらい
ナビエはぼんやりと
座っていましたが
部屋のドアを開けました。
ローズはマスタスに
何かを教えていました。
ナビエが1人で出てきたので
驚いたローズは、
ハインリのことを尋ねましたが
ナビエの返事は、
「ハインリは窓から帰った」でした。
それを聞いて、2人共、
あきれたような顔をしましたが
部屋に入ると、悲鳴を上げました。
ハインリの服が、
下着も何もかも全て
カーペットの上に
散らばっていたからでした。
2人は、本当に王は、
裸で窓から出ていったのかと
尋ねました。
ハインリが鳥に変身することを
知らない2人に
ナビエは本当のことが言えずに
困ってしまいました。
首まで赤くなっているローズを見ると
変な想像をしているようだけれど
ハインリの服だけ脱がせて
何もしなかった、
服を脱がせて追い出しただけでは
自分が変な人になってしまうと
思ったナビエは、
夫婦だから大丈夫だと言って
ごまかしました。
ナビエは
ハインリの服を拾い集めながら
抱きかかえると、
ハインリの香水の香りがしました。
その瞬間、
クイーンの傷ついた顔を
思い出しました。
ナビエの誕生日に、
クイーンがケーキを運んできた時に
負担だと言ったら、
クイーンは
泣きながら飛んでいきました。
クイーンがハインリだったから、
その直後、ハインリを尋ねた時に、
彼の目が赤かったことが
わかりました。
ナビエは、ハインリが気が弱くて
今回もハインリが
泣いているのではと思い
普段のハインリの様子を
知っているマスタスに、
彼女が、本当は怒っていないのに、
怒っていると
誤解されたことがあるか、
聞いてみました。
マスタスは、
自分が怒っていても
ハインリは
興味を示さないことがあると
言いました。
ナビエの質問を聞いて、
マスタスは
ハインリが裸で
窓から飛び出していったのは
ナビエは怒っていないのに、
ハインリが怒っていると
誤解したせいかと尋ねました。
ナビエが、それに似ていると答えると
マスタスは、
ハインリは
何を考えているかわからない、
笑うことで、全て隠してしまう。
ハインリがショックを受けた姿は
見たことがない、
そんな彼が、
ナビエが怒っていると誤解し
裸で飛び出していったのなら
正直に怒っていないことを
伝えた方がいいと言いました。
ナビエは、ハインリが
感性豊かだと思っていましたが
感情を表に出さないと聞いて
驚きました。
自分の前にいる時だけ
感情を露わにするのかと
当惑しました。
ナビエは頷き、
ハインリの誤解を解きに行こうとすると
マスタスは
ハインリの服を別の何かで
包んでいった方がいいと言いました。
◇話を聞いていた◇
ソビエシュはラスタのベッドで
胎教に役立つという歌を
歌っていました。
自分のお腹の前で
皇帝が歌を歌うなんて
1年前には想像もできませんでした。
アレンは、子爵の地位を守るために
自分の子供を否定したのに
それよりも地位の高い皇帝が
ラスタの子供を後継者にするために
気を使ってくれて、
子供のために歌を歌ってくれる。
ラスタは感動で
涙が出そうになりました。
皇帝は歌も上手だ。
赤ちゃんは父親の声を
よく覚えるだろうとラスタが言うと
ソビエシュはラスタのお腹を
優しく撫でました。
その時、誰かが扉を叩きました。
デリスは、カルル侯爵が
急いで見せるものがあると
言っていると
ソビエシュに伝えました。
ソビエシュは自分の部屋の応接室へ
カルル侯爵を案内するように
デリスに命じました。
もう行ってしまうのかと
ソビエシュに尋ねるラスタに
彼は、
カルル侯爵は
ちょっとやそっとのことでは
来ないと言いました。
ソビエシュは自分の部屋へ戻ると
カルル侯爵はイライラした様子で
椅子にも座っていませんでした。
彼はソビエシュに
西王国の新聞を差し出しました。
そこには、
ソビエシュがラスタに
ナビエとの離婚の約束をしたことを
ナビエが聞いていたと
書かれていました。
◇兄との再会◇
翌朝、ナビエは
ハインリの所へ行きました。
彼が会議室に入る前に、
話そうと思いましたが
ハインリの執務室の前で
コシャールに会うことができました。
2人は抱き合い、
マッケナが執務室から出てくるまで
コシャールは
ナビエを抱きしめたまま、
泣いていました。
コシャールは、
ナビエが離婚をしたことを聞いて
心臓が張り裂ける思いをし
ハインリと再婚をしても
ナビエの心の傷は消えないだろうと
言いました。
そして、ナビエが離婚をしたのは
自分のせいだと思い
彼女に迷惑がかかると思い
ナビエが西王国へ来ても
すぐに会いに行かなかった。
自分がおとなしくしていれば
ナビエは離婚しなかったと
話しました。
ナビエは、
それは正しい言葉だけれど
ソビエシュは
ラスタを愛しているから
兄が何もしなくても
ラスタを自分の隣に座らせるために
どうしても自分を
追い出さなければならなかった。
実際にコシャールを追放した後
兄の名前を利用して
自分を追い出したと思いました。
ナビエは、その話を続ける代わりに
わざと笑いながら、冗談交じりに
自分のことは避けていたけれど
ハインリとはよく会っていたようだと
言いました。
ハインリは結婚式の前に
コシャールを
騎士の歴訪に参加させるつもりでした。
騎士の歴訪は西王国の伝統の1つで
王の騎士たちが、
いくつかの都市を回りながら
人々を助けるというものでした。
この時、
最も賢明に対処した
騎士の名声が上がると
ナビエは聞いたことがありました。
ハインリは、西王国での
コシャールの評判を上げるために
そのようにすることが分かると
ナビエは、
抱えていたハインリの服を
ギュッと抱きしめました。
コシャールと、また会う約束をし
ナビエは、執務室に入りました。
◇ナビエの告白◇
ハインリは、執務室の中央に
きまり悪そうに立っていましたが
ナビエと目が合うと
照れくさそうにに笑いました。
ハインリは
ナビエを呼びましたが
ずっと彼女が
ハインリを避けていたので
近づいても大丈夫か確信が持てず
ナビエに近づくことを
ためらっていました。
ナビエは、
まだ恥ずかしい思いが強かったものの
勇気を出して、ハインリに近づき
彼のことを怒っていて
避けていたのではない、
ハインリを避けていた理由を
率直に打ち明けたいと言いました。
ハインリは、
ナビエが怒っていないのなら
正直に話して欲しい。
不安で気になって
眠ることもできない。
ナビエに嫌われたくないと
訴えました。
ナビエは深呼吸をして
ハインリの服を
お守りのように抱きしめ
勇気を振り絞りながら、
ハインリの裸を見てしまい、
その姿をしきりに思い出して
困っている。
だから目を合わせることが
できなかった。
ハインリの裸の姿を
思い出してしまうからと
できるだけ無表情で告白しました。
ハインリは、
ナビエに嫌われたくなくて
彼女の前でクイーンに変身しました。
それでも、
ナビエはハインリを避けていましたが
マスタスの言葉で
ナビエが全てを打ち明けようと
決心できて良かったです。
ナビエの最初の見立ての通り
マスタスは、外見はごつくても
優しい人なのですね。