自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

バスティアン 83話 ネタバレ ノベル あらすじ 鍵はポケットの中

83話 オデットはバスティアンの会社にラビエル父娘が入るのを見ました。

予定になかった招かれざる客が

割り込んで来たせいで

ラビエル公爵との対談は

予定より早く終わりました。

 

ラビエル公爵は、

とにかく全て君のおかげだ。

今までお疲れ様だった。

これからも、良い関係を

続けていけると信じていると

諦めの挨拶をしながら

立ち上がりました。

本心を隠すことができない娘を

この場に長く置いてはいけないという

判断を下したようでした。

 

バスティアンは

穏やかな笑みを浮かべたまま

公爵を見送りました。

ただ事業の成功を祝って

挨拶を交わす形式的な席が

必要だっただけで、

どうせ重要な議論事項は

電話と書簡を通じて、

すでに解決済みでした。

あえて時間を引き延ばす理由は

ありませんでした。

 

執務室のドアを目の前にした

サンドリンは急に振り返ると、

今度、会う時はクラウヴィッツ少佐に

なっているだろうと言いました。

バスティアンは一歩後ろに下がって

距離を調整し、

「そうです、ラナト伯爵夫人」と

返事をしました。

サンドリンは、お祝いの言葉を伝え、

あなたは本当に誇らしいと告げると

右手の手袋を外して

握手を求めました。

ラビエル公爵は、

そっと視線をそらすことで、

娘が欲望を満たす機会を

与えてくれました。

 

バスティアンは、単調な礼儀正しさで

握手に応えました。

親切でしたが、

それ以上の感情はありませんでした。

サンドリンが、

そっと指を絡めてきた瞬間も

やはりそうでした。

バスティアンは、そっと力を込めて

それを阻止した後、

落ち着いて握手を終えました。

 

納得するかのように頷いた

サンドリンは、

「さようなら、品のある紳士様。

ローザンで会いましょう」と

茶目っ気のある笑みを浮かべました。

そばにいる父親の存在は、

すっかり忘れてしまったような

態度でした。

 

ラビエル公爵父娘の見送りを終えた

バスティアンは、

先端を切った葉巻を咥えて

机の前に座りました。

応接テーブルを片付けた秘書が退くと、

執務室は、再び静寂に包まれました。

 

サンドリンとの関係を、

このまま続けるのが正しいのだろうか。

一度も抱いたことのない

馴染みのない疑問が、

ふと脳裏をかすめました。

 

バスティアンは、

窓ガラスを叩く雨音を聞きながら

ゆっくりと葉巻を吸いました。

会議の前までに

検討しなければならない文書が

残っていましたが、

集中力を取り戻すのが大変でした。

かつてないことでした。

 

オデット。

バスティアンは諦めたように、

このすべての混乱の始まりを

直視しました。

その時、秘書のノックの音が

聞こえて来ました。

 

バスティアンは、

灰を払い落とした葉巻を

指の間に挟みながら

入室を許可しました。

静かにドアを開けた秘書は、

とても困った顔で、

客が来たことを告げました。

 

じっと秘書を凝視していた

バスティアンは、眉を顰めながら、

今日の訪問予定の客は、

ラビエル公爵だけだと

記憶しているけれど

違っていたかと尋ねました。

 

「しかし、それが・・・」と

まごついている秘書の背後に、

おそらく、その客と思われる影が

ちらつきました。

バスティアンが

再び葉巻を咥えたのと同時に、

躊躇していた招かれざる客が

姿を現しました。

 

バスティアン」

澄んだ声が、

絶え間なく降る雨の音を消しました。

バスティアンは、

飲み込めなかった煙を吐き出しながら

立ち上がりました。

微かな苛立ちが漂っていた眼差しが

一瞬ぼんやりとし、

ため息のような失笑が漏れました。

 

雨に濡れたオデットが

寒さで青ざめたまま

疲れた微笑を浮かべながら

開いたドアの向こうに立っていました。

f:id:myuieri:20251014051749j:image

長引く沈黙が不快になったオデットは

何の連絡もなく突然訪ねて来て

申し訳ないと、

もう一度、謝罪しました。

 

バスティアンは、

ただ、オデットを見つめるだけで、

相変らず、何の感情も

表に出しませんでした。

少なくとも怒っているようには

見えないという事実が、

オデットが見つけられる

唯一の慰めでした。

 

カップを置いたオデットは、

ようやく、

まともに動かせるようになった手で

乱れた身なりを整えました。

コートはひどく濡れていましたが、

幸いブラウスとスカートは

少し湿っている程度でした。

 

体を拭いたタオルを握ったオデットは

優しい笑みを浮かべながら、

ラッツに来たら、

あなたのことを思い出したと

準備しておいた言い訳をしました。

バスティアンは、

ウィングチェアの肘掛けに

斜めにもたれかかって、

オデットを見つめるだけでした。

予想していたのとは、

かなり外れた反応でしたが、

後へは引けませんでした。

 

オデットは、

迷惑をかけたなら謝る。

自分は、ただ・・・と

言い訳をしようとすると、

まもなくバスティアンは、

車があるはずなのに、

どうして、

こんなことになったのかと

尋ねました。

自分を深く見つめる真っ直ぐな目つきが

オデットをビクッとさせました。

 

オデットは、

ハンスは先にアルデンに帰したと

答えました。

バスティアンは、

その理由を尋ねました。

オデットは、

あなたの車に乗って

一緒に帰ればいいと思ったからと

答えました。

 

神経を蝕むような不安感が

大きくなるにつれ、オデットは

さらに落ち着いて

優しい表情を見せようと努めました。

呆れたように笑う瞬間でさえ

バスティアンは、

探るような鋭い視線を

そらしませんでした。

 

確かに怪しく見える。

とんでもないことをしていることは

よく分かっているけれど

これが、オデットが

思いつくことのできる最善でした。

 

今週末には、

海軍祭が行われるローザンへ

出発する予定でした。

だから、今日が、

ここを訪ねることができる

最初で最後の機会でした。

このまま、

諦めるわけにはいかないので、

無謀な賭けでも

しなければなりませんでした。

必ずやり遂げなければならないと、

オデットは、

もう一度覚悟を新たにしました。

 

暗い路地に隠れて

ラビエル公爵父娘を盗み見した瞬間の

自責の念は

もう忘れることにしました。

同情を誘うために、

わざと雨に打たれた自分の狡猾さが

もたらした幻滅も消しました。

偽善を装うなと言っていた

テオドラ・クラウヴィッツの助言は

正しかった。

どうせ悪事を働くしかないのなら、

むしろ残忍になった方がマシでした。

 

ドアの外から聞こえて来た

会議の準備ができたと告げる

秘書の声が、

2人の間に重く垂れこめていた沈黙を

破りました。

オデットにとっては

祝福のような知らせでした。

 

すぐに行くと、

単調な返事をしたバスティアンは

机の前に戻ると、

散らかっている書類を整理しました。

そのほとんどを後ろの棚に移しましたが

黄色の書類は、別にまとめて

一番下の引き出しに保管しました。

 

オデットは、

濡れた髪を乾かすふりをして

バスティアンを観察しました。

一番下の引き出し。

その位置を心に刻んだ瞬間、

鍵を回す音が聞こえて来ました。

まさかと思ったオデットの疑問は

すぐに絶望へと変わりました。

 

体を起こしたバスティアンは

引き出しの小さな金色の鍵を

羽織ったジャケットのポケットに

入れました。

そして、腕時計を確認すると、

1時間くらいかかるので、

休んでいるようにと告げました。

オデットは急いで口角を上げて

頷きました。

 

バスティアンは、

必要なことは秘書に伝えるようにと

言いました。

オデットは、

これで十分だと答えました。

オデットが微笑むと、

バスティアンの口元にも

薄っすらと笑みが浮かびました。

微妙な色合いが調和した暖炉の炎が、

その微細な表情の変化を

照らしました。

 

オデットが

待っているので一緒に帰ろうと

告げると、バスティアンは

執務室を去りました。

濡れたタオルを絞って握った

オデットは、

ドアの外の人の気配に耳を傾けながら

適当な時機を待ちました。

廊下を忙しく行き来していた

足音が消えるまで、

それほど時間はかかりませんでした。

やがて、その瞬間が訪れると、

オデットは、

速やかに立ち上がりました。

 

最初に確認した一番下の引き出しは、

やはり鍵がかかっていました。

もしかしたら、他の場所に

予備の鍵があるかもしれないので、

そこは一番最後にすることにしました。

 

張り裂けるようにドキドキする

胸をなで下ろしたオデットは、

書類箱が置かれている棚から

確認し始めました。

焦りながらも、

漁った痕跡を残さないように

気を遣っていたので、

作業は遅々として進みませんでした。

 

鉱山、ダイヤモンド鉱山。

いくら探しても見つからない

その単語が、息の根を止め始めた頃、

いつの間にか

バスティアンの言っていた時間の半分が

あっという間に過ぎていました。

 

新たに発見した投資家の名前が

記されている書類数枚を

手にしたオデットは、

机の引き出しへ捜索先を移しました。

上から下へ。

一つずつ隈なく探してみましたが、

どこにも鉱山に関する書類は

ありませんでした。

 

開けられない最後の引き出しを

揺すってみたオデットは、

泣きたい気持ちで時間を確認しました。

あと5分。 静まり返っていた廊下に

再び活気が漂い始めました。

どうやら会議が終わったようでした。

 

オデットはまず確保した書類をつかみ

暖炉の前に干しておいた

コートに向かって走って行きました。

書類を小さくたたんで

内ポケットの奥深くに

突っ込んでいる間に、

廊下を行き来する足音が

一層鮮明になりました。

 

考えなければ。

オデットは自分自身を厳しく追い詰め

暖炉の前をウロウロしました。

バスティアンが戻って来たら、

ここを離れなければならない。

それは、この件が、

結局失敗に帰するという意味でした。

 

あの男が持っている鍵。

そして1人でいる時間。

落ち着いて目標を整理したオデットは

ソファに横になって

体を小さく丸めました。

 

ようやく呼吸を整えたオデットが

目を閉じたのと、ほぼ同時に、

バスティアンが

執務室のドアを開けました。

オデットはソファーに横たわって

眠っていました。

バスティアンは少し面食らって

その光景を見守りました。

 

明るいものを好まない彼が使う照明は

唯一、机に置かれた

ランプだけでした。

その光と、暖炉の火が

眠るオデットを

ほのかに照らしていました。

静かで穏やかな情景でした。

 

バスティアンは静かな足取りで

ソファーに近づきました。

長い髪が、小さな顔の半分を

隠していました。

 

ソファーのひじ掛けに腰掛けた

バスティアンは、柔らかな手つきで

彼女の髪の毛をかき分けました。

ようやく、

完全に現れたオデットの顔には、

静かな美しさが宿っていました。

 

この女より遅く眠りにつき、

この女より早く目覚める。

同じベッドを使うようになってからの

習慣でした。

バスティアンは、もうその理由が

分かったような気がしました。

 

自分のそばで安らかに眠る

あなたを見る瞬間が好きだった。

それは、バスティアンが

生まれて初めて味わった

安らぎであり休息でした。

だから、すでに決断を下したのに

何度も

振り向いてしまったようでした。

それを

失いたくなかったからでした。

 

バスティアンは慎重な手つきで

オデットの柔らかい頬を

包み込みました。

暖炉の熱気が、

青白い頬を赤く染めていました。

 

「オデット」と

低い声で名前を呼びながら

頬を撫でると、オデットは、

すっと目を開けました。

驚いて警戒すると思っていた女は、

意外にも、

無垢な笑みを浮かべました。

 

その透き通るような顔を

じっと見下ろしていたバスティアンは

熱を帯びた、ため息を吐きながら

手を引きました。

 

ところが、バスティアンが、

ソファーの肘掛から立ち上がると、

オデットは、

いきなりその手を握りました。

バスティアンは眉を顰めて

オデットを見つめました。

唇を細かく震わせるだけで、

オデットは、

何も言い出せませんでした。

ただ彼の袖口を握ったまま、

大きな目を瞬かせているだけでした。

 

体を起こして座る間も、オデットは

力いっぱい、つかんだ袖を

離しませんでした。

泣きそうな目と笑っている唇の調和が

奇妙でした。

 

バスティアン」

ようやく、その一言を口にした

オデットは、もじもじしながら

まるで、自分の隣に

座る場所を空けるかのように

横に移動しました。 

そして、ようやく「少し待って・・」と

口を開いたのと同時に

世の中がひっくり返りました。

 

オデットは天井を仰ぎ見た後になって

自分がソファーの上に

倒れていることに気づきました。

それが何を意味するのかも。

 

途方に暮れて躊躇しているうちに、

見慣れた顔が視界を遮りました。

驚いたオデットが放った悲鳴が

終わらないうちに、彼女の口は

熱い唇に飲み込まれました。

 

鍵を持った男が

オデットの体に乗りました。

どうしても押し返すことができず、

躊躇している間に、

熱くて激しい口づけが始まりました。

 

鍵は右側のポケットにある。

理性が消える前に

最後に考えることができました。

f:id:myuieri:20210206060839j:plain

f:id:myuieri:20210206071517p:plain

なぜ、オデットは連絡もなしに

いきなり会社にやって来たのか。

バスティアンは訝しみながらも

書類を手に入れるために

今までにない行動を取るオデットに、

欲望を

抑えきれなくなったのではないかと

思います。

f:id:myuieri:20210206060839j:plain