自分時間を楽しく過ごす 再婚承認を要求しますの先読みネタバレ付き

子供の頃からマンガが大好き。マンガを読むことで自分時間を楽しく過ごしています。再婚承認を要求します、ハーレムの男たちを初めとして、マンガのネタバレを書いています。

バスティアン 108話 ネタバレ ノベル 原作 あらすじ バスティアンの決定

108話 バスティアンが皇帝に呼び出されました。

オデットは、

どうやってここまで来たのか

よく覚えていませんでした。

義務的に両足を動かしていたら

いつの間にか、

夫婦の寝室がある廊下に

立っていました。

 

オデットは、

固くなった両手を組みながら

遅い午後の日差しの中を歩きました。

その間に、

深い水の中に沈んでいるように

ぼんやりとした意識が

次第に明瞭になっていきました。

豪華な扉の前に辿り着いた頃には、

現在の状況を、

理性的に推し量ることが

できるようになりました。

 

バスティアンが早く帰って来て

そして、また出かける。

目的地は皇宮。

この結婚を終わらせる交渉をする

まさにその場所でした。

 

オデットは執事が伝えた知らせを

何度も思い起こしながら

ドアノブを回しました。

 

ただ、予定されていた未来が

近づいて来ただけでした。

オデットは、その流れに

逆いたくありませんでした。

そうすればするほど、

苦しみが深まるだけだから。

疲れた過去の人生がくれた

贈り物のような教訓でした。

 

彼が選んだ結末は何だろうか?

オデットは、近いうちに公表される

離婚の理由を推測しながら

寝室に入りました。

どれも絶望的でしたが、

それで心が一層平穏でもありました。

いずれにしても結果は同じなので

どんな形であれ、

終わるならそれで十分でした。

 

服を着替えて、バスティアンに会って

また平凡な午後を

過ごせばいいだけのこと。

 

考えをまとめたオデットは

優先順位に沿って動き始めました。

まず、帽子と手袋を脱いで、

身に着けていた宝石を片付けました。

痩せたせいで

緩くなった結婚指輪は外して、

ドレッサーの上に置きました。

いつもと違う雰囲気を察知したのは

髪を梳かし始めた頃でした。

 

「・・・メグ?」

マルグレーテが見えないことに

気づいたオデットは、

慌ててドレッサーの前から

立ち上がりました。

握っていた金の櫛を落としたのと、

日差しが降り注ぐ窓際に

静かに佇む男を発見したのは

ほぼ同時でした。

バスティアンでした。

 

海に面した窓を背にして

立っている彼が、逆光の中で

オデットを見つめていました。

衝撃と混乱に包まれたオデットが

目を大きく見開いている間に

バスティアンが近づき始めました。

それほど急ぐ様子もなく、まるで

散歩でも楽しんでいるかのような

歩き方でした。

 

オデットまで、

あと一歩の所で立ち止まった彼は、

改めて礼儀を尽くすように

丁寧な黙礼をしました。

制服を飾っている勲章と徽章の光が

激しく目を刺してきました。

 

辛うじて、我に返ったオデットは

まず、それに相応しい

格式のある挨拶で答えました。

身だしなみが整っていない姿で

バスティアンの視線を浴びるのは

大変なことでしたが、

だからこそ、いっそう毅然として

耐え抜きました。

 

オデットは、

努めて優しい微笑みを浮かべながら

今夜、皇帝陛下に

謁見することになったと聞いたと

言いました。

バスティアンは、

顎の先を軽く動かすことで

返事に代えました。

 

オデットは、

取引が無事に成立して良かった。

おめでとうございますと

言いました、

顔が徐々に赤くなっていくのを

感じましたが、

オデットは退きませんでした。

 

眩しいほど煌びやかな午後の光が

向かい合っている2人を

照らしていました。

 

隠すことができなければ

毅然とすることにしました。

惨めでみすぼらしい姿で

この結婚の最後を飾るのは嫌だから

それなら、むしろ、図々しい女として

記憶されたいと思いました。

長い間悩んだ末に下した結論でした。

 

オデットは、

「今まで、

ありがとうございました・・・

そして申し訳ありませんでした」

と告げました。

幾多の思いと感情の荒波が

過ぎ去った場所に残されたのは、

結局、こんなに陳腐な一言でした。

 

必死で自責の念を消したオデットは

最初と変わらず落ち着いた顔で

バスティアンと向き合いました。

そして、

「今、あなたの決定を聞かせて欲しい。

従います」と告げました。

正時を告げる鐘の音が

微かに聞こえて来ました。

バスティアンは、

ぼんやりとオデットを見つめていた

目を下ろして、

腕時計を確認しました。

4時。そろそろ精算を

終えなければならない時間でした。

 

編み物とバラの花束をかすめて

通り過ぎたバスティアンの視線は

再び、

目の前にいる女に向けられました。

オデットは頭を下げたまま

彼の返事を待っていました。

どんな処分でも

甘んじて受け入れるかのように

従順な姿でしたが、彼は、

この女のこういう態度こそ

最大の傲慢であることを

よく知っていました。

 

ティラ・ベラーを

こっそり連れ出すため、

万全の準備をしておいたそうだ。

 

探偵が報告したオデットの行跡は

バスティアンの予想を

はるかに外れていました。

むしろ、

あの男やもめと寝たという知らせを

聞いた方が良かったと思いました。

少なくとも、それは

理解の範囲内にある行動でした。

 

家族のために人生を抵当に入れ、

家族のために裏切り、

そして、また家族だなんて。

あの忌々しい家族に対する

オデットの盲目的な献身と愛が

バスティアンは、

もう驚異的でさえありました。

しかし、肝心なことに、

自分の人生をどん底から救ってくれた

恩人の背中には、

平然と刃を突き立てた女だという

事実を思い出すと、

ふと、悪口が混じった失笑が

漏れました。

 

「・・・バスティアン?」

ビクッとしたオデットの目が

丸くなりました。

今更のように純真なふりをする女を

通り過ぎたバスティアンの視線は、

彼女の肩越しに見える

壁にかかった額縁の上に、

くっつくように止まりました。

甘い嘘の瞬間を写した、

海軍祭の宣伝物として配布された

まさにその写真でした。

 

喪服のベールを脱いだ女を

見た瞬間から始まった

微妙な異物感の正体を

バスティアンは、

今になって分かったようでした。

オデットは、写真の中の女と

同じようではあるけれど

変わっていました。

前より痩せたけれど、

全体的なラインと印象は

いっそう柔らくなっていました。

 

微かに残っていた幼い少女の痕跡が

消えたためだということに

気づいた瞬間、バスティアンは、

過去のオデットが、

いかに未熟な小娘だったか、

そして、その若い女

いいように遊ばれ、裏切られた自分が

どれほど情けない馬鹿者だったかを

悟りました。

 

バスティアンは、

一層深く静かになった目を

ゆっくりと伏せました。

シルクの優雅な光沢が漂う

青いドレスを遡った視線は、

祈るように組んでいる

青白い両手の上で

しばらく止まりました。

 

あの指先が生み出した旋律、

ピアノを演奏する女を照らしていた

月明かりと、その瞬間が

永遠であることを願った愚かな心まで

全て覚えているという事実を

淡々と受け入れたバスティアンは

再び目の前の女を

探るように見つめました。

 

忙しく上下する胸と白く細い首。

頑くなに閉ざされた唇を

順に通り過ぎた視線は、

まもなく日の光が宿った

美しい瞳に届きました。

 

私はあなたを憎む。

絶え間ない自己欺瞞の下に

隠して続けて来た本心を、

バスティアンは

もう認めることにしました。

墓石に刻まれた名前だと

言い聞かせていた瞬間でさえ、

その墓を掘り起こして

棺を叩き壊してでも、何が何でも、

最後まで見届けたかったということを

実は知っていたのでした。

 

この女を踏み付け、傷つけ

壊したかった。

そして彼の足元にひれ伏させて

泣かせたかった。

その低劣な欲望に向き合うと、

バスティアンは、

この女には、恐ろしい苦痛を与え

自分には、

それに見合う利益を与える代償が

初めて分かったような気がしました。

今まで、それに思い至らなかったのが

虚しいほど、簡単な答えでした。

 

眉を顰めて笑ったバスティアンは、

涙ぐましい別れの挨拶は

この次に延ばした方が良さそうだ。

自分の決定に従うには

少し時間が必要になるからと言うと

最後の一歩を縮めて来ました。

 

本能的に脅威を感じたオデットは、

無意識のうちに後ずさりしました。

しかし、バスティアンは

ついに、その間隔さえ崩しながら

近づいて来ました。

 

一歩、また一歩。追いつ追われつの

遅くて執拗な追撃戦は、

ドレスの裾に足を引っかけたオデットが

小さな悲鳴を上げたことで

終わりました。

 

バランスを崩してよろめく

オデットを支えたバスティアンは、

気をつけて。借金を全部返す前に

体を壊したら困ると

低い声で囁きました。

 

罠にかかった鳥のように

もがく体からは

柔らかくて甘い体の香りがしました。

シャワーを浴びながら

一人で喘いでいた瞬間ごとに

浮かび上がり、幻滅を深めさせた

まさに、あの香りでした。

 

バスティアンを押し退けるために

必死になっていた

オデットの唇の間から「あっ・・」と

鋭いうめき声が流れ出ました。

何が起きているのか悟ったのは、

飢えた獣のような瞳に

向き合った後でした。

 

大きくて硬い手が

オデットの顔をつかんでいました。

逃れようと努めてみましたが、

バスティアンは、

それほど大きな力を入れずに

彼女を完璧に制圧しました。

オデットにできることは、

両目から溢れそうな涙を

堪えることだけでした。

 

「私の子を産め」

永遠に終わらなかったような

静寂の中に、ついに

裁きを下す声が流れ込みました。

オデットは、理解できない外国語を

聞いたような顔で、ぼんやりと

バスティアンを見つめました。

 

オデットは、

それは、どういうことかと尋ねました。

バスティアンは、

あなたが持っているのは

そのすごい血統だけではないか。

だから、

それで借金を返せという意味だ。

皇室の血の混じった子供くらいなら

まあまあ満足のいく代償になると思うと

答えました。

 

初めて、バスティアンの要求を理解した

オデットは驚愕し、

むしろ自分を刑務所に送って欲しい。

それを望んでいたではないかと

叫びました。

バスティアンは、

一時はそうだったと返事をしました。

 

オデットは、

父親が亡くなった程度のことは

あなたにとって

全く問題にならないだろう。

その気になれば、証拠がなくても

いくらでも

罪名を作り出せる人だからと

言いました。

 

バスティアンは、

確かにそうだけれど、

たかが、あなたなどの人生を

台無しにすることが、自分にとって

一体、何の得があるというのか。

時間をかけてじっくり考えてみると、

かなり愚かな判断だったようだと

丁重に微笑みながら、遺憾の意を表し

握っているオデットの顎を持ち上げ、

自分から逃れようとした視線を

引き戻しました。

 

恐怖に震える大きな瞳いっぱいに

涙が溢れました。

両頬は赤く染まり、

唇は怒りで震えていました。

聖女でもあるかのように

振る舞っていた時よりはずっと

見るに値する姿でした。

 

バスティアンは、

もちろん、だからといって

あなたを自分の子供の母親に

することはないだろうと言うと、

ゆっくりと頭を下げて

オデットと視線の高さを合わせました。

 

バスティアンは、

光を失いつつあるオデットの瞳を

見つめながら、

あなたに子供が生まれたら

すぐに離婚する。

そして一生、あなたは二度と

産んだ子供に会えないだろう。

その子は、

自分とサンドリンの子として

育つことになるのだからと、

自分の決定を告げました。

硬直した首筋を伝って降りてきた手は

いつの間にかドレスの前に

触れていました。

 

オデットは、

その言葉がとても信じられなくて、

今、あなたは、

一体何を言っているのか

分かっているのかと聞き返すと、

バスティアンは、これ見よがしに

満足そうな笑みを浮かべながら

肯きました。

 

バスティアンは、

少し面倒ではあるけれど仕方がない。

父親はすでに死んでしまい、

命のように大切にしている妹は

すぐに姉を捨てて去ってしまう。

もうオデット嬢には家族がいないので、

新たに一つ作って奪うしかないと

告げました。

 

子供を産め。

そして、その子を置いて去れ。

 

オデットは、魂が抜けたように

ぼんやりとした顔で、

その恐ろしい要求を繰り返しました。

一体何が起こっているのか

よく理解できませんでした。

むしろ悪夢を見ていると信じた方が

妥当だと思いました。

 

バスティアンは、

自分にとって一番大切なものを

あなたが台無しにしてしまったので

あなたも、

一番大切なものを失うのが

公平な取引だろう?と確認すると

フリルに触れていた指先に

力を入れました。

オデットがそれに気づいたのと同時に

ブチッと、ドレスのボタンが

引きちぎられる音が

聞こえて来ました。

決して夢ではあり得ない

生々しい感覚でした。

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それを認識するまでに

時間はかかったけれど、

バスティアンにとってオデットは

とても大切な存在だったのだと

思います。

だから、

欲望に負けそうになったことが

あっても、契約結婚であるうちは

同じベッドで寝ていても

オデットに手を出さずに、

自分で処理をしていた。

それほどまでに大切にしていたのに

オデットは自分を裏切った。

そして、異母妹を逃がすために

手を尽くしている。

自分だってオデットの夫で家族なのに

自分よりも異母妹を大事にしている。

オデットが

自分を愛してくれないことへの

悲しみ、苦しみ、

辛さを克服するためには

彼女を憎んで恨むしかないのだと

思います。

これまで、バスティアンは

何とか理性を保ってきたけれど

ティラへのプレゼントと

ジェンダス伯爵からの花束が

バスティアンの理性のタガを

外してしまったのだと思いました。

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